「はぁー…随分と遅くなっちゃったなぁ」
俺、藤井マコトはすっかりと暗くなった空を見上げる
今日は委員会の居残りで夜まで残らされてしまった…辺りはすっかりと暗くなっていて、道を照らす街頭以外に明かりは無い
「いやぁ、それにしても今日は冷え込むなぁ…もう冬なのかなぁ、上着無しは失敗したかも…」
俺は吹き付ける冷たい空気に身を震わせながら校舎から出て、門を抜けると…後ろからボフッと柔らかく暖かい何かが俺を包んだ
「だ〜れだ♪」
そんな優しく溶けるような声が耳元で聞こえて、そのふわふわと柔らかく暖かい何かは、そのまま俺の身体に手を回してぎゅっと暖めるかのように強く俺を抱きしめた
「わっ…!」
後ろからなので俺からは回されている手と、後頭部を優しく包みこんで、なおかつ視線に入る二つの柔らかい膨らみしか見えないが…俺にはこれがなんなのかがすぐに分かった
「…もう、シュネ姉?脅かさないでよ」
「えへへ、おねーさん来ちゃった♪」
首を上に向けて見上げるといたのは白いふわふわとした長い髪、モコモコとした暖かそうなコートに身を包み…なおかつその豊満な身体が隠しきれない女性、大人びているが柔らかく微笑むような優しい顔つきで、俺よりも頭一つほど背が高い
そんな女性は頭に大きなトナカイのようなツノを生やしており、耳は垂れた動物の物…そして一番目を引くのは、長い体毛に覆われた馬や鹿のような4本足の下半身だ
彼女の名はシュネ、ホワイトホーンと呼ばれる…所謂魔物という人間とは違った種族である
シュネ姉は俺の隣に住んでいる姉のような存在で、両親が家を空けることが多かった俺に小さい頃から世話を焼いてくれて…俺もそんな彼女のことをシュネ姉と呼んで慕っている
そして姉と同時に俺の恋人でもある、小さい頃から面倒を見てくれていた美人なお姉さんだ…惚れないわけがなかった。
子供の戯言だと普通なら断られていただろうが、シュネ姉はちゃんと真剣に受け止めてくれて…そして俺を受け入れてくれた、そして今はもうラブラブのカップルと言っても差し支えないだろう
「シュネ姉ってばどうしたのさ、わざわざ学校まで来るなんて…」
「マコちゃんがいつまでも帰ってこないし、心配で…それに今日は冷え込むでしょ?朝出た時、マコちゃん上着持って無かったし寒いの可哀想かなぁって♪」
そういうシュネ姉が抱きしめた腕を解いた、俺はその暖かい抱擁から抜け出すとシュネ姉に向き直った
「シュネ姉、俺ももうそんな小さく無いんだからちょっと遅いくらいじゃ心配いらないよ?まぁ、寒く無いのは有難いけどさ」
迎えに来てくれて嬉しいのが半分、未だ子供扱いされて複雑な気分なのが半分…俺はついそんなことを言ってしまった、思春期の男の子は難しいのだ
「もぉ〜背伸びしちゃってぇ、ほんとはおねーさんが迎えに来てくれて嬉しいんでしょ〜♪おねーさん、マコちゃんのことなんでも分かっちゃうんだから♪」
そんな俺の頬を指でつつくシュネ姉、参ったなぁ…シュネ姉には敵わないようだ。
俺はシュネ姉に身体を寄せると照れ隠しにふさふさとした身体へと顔を埋めた
「あら?照れちゃったの♪よしよし可愛いなぁマコちゃんはぁ♪」
「…寒いだけだし」
「そうなんだぁ♪ねぇねぇ、おねーさんがぎゅってしてあげよっか♪寒いんでしょ?おねーさんが暖めてあげる♪」
返事を聞かずにシュネ姉の腕が俺を易々と持ち上げて前に抱え込むように抱きしめた、ふわふわとしていて暖かい…そのまま俺もシュネ姉に腕を回して身を寄せた
「えへへ♪マコちゃんったら甘えん坊さんなんだからぁ♪」
「っ、もう暖まったから」
俺はシュネ姉の腕から逃れようと身をよじらせるが、しっかりと掴んだシュネ姉の腕からは逃れられなかった
「だぁめ♪おねーさん、このまま家まで運んじゃうから♪」
「えっ、ちょっ…それは…」
このまま子供のように抱きかかえられながら帰るというのか、いくら人通りが少ない夜とはいえそれは流石に…
「えへへ♪じょーだん♪マコちゃんも早く帰りたいでしょ?ほら背中に乗って♪特急で送ってあげる♪」
「…あぁ、分かったよ」
よかった、冗談だったようだ…シュネ姉が腕から解放してくれたので俺は地面に降りるとシュネ姉の横からシュネ姉の身体に跨った
「ほら、早く走るからちゃんとぎゅっとしてて♪」
「あ、うん…」
俺はシュネ姉の腰に腕を回すと身体を引っ付けてしがみついた、元々寒さからシュネ姉の顔がちょっと赤かったけどそれが更に赤くなった
それに伴ってシュネ姉の暖かい身体の温度がまた少し上がったような気がした
「飛ばすよぉ♪」
「わぁっ!」
すごい速さで
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