盗賊ハヤブサの恋泥棒

俺の名はハヤト、この砂漠地帯で遺跡などの探検や発掘、用心棒などをして生計を立てている所謂トレジャーハンターさ


と言っても最近じゃ回ってくる仕事は盗賊紛いの仕事ばかり、最近じゃ俺に「盗賊ハヤブサ」なんて名がついているらしい


ハヤブサってのは俺のハヤトの名を、ジパングの文字にした際の別の読み方らしいんだが…まぁ意味は当然あの鳥から来てるんだろうな


俺自身、この名は気に入っていて結構使わせてもらってるよ


盗賊と言ってもだ、俺は別に人を殺して物を盗む…などを積極的に行うわけじゃない、一応トレジャーハンターなんだぜ俺は


基本的な手口は、音も立てずに忍びこみ目当ての物だけをスマートに盗っていくだけなんだが…たまーに厄介なのがいるわけよ


この世には人間の他に魔物って呼ばれる種族がいるんだが、そいつらは皆可愛い姿をして実に手強い…人間を遥かに超越した能力を持つ奴らがごろごろいるんだ


向こうには人間を殺すなんて意思はないらしいので魔物の殺しに手を掛けたことは一度も無いが、こいつらから盗みを働くのは大変に骨が折れる…まぁ失敗したことは無いけどね


魔物は人間を殺さないが、その代わりに男性を求めている場合が多い…というのも魔物には雄がいないから人間の雄が必要なのだが


特に砂漠地帯の遺跡には沢山魔物がいる、その中に元人間がいるってんだから驚きだ


しかし不思議なことにその魔物が多い遺跡ほど沢山のお宝が眠っていることが多い、これを狙い遺跡に潜った愚か者が行方不明に…何ていうのはよく聞く話だ


「ちぇー、参ったなこりゃあ」


今回俺は、ある依頼を受けて遺跡へと潜り込んだが…それはちょっと失敗だったかと思い始めている


その遺跡は、そこまで大きな遺跡ではない一見普通の遺跡らしいんだが…俺のように潜り込んだトレジャーハンター達は不思議と誰も奥に辿り着けずに出口まで戻されてしまうらしい


その原因は魔物の使っている魔法…この砂漠地帯で言うなら呪い、というものだったので事前に用意して置いた魔法を防ぐ札をわざわざジパングまで行き仕入れて侵入することができたが…


「なぁ、そろそろ解放してはくれないかね。俺は高いところはダメなんだよ」


「ならぬ、貴様は罪人だ。高いところが苦手ならすぐに落としてやろう、地獄にな」


「おっと、今のは取り消すぜ…俺は高いところが好きなんだ!」


魔法をすり抜けて侵入した矢先に、仕掛けてあったか偶然なのか…床が崩れて遺跡の地下に真っ逆さま、目出度く遺跡の門番と名高いアヌビスに捕まってしまって吊るし上げられてしまった


このアヌビスという魔物、見た目は犬の様に耳があり艶やかな毛並みの手足を持つナイスバディーの美しい魔物だ


しかし油断しちゃいけないぜ、侵入者には容赦なく罰則を与えると伝えられている為に遺跡の多い砂漠地帯では大変恐れられている魔物だ


「私の呪いをすり抜けてきた者は初めてだ、貴様は何しにここへ侵入してきた?」


「ピクニックに来たように見えるかい?バスケットも持ってないぜ」


「答えろ!」


ギチッと腕に固定された金属の手錠に繋がった鎖…天井に伸びて吊り上げられる形で目の前のアヌビスの手に握られている


それを引っ張ると吊り上げられている俺に手錠が食い込んで痛いこと痛いこと、まったく乱暴しないでもらいたい


「分かった分かった、言うから乱暴するない…お宝を頂戴しに来たのさ、何たって俺は盗賊ハヤブサだからな」


「ふむ、遺跡漁りの類か…」


「その呼び名は好きじゃない、トレジャーハンターと言ってもらいたいぜ」


「何れにしても罪人だ、私の領域に無断で入り込んだのだからな」


鋭い眼光で睨みつけてくる、ゾクゾクするような冷たい視線だがそういうのは趣味じゃない


「おいおい、仲良くしようぜ…俺は犬みたいな子は好きなんだ」


「その軽口を閉じろ!」


目一杯に鎖を引っ張るアヌビス、これじゃあ腕に手錠の跡がついてしまう…つけるなら美人のキスマークにしてほしいものだぜ


「貴様にもう一つ罪状が増えた、よもや私を犬呼ばわりするとはな」


「おっと、気を悪くしたなら謝るよ!俺はあんたを犬だなんて思っちゃいない、ただ犬の方があんたに似ているもんでね」


「…どうやら自分の立場が分かっていないようだな、貴様ごとき私の呪いで屠ることも可能なのだぞ!」


手に持ったご大層な杖を掲げてこちらに向ける、どうやら相当お冠に来てしまっているようだ


「へへ、そりゃあ勘弁願いたいね。このままだと遺跡でミイラとして発掘されそうだ、ぐるぐる巻きは困るぜ」


「ならばどうする、言っておくがその手錠は私の呪いで強化された金属で出来ている。例えオーガであろうとも壊すことは出来
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