俺、鈴木コウイチの日常は特に特色のないごく普通のものだと自負していた
早いうちに親を亡くした俺は親戚の援助などで生計を立て一人暮らしをしており、学校などでも特に目立つことなく普通に生活を送っていた
しかしだ、昨日だけいつもとは違った
いつも通りに学校から家に帰る途中で、たまたま大荷物で困っていたお婆ちゃんを見つけたから運ぶのを手伝ってあげた
そうしたらそのお婆ちゃんが俺にすごい感謝をしてくれてた。なんか最後は、あなたに神のご加護を〜なんて言ってたし何か宗教に信仰深いお婆ちゃんだったのだろう
そんなことがありながらも、帰ってきたらいつも通りの日常に戻って俺は一人で飯を済ませてわりと遅くゲームをやってから寝る、今日は週末で次の日は休みだ
そして朝、日差しの眩しさに目が覚めて…顔を洗ってご飯でも食べようかとリビングにやってきた
そうして俺は自分の目を疑った
「ふんふんふ〜ん♪」
そこには背中から羽を生やして、純白のワンピースを身を包み頭には光る輪っかを浮かした…まるで天使のような金髪の少女がキッチンで料理を作っている
「あ、おはようございます♪いまご飯できたところですよ♪」
そして後ろにいた俺に気づいたその少女はこちらに振り向き、にっこりと天使のような笑顔でそう言った
「…君誰?」
俺はあまりにも突拍子も無さ過ぎる出来事に、それだけ言葉を発することで精一杯だった
「まぁまぁ、つもる話もありますしご飯食べながらにしましょう?ささ、席に着いてください♪」
「え、あ、はい…」
テーブルに料理が並べられる、俺はこの少女に椅子に座るように促されてそのまま席に着く
そしてそのぴったり隣の席に少女が座った
「さぁさ、どうぞ♪」
「い、いただきます…」
「うんうん、挨拶は大事ですね♪いただいちゃってください♪」
とりあえず目の前の料理を食べることにした、なかなか手が込んでて美味しそうである
とても目の前の年端もいかない少女が作ったとは思えない出来だ
「あ、あれ?」
料理を食べようとしたら箸やスプーンが無いことに気づいた、これでは食べられないのでは…
「さ、あ〜んしてください♪」
「え、えぇ?」
隣から少女が給仕するように箸で料理を摘みこちらに渡してくる、すごい笑顔で有無言わさない様子だ
「あ、あ〜ん?」
「はい、あ〜ん♪」
とりあえずその給仕を受けることにした、小さな少女とはいえ可愛い女の子にこうされるのは悪い気はしない
「おいしい…」
「まぁよかった、お口に合ったみたいですね♪ささ、またあ〜んしてください♪」
「あ、あ〜ん…」
…よし、料理を食べ終わったところで本題に入ることにした、とりあえず状況を整理しよう
「ご馳走様…ええと、それで君は?」
「ふふ、お粗末様です♪それじゃあ自己紹介をしましょう、私は天使…エンジェルのエルルと言います」
「あ、ふーん天使…」
「あまり驚かれないんですね、この世界は私みたいな存在は珍しいと思うんですけど…」
驚いてないってことはないけども、見た目からの正体がまんま過ぎて反応が薄くなってしまう
コスプレにしては出来が良すぎる天使の輪っかや羽根は、まぎれもない本物なんだろう…なんかトンデモな存在みたいだし下手に出ておこう
「その、天使様?がなんで俺の家に…」
「まぁまぁ、天使を敬う気持ちは感心しますがそんな風に呼ばなくて大丈夫ですよ?気軽に名前でお呼びください♪」
「え、エルル…さん?」
「はい♪」
名前を呼ぶと聖母のような微笑みを浮かべるエルルさん、本当に天使のようである
「話を戻しますが、私があなたの家に来た理由は…あなたにご褒美を与えるためです」
「ご、ご褒美?」
「えぇコウイチさん、あなたは昨日困っていたおばあさんを助けましたね?」
「なんで知ってるの…名前も…」
「エンジェルイヤーは天国耳ですから、なんでも分かっちゃうんです♪」
えっへんと微かな膨らみの胸を張るエルルさん、ひらりとしたワンピースの隙間が少しだけ危ない気がする
「たかがおばあちゃん助けただけで、天使が気軽にご褒美を与えに来たりするのか?」
「しますよ?特にあなたは善行ポイントが溜まってますし」
「善行ポイント?」
「あなたが過去に善い行いをしたという功績ですね、例えばあなただと…親戚の援助だけに頼らないために学校は特別推薦を努力して勝ち取り学費免除で負担を減らしたり」
「個人情報漏洩してるじゃん…」
「エンジェルイヤーは天国耳ですから!」
ま、まぁいいか…悪用される情報じゃないしなぁ
「で、えーと…ご褒美
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