デビルママン

俺、川崎ヒロフミに母が出来たのは最近のことだ


「ふんふんふ〜ん♪」





この目の前にいる青い肌をした小さい幼女…背中からはコウモリのような翼が生えていて目は黒く、とても人間には見えない彼女はデビルという種族の魔物だ


「ルビィ、楽しい?」


「ん〜、楽しいぞぉ♪」


その彼女の名前はルビィ、目の前にいる彼女は俺の頭を鼻歌まじりに撫でながらニコニコしている


「…そうか、楽しいのか」


「えへへ、ヒロはかわいいなぁ〜よしよし♪」


この彼女こそが、最近できた俺の母…もちろん血は繋がっていない


なんで俺にこんな小さい母親ができたか、それはつい数ヶ月前まで遡る


俺は元々両親が海外に仕事で出ていて、気楽な一人暮らしだった


たまに人恋しさを感じる時もあったが、親に何も言われない自由気ままな生活を謳歌していた


そんなときだった、海外で起きた大規模な事故によって親の死が告げられたのは…もともとあまり関わりのなかった親たちだ、悲しみはあったが…それ以上に俺はこれからもずっと一人なんだなぁという漠然とした気持ちが大きかった


葬式は小さく済ませて親が遺した多大な額の遺産は全額俺の元に来る、生活には困らないような額だった


そして葬式も終わり遺品整理も終えた頃…家に一通の封筒が届いていた、宛名のない怪しい封筒だったが俺は不思議とその封筒を捨てる気にならずにポストから取り出す


「なんだこれ、変な模様の紙…?」


封筒の中身は一枚の怪しい模様の書かれた紙…それに俺は吸い込まれるように手を取る


そして…


「うわぁっ!?」


手に取った紙が眩い光を放つ、俺は驚いて目をつむりその場にしゃがみこんだ


「…な、なんだぁ…っ!?」


「デ〜ビデビデビ…」


目を開けるとそこにはしゃがみ込んだ俺を変な笑い方で見下ろす幼女がいた…そうこれがルビィだ


「いやぁいつまでもこんな紙のなかにずっといると、流石に身体が凝るなぁ…おぉ驚かせちゃった!?こんにちはご主人、お名前は?」


「え、あ…か、川崎ヒロフミ…」


「へぇー、なるほど…じゃあヒロだね?」


どうやら俺は何かおかしな夢を見てしまっているらしい、よく分からない幼女が紙から出てくるなんて…


「ふぅん、ご主人にするには問題なさそうね」


「え、ちょっ…俺が、主人?」


「そう、ヒロがこの私、デビルのルビィちゃんのご主人様♪さぁご主人、なんなりとお申し付けください!ご主人様が堕落させられるように願いを何でも叶えましょう〜♪」


そういってしゃがみこんでいた俺の手を引き立たせる彼女、立ってみると彼女は俺の身長よりもだいぶ小さい


「ね、願い…?」


「旦那ってば、まだご自分が手に入れた物の価値を十分にご存知でない!それじゃあちゃんと説明してあげましょうかね」


テンションが高い幼女だなぁ、と思っていたら何やら話をはじまった


「そう、旧世代の魔物は人を襲いその恐怖を糧に生きてきた生き物…しかし魔物を束ねる魔王が新しく台替りしたことにより、魔物は人間を深く愛するようになったの」


「…」


「私の種族、デビルも旧世代じゃ人の恐怖を餌に生きてきたけど…世代が変わったことにより人の恐怖よりも私たちは、人間が幸せになって堕落する姿を好むようになったわけ…ここまでで質問ある?」


「いや、ないよ…それで?」


「だから今の世代の私たちは人を堕落させるために願いを叶えてあげてるってこと、ただし…二、三禁止事項がございます」


禁止事項だって?さっき何でも願いを叶えるって言ってなかったか


「まず第一、恋愛関係ね?”その気のない”相手を好きにさせることは出来ないの、その相手が私だったらいつでもウェルカムだけど」


「あ、はい」


「続いて第二、原則的に死んだ人間を生き返らせることはできません…手は無いこともないけど、人間じゃ無くなっちゃうから」


いや別に死んだ人間を…なんては考えてないけど


「そして第三、人殺しはダメよ?私が直接殺すなんて出来ないの、嫌いな相手だとしたらとことん追い詰めて自殺させましょうね」


「いや怖いこと言わないでくれよ、しないよ」


「さ、それ以外なら何でもしてあげちゃうわ♪大金持ちになりたい、世界征服…何でも言ってね!」


いや、願いだなんて言われても…今の生活に満足してるし親の遺産だってあるし…


親…そうか、家族…俺は親がいないことが多くて家族なんてものをあまりよく知らなかった…死んでしまったしもう会うことは叶わない


だから…そう、家族がほしい…ずっと一緒に居てくれる家族が


「じゃあ、俺に家族を…」


「えっ…家族?」


「俺は親が仕事でいなくていつも一人だったんだ、その
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