目を覚ますと、目の前にシャクヤ姉さまの顔が近くにあった
「起きたか、調子はどうじゃ?」
「あれ、俺…たしか」
「レンに完膚なきまで負けたのじゃよ」
先ほどのことを思い出した、そうだ…たしか俺はレンシュンマオさんに組手でやられたんだったか
「そうだ、お尻が…お尻が襲いかかってきて…」
「レンはもうちょっと手加減してやればよかったのじゃが、少々素人相手にやり過ぎじゃな…またワシから言っておく」
「レンシュンマオさんとか、みんなはもういないの?」
「もう閉館の時間から大分経っとるからの、みんな帰ったぞ?レンは起きるまで待つとか言ってたが、ワシが着いてるからと返した」
頭を動かして周りを見ようとすると、下に何か少し柔らかいが、枕にしては固いような不思議な感触のものがあるのに気がついた
「…なんだ、これ…柔らかいけど、枕にしては硬いような…?」
「こりゃ、硬いとは失礼じゃな…せっかくワシが膝枕してやっとるのに」
「膝枕…?」
触れてみると、ふわっとした毛に包まれた足の形…まぎれもない姉さまの膝だった
「わっ、ごめん姉さますぐにどいて…!」
「馬鹿者、今まで気を失っていた者が無理をするな…まだ寝ててよい」
ぷにっとした肉球で頭を押さえつけられる…まぁ寝心地はいいから姉さまがそういうならお言葉に甘えようかな
「姉さまぁ…」
「何甘えた声を出しておる、ワシの膝が気に入ったか?この甘ったれめ…♪」
そう言いながら微笑んで頭を撫でてくれる姉さま、なんだか姉さまに甘えるのは久しぶりな気がするなぁ…なんだかもっと甘えたくなってきた
「姉さま、もうちょっと甘えてもいい…?」
「お前…可愛いことを言うやつだな。まぁ、お前は普段からしっかり者だからな…今だけじゃぞ?」
「わぁい、姉さま大好き」
「ば、馬鹿…そういうことは妹達に言ってやれと…」
「そりゃ他の姉さんたちも好きだけどさ…今は姉さまだけだし、俺は姉さまが好きだからそういったんやで?姉さまの力強いところとか、頼り甲斐のあるところとか…いまこうやって甘えさせてくれる優しいところとかがおれは大好きなんよ」
「…それは、ワシが雌…女性として魅力的ということか…?」
「え?」
「い、いや、何でもない…そんなことあるわけないか…」
姉さまは今、俺に自分が女性として魅力的かと聞いた。姉さまは何を言ってるのだろうか
「今更何言うてんの、魅力的に決まっとるやんけ」
「な、ぁ…?」
「むしろ魅力無いとでも思ってたんか?」
「だ、だって…ワシはただでさえ筋骨隆々な身体つきで、言葉遣いだって女らしくなくて…」
うーん、それを差し引いても女性として魅力的だということが分からないのだろうか?
「顔が良い、スタイルが良い、運動神経が良い、しっかり者、優しい、頼り甲斐がある、和を重んじる…今適当に考えつくだけでもこんなに良いところがあって何を言ってるんや」
「ば、馬鹿者…へ、変なこと言うでないわ…たわけ」
顔から耳まで真っ赤にして、珍しく姉さまが俺に照れた様子を見せる
「…急に変なこと言ったり、かわいかったり…ホント、飽きないな、お前は…」
少し呆れたように微笑むシャクヤ姉さま
「あ…今の笑い方、すごい美人だった」
「なっ…!?」
「あ、その顔すげぇかわいい」
「っ!?」
「…姉さまだって、飽きないやないか」
「う、うるさい!この、馬鹿…!弟のくせに生意気な…!」
「…そりゃ申し訳ない」
「わ、分かれば良いのじゃ…」
なんか今日の姉さまは尋常じゃなくかわいい、いつもは凛としてかっこいいのだけどこうやって照れる姉さまにはまた別の魅力がある
「…どうした?ワシの顔に何か付いて…あっ!ま、また、かわいいだとか美人だとか言うつもりだな!?もうその手には乗らぬぞ!?」
「ええ〜、姉さまなぁ………」
人をなんだと思って…まぁ、かわいいと思ってたのは事実だけど
「ま、まぁ強ち間違いじゃ…」
「ほれみろ!」
「…いやええやないか、かわいいって思われてんなら」
「そ、それは、そう…だが…!」
「こーゆー時は、にっこり笑って、ありがとう。って言えばええんよ。その成りで、美人だとかかわいいって言われてイヤがってちゃ、姉さまったら、ただのヤな女やで?」
ただでさえ美人なんだからさぁ
「そ、そんなつもりは…!」
「…なら、素直に褒められようや。姉さまだって、褒められるのが嫌ってワケやないやろ?」
「…う、うむ…」
「…なら、素直に喜ぼうや」
「…わかった…あ、ありが、とう…?」
「そうそう、その方が姉さまは魅力
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