俺、武内シュウヘイはどこにでもいるような普通の学生だ
周りよりちょっとだけ背が高くて、勉強の成績もちょっとだけいいけど運動は周りよりもちょっと苦手、好きな動物は犬。
友達にテスト前に少しだけ頼られたり、ちょっと手が届かない高さのモノを取るときに頼られたりする以外じゃ特にクラスで目立ったりしない
そんな特に珍しくも無いような俺にも、他の人と違うところが一つだけある
「ただいま」
「おかえりぃ〜♪」
家に帰ってきた俺に何かが飛びついてくる、その何かが俺の他とは違うところだ
「わんわん♪今日も学校お疲れ様〜♪」
「あぁ、うん」
飛びついてきたのは俺よりも頭が三つくらい低い位置にある、もふもふとした耳や尻尾、手足が毛に覆われた子犬のような幼い少女である
それはコボルド…所謂魔物と言われる生き物だ
そしてその…幼いコボルドの少女は、とても思えないが俺の”母親”なのである
「くぅ〜ん♪シュウくん〜♪会いたかったよぅ♪」
「学校行ってただけでしょうが、大袈裟だなぁ」
彼女…コボルドのコルトさんと俺の母子関係は少々特殊だ、そもそもの話厳密に言ったら母親じゃない
つもる話は省くけど、小さい頃に両親を事故で亡くした俺をコルトさんが引き取ってくれたわけだ…当時は見た目が自分よりちょっと上の女の子が親なんて驚いたっけな
実際のところかなりの年上で、年の差を考えるとおばあちゃんくらいになるんだけどさ
「シュウくんしゃがんでしゃがんでぇ♪」
「…あぁ、はいはい」
小さいコルトさんに目線を合わせるように俺は身体を屈めた、するとぎゅっとコルトさんに抱き寄せられる
「ぎゅ〜っ♪」
もふもふとした毛と柔らかい身体の感触、そして鼻いっぱいに広がる金木犀の香り…毎回コルトさんは学校から帰ってくるとこうやって俺を抱きしめる
「うんうん、今日も学校お疲れ様だね…シュウくんは頑張り屋さんだね♪よしよし♪えらいえらい♪」
まぁなんだ…こう見えてたった一人で俺を育ててきただけあって、そこそこ母親らしいっていうか…何ていうか…こんな歳になってもこうやって甘やかしてくれる
「…コルトさん、こんな歳にもなってそんな子供扱いは…」
「あー!こらシュウくん、私のことはママって呼ぶようにいつも言ってるでしょー!」
「ソウデスネ、コルトサン」
「ママ!」
「言わないよ…」
見た目や性格が子供っぽかったりするから、普段はあまり母親とは思えなくて…まぁ俺からしたら大事なお母さんであることには変わりないんだけどさ
「くぅ〜ん…昔はママ、ママって後ろをついてきたのに」
「俺は昔からコルトさんって呼んでたと思うけど、俺の記憶違いかな?」
「ありゃ?そうだったっけ」
「記憶を改変しないでくれませんかねぇ」
「まぁいいじゃん♪これからはママって呼んでみてよー、ねっ♪」
そんな尻尾をぶんぶんと振って期待されても…
「うぅ〜…シュウくぅん…」
そんな泣きそうな顔をされても…
されても…
「…か、母さん…」
「っ!」
「い、今はこれで勘弁してくれ…母さん」
「うん、うんっ!やっぱりシュウくんは優しいね!えへへ♪嬉しい、嬉しい♪」
より一層強く抱きしめられた、コルトさんの抱擁はとても気持ちがいいし…まぁ、包容力はそこそこあるんじゃないかな?
「シュウくんはね、いつになっても私の可愛い子供なんだから…遠慮しないで私に甘えてくれていいんだからね、ママはシュウくんのママだもん…♪」
「…っ、ちょっと…コルトさん…」
「昔から私に迷惑を掛けないようにして、なるべく甘えないようにしてるみたいだけど…本当は甘えんぼさんなの、ママ知ってるんだから♪」
よしよしと背中をぽんぽんされる、うん…結構母親らしいっていうか…だいぶ、いやかなり…凄く母親っぽいよ
「ママ、ママって♪私にう〜んと甘えてくれていいんだからね?そうしたら私も、シュウくんのことよちよち♪ってしてあげるんだから♪」
「ちょ、コルトさん…俺まだ帰ってきたばっかりで…」
「あ、ごめんね…帰ってきたばっかりで疲れてるよね?お部屋のほういこっか♪」
そういって抱擁を解いてパタパタと尻尾を振って俺の手を引っ張る、こうみると母親ってよりペットの子犬みたいなんだけどなぁ
「はぁいシュウくん♪一緒にお昼寝しよー♪」
自然と俺の部屋に連れてこられた、というか半分はコルトさんの部屋みたいなもので基本的にコルトさんもこの部屋にいる事が多い
コルトさん自身の部屋もあるが、そこはあんまり使っていないようで自分の物も俺の部屋に置いている
まぁ広い部屋でコルトさん自体が場所を取
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