「ア〜キ〜オ〜♪」
俺が机で勉強をしていると、後ろから甘えたような少女の声が聞こえた
「…」
何かと立ち上がり後ろを振り向いたが、視界には誰もいない
「ア〜キ〜オ〜!下だよ!わんわん!」
「?」
視線を下に降ろすともふもふとした耳や尻尾、手足が毛に覆われた子犬のような少女が目をキラキラさせてこちらを見上げていた
この子犬のような少女、背丈は俺の頭を一つ二つ…いや3つか4つ分くらい低く見た目は子供のようだが、この俺…古井出(こいで)アキオの正真正銘「姉」である
と言っても、クルミ姉ちゃんは見ての通りコボルドという魔物だから血は繋がってない…魔物が相手だと親族での結婚は問題ないとかなんとかテレビで言ってたなぁ
姉ちゃんは俺が生まれるより前に、両親に拾われたらしく…俺が小さい頃のアルバムを見ても姿が全く変わっていないのが不思議だ
本人曰く、これで成人なのだとか…姉ちゃんって何歳くらいなんだろうか
「…クルミ姉ちゃんか、小さくて見えなかったぞ」
「アキオが大きいんでしょ!私は普通よりちょっと小さいだけなの!」
まぁ確かに俺は学校でも平均より高い身長だけど…それでも姉ちゃんは小さい、小学生とかそういうレベルだからな
「で、何か用でもあったの姉ちゃん?俺今勉強してるから忙しいんだけど」
「アキオ!お散歩行こうよ、お散歩!」
「姉ちゃん、だから勉強中なんだってば…宿題だから明日までにやらなくちゃいけないんだよ」
俺は背丈や体格が大きいから大人に間違われやすいがピッチピチの高校生だ、勉強もするし宿題だってある
「えー、だって宿題を明日ギリギリまでやらなかったのはアキオでしょー?勉強に追われて忙しいのは自業自得だと思うな!」
「うっ…痛いところを突くなよ…」
「えへへ、じゃあ宿題手伝ってあげるから終わったらお散歩行こっ?」
「あー…分かった分かった、どうせ一人じゃできないしお願いしますよ」
姉ちゃんはこんな犬みたいな見た目でも結構頭が良い、それに家の家事などもできるのでなんだかんだ頼れる姉なのだ…小さいけど
「わんわん!おねーちゃんにまかせなさーい!」
耳と尻尾をパタパタとさせて胸をどんと叩く姉ちゃん、なんだか小さい子供を見ているようで微笑ましいなぁ
「へー…最近のって結構難しいんだねー」
「あれ、姉ちゃんでも分からない感じのやつ?」
「んー?いいやー、人に分かりやすく説明するのが難しいなってだけだよ。ええと、ここはこの公式を使って数値を求めるんだよ?それから代入して…」
「へー…あ、解けた」
姉ちゃんってば難しいとか言ってたわりに分かりやすく説明してくれるじゃん、やっぱ頭いいんだなぁ…見た目は子供だからそうでもないけど
「姉ちゃん説明上手だな、やっぱ頭いいなぁ」
「わふふ!ご褒美に撫でてくれても構わないのだよ!」
「姉ちゃん撫でると嬉ションするからイヤ」
犬だと思って不用意に撫でると漏らすのだ、本人曰く嬉し過ぎて…と言っているが毎回汚されるのは勘弁だ
「わふー…撫でてよぅ、撫でてよぅ」
「うっ…」
服の袖をくいくいっと引っ張っておねだりしてくる姿が愛らしくてつい手が出かけた、危ない危ない…
「じゃあちゃんとおトイレ行ってくるからぁ、ねっ?それだったらお漏らししないよ?」
「この前それでも漏らしただろ」
「わぅぅ…アキオぉ…」
耳や尻尾がシュンとなるクルミ姉ちゃん、ちょっと可哀想な気が…いやしかし部屋に漏らされるわけには
「あっ、そうか!アキオの方が撫でられたかったんだよね?うんうん、ちゃんと問題解けたもんね!」
「は?いやいや姉ちゃん…」
「ごめんねおねーちゃん気づかなくて…よしよし、アキオはちゃんと解けてえらいねぇ〜♪」
急に姉ちゃんが元気になり、そのもふもふとした手で俺の頭を撫で始めた
身長差が激しいので、俺は座ったままだが姉ちゃんは立ち上がって俺の撫でている…なんか面白いな
「あの、姉ちゃん?」
「わぅ…そうだよね、私はアキオのおねーちゃんだもん!アキオ、たくさん私に甘えてくれていいよ〜♪」
何か勘違いをしているらしい、まぁ悪い気はしないのでこのままでもいい気がする
「わんわん、毛繕いもしてあげなくちゃね〜♪」
「あ、こらぺろぺろ舐めるな」
犬のように舐めて毛繕いを始める姉ちゃんの身体を掴み引き剥がす、もふもふとしている身体は小さいので大した労力もなく剥がせる
「う〜…」
「唸るな、宿題終わったら一緒に散歩行くんだろ?」
「わんっ!そうだったそうだった、早く宿題を終わらせなくちゃね!これはこうして…」
姉ちゃんが分かりや
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