「うーん…」
俺は今、学校から配られた一枚の紙を見て悩んでいた
「おいおいどうしたよジュッキー、そんなにトイレに行きたいならいけよ」
「誰がジュッキーだ、トイレを我慢してるわけでもねえよ!」
「なんだよ、今時大便を恥ずかしがることはないぞ?学校で大便をしてイジられるのは小学校くらいだぜ?」
悩んでいる俺に下ネタを交え話しかけてくる…クラスメイトのコウキだ、こいつ大企業の御曹司で育ちいいくせに何堂々と下ネタ言ってんだ
「トイレから離れろ、俺は今悩みがあって忙しいんだ」
「悩み?…これさっき配られた来週の授業参観のプリントじゃねえの」
「そうだよ、お前のところ親は来るのか?」
「あー、多分仕事で無理だな。まぁいつものことだし…てか俺一度も授業参観来てもらったことないからなぁ」
コウキの両親は仕事で忙しいらしく案の定来れないらしい、俺も今まではいなかったが…
「ジュキヤは…って、そうだブランシェさんに来てもらわないのか?」
「…それで悩んでたんだよ」
「お前からしたらブランシェさんは親代わりみたいじゃん?別にいいんじゃないか?」
「いや、目立つだろ…魔物だし、メイドだぜ?」
魔物を親に持つクラスメイトは少ないがいる、しかしメイドはいないだろう
「普通の服で来てもらえよ」
「ブランシェさんはメイド服以外は頑なに着ないんだよ、メイドだからって」
「うーん…うちのメイドは命令で何でもするからなぁ」
「やっぱやめとくか、どうせ言わなきゃ授業参観って知らないんだし」
家帰ったらゴミ箱に捨てておこう、ブランシェさんにわざわざ来てもらう必要もないし
「さぁ帰ろ帰ろ、ブランシェさんが家で待ってる」
「おう、また明日なー」
帰ったらすぐにプリントを捨ててしまわないと、ふいに見られないようにしないとな
「ご主人様!これはどういうことですか!?」
「げっ、ばれた!」
家帰ってすぐゴミ箱に捨てたのだが、ブランシェさんに発掘されてしまった…学校で捨てればよかったか
「授業参観だなんて大事な事、こういうのはちゃんと話さないといけませんよ!報告、連絡、相談のホウレンソウです!」
「い、いやだって…今まで誰も来なかったから別にいいかなって…」
「よくありませんよ!ご主人様、もしかして…ブランシェが学校へと出向くのに不満が…?」
さっきまで耳を立て激しくまくし立ててたブランシェさんが急にしおらしくなる
「い、いや不満だなんて…ただ、その…ブランシェさんは魔物だし…」
「ご主人様、ブランシェはご主人様にとって世間に出せない汚点なのですね…しくしく」
顔を伏せ涙を啜る音を鳴らすブランシェさん、あぁどうすればいいんだ…
「い、いやぁせっかくの授業参観だからブランシェさんにも是非来て欲しいなぁ!せっかくの授業参観だからなぁ!家族のブランシェさんに来て欲しいなぁ!」
「あらあら、ご主人様ったら!そんなにブランシェを信頼していただけているだなんて、喜んで参観させていただきますわ♪」
はい、知ってた。うん…知ってたよ?こうなることは分かってたよ?
「…まぁ、いっか」
授業を見られて困るわけではない、ただちょっとクラスで話題になるだけだ…もうすでに一回ブランシェさんが学校に来てるわけだしなぁ
…
「…で、結局ブランシェさんが来るわけ?」
「そうだよ、見事に見つかったよ」
授業参観当日、教室でコウキにブランシェさんがくる旨を話す
「まぁそうなると思って俺もメイドに来てもらったよ、お前だけに苦労は掛けさせないぜ!?」
「コウキ…お前いい奴だな、見直したわ」
「よせやい、親友として当たり前だぜ」
「ありがとう親友」
「まぁまぁ、仲がよろしいようで何よりですわ」
まだ他の生徒達の親があまり集まっていないような朝の休み時間に、ブランシェさんが来た
「ブランシェさん、早いね」
「ご主人様の晴れ舞台ですから、最初から最後まで見届けますよ♪」
犬耳、尻尾、メイドという他にいない格好の美女にクラスがざわつく
「これはこれはブランシェさん、ご機嫌麗しゅうございます」
「まぁまぁ、コウキ様…おはようございますわ」
やばい、コウキとブランシェさんの交わした挨拶で教室が高級な雰囲気になっていく!
「お、お前んとこのメイドさんはまだいないのか?」
「ん?もういると思うぞ、ノワール」
「くっふふふぅ♪はぁい、お呼びですか坊っちゃまぁ♪」
コウキが一声掛けると女性の笑う声がして、コウキの後ろから黒い液体が溢れて人の形を成していく
そして完全に成形されるとそこには青黒い肌をした黒髪の
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