朝起きて家の家事をする、今日はみんな家にいないらしい
シロ姉も大学に行っている
「…シロ姉おらへんのか、まぁしゃあないな…」
今思えば帰ってきてからずっとシロ姉がいた
たまにいないのは仕方がないはずなんだけど、それでも寂しい
「シロ姉…」
孤独とはこんなにも寂しいものだっただろうか、寒くて凍え死んでしまいそうだ
あぁ、シロ姉の暖かい抱擁が恋しい…前はこんなことはなかったのに、俺はどうしてしまったんだ?
「えぇい、長い別れじゃないやろうが何をメソメソしとんねん俺!何年も別れるならともかく大学から帰ってくるまでの辛抱やないけ!」
ガッと壁を殴る、ちょっとだけ気が紛れた
「さー、まだ夕飯とかの準備してないしな!早めにしてしまうかな!」
そうだ、皆がいない間に家事をするのが俺の役目だ
頑張って家事をやればシロ姉に撫でてもらえるし
「…いかんいかん、どうしてシロ姉に甘えること考えてしまうんだ…気合だ気合!」
気合を入れて家事をしようかとした時、普段は鳴らない家の電話が鳴った
もしかしてシロ姉か?
「はい、志賀ですが」
「あ、私…魔界立大学の保険医です、身内の方でいらっしゃいますね?」
魔界立大学…シロ姉の通ってる大学だ
「あ、はい…弟ですが」
「なんと、もしかしてタクマさんですか?」
え、なんで俺が知られてるんだ?
「は、はい俺がタクマですけど…」
「好都合です…今すぐこちらへ来れますか?シロナさんが講習中に倒れてしまって…」
えっ…
「あの、え?」
「ですから、シロナさんが倒れてしまって…一心不乱にタクマさんの名前を呼んでいるんです」
シロ姉が…倒れた…?
「大学の住所は…です、すぐにおいでください」
「わ、分かりました!すぐに行きます!」
俺はすぐに家を飛び出した、もうどうにかなりそうだった
しかし冷静さを失ってはいけない、徒歩で行くには場所が離れすぎている
「タクシー!」
「お客さん、どちら…」
「じゃあかしい!魔界立大学前じゃ!さっさと行かんといてこますぞコラァ!」
「ひいぃわかりましたぁ!?」
タクシーの運転手に万札を数枚投げつけ、タクシーから降りる
「シロ姉…あかん、肝心な居場所が分からんぞ」
「あら、あなたシロナさんの…」
門の近くで、前に駅前で出会ったサキュバスさんがいた
「あ、あんたはシロ姉の…!シロ姉が倒れたんや!医務室とか運ばれた場所分からんか!?」
「は、話は聞いてるから…案内するから落ち着いて?」
「う…す、すみません…」
「こっちよ、ついて来なさい」
サキュバスさんが校舎の方へ歩くのでそれについて行く
「はい、ここね…保健室では静かにね?」
「わ、分かっとるよ…」
「来てくれたんですね、シロナさんの容態なんですが…」
保険医の女性の横のベットでシロ姉が苦しそうに唸っていた
「たくま…ちゃん…たくま…ちゃん…」
「し、シロ姉…!」
「一種のノイローゼです、こんなことになるまで追い詰められている状態は魔物では珍しいですね…」
「よほどあなたの事を想ってたみたいよ?多分手とか握ればすぐに目覚めるんじゃないの?」
「そんな非医学的な、ノイローゼというのはそんなすぐに…」
保険医の女性はそう言ってるが気にせずに手を握る、シロ姉が目覚めるならなんだってやるさ
「たくまちゃん!?」
握った瞬間、シロ姉の身体がガバッと起き上がる
「シロ姉!良かった…!」
「あぁ…たくまちゃん、たくまちゃん!」
ガシッとお互いに抱き合う
「えぇ〜…そんな非医学的な…」
「相手は魔物娘なのよ?ノイローゼになるなんて男絡みしかあり得ないでしょ…」
「な、なるほど…」
「シロ姉、何があったんや…倒れるまでのノイローゼって…」
「たくまちゃんが側にいなくて寂しくて、恋しかったんですよ…そう思えば思うほど気持ちが強くなって…あぁ、たくまちゃん!」
ぎゅうぅぅぅぅと体全体を巻きつかせてくるシロ姉、俺より重症だったのか…
「大丈夫やシロ姉、ほら…ここにおるから」
「…とりあえず今日は早退した方がよろしいのでは?」
「はい…すみませんがそうさせてもらいます」
シロ姉は早退の手続きを済まして、タクシーで家に帰ることになった
「シロ姉、大丈夫?とりあえず横になった方がええで…」
「はい…たくまちゃんも一緒にいて下さい」
シロ姉の部屋に行こうとしたら、俺の部屋がいいというので布団を敷いてあげてシロ姉を寝かせる
「うん、じゃあ隣失礼するわ」
布団に入るとしゅるしゅると巻きつい
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