俺にとって、ユウねーさんは母親のような存在だった
確かに新しい母さんもいたけど、親父と同じで仕事が忙しかったためにあまり子供に構えてなかった
そのため、小さかった俺の面倒を見てくれたのは姉たちだった
シロ姉は初めて自分より下が出来て、慣れないながらも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた
シルクねぇちゃんは無口だったけど、いつも近くで守ってくれていた
もうその時には大人だったシャクヤ姉さまとユウねーさんはそんな皆を見守ってくれていた
シャクヤ姉さまは、甘やかすのは為にならないからと言って必要以上に甘やかすことはなかったけど…ユウねーさんはその分俺たちを甘やかしてくれた
今まで母親がいなかった俺は、それはもう見事に甘やかされていた
初恋の相手はユウねーさんだったし、今でもそういう気持ちがないと言えば嘘になる…というよりねーさんは今も異性として好きだ
だから、ユウねーさんは俺にとって母親のような存在であり…特別な存在なのだ
そんなユウねーさんから、大事な話があると部屋に呼ばれた…一体何の話なのだろうか?
夜ご飯も食べ終え、そして風呂に入りあとに支える予定もないから早速向かおう
「ねーさん、俺や」
「あら、開いてるわよぉ」
部屋に行くと、ユウねーさんがお酒を飲んで寛いでいた
もう酒に酔っているのか、少し顔が紅潮している
「大事な話ってなんや?」
「まぁまぁ、たっくんも飲んで飲んでぇ」
ねーさんが、空いていたコップにお酒を注ぐ
「おおきに、話聞きながら飲ましてもらうわ」
「えぇ…それじゃ、まずは…どこから話しましょうか」
「何の話か分からんけど、最初からでええんやないの?」
「そう、ね…これはたっくんについても大事な話だから…ちゃんと聞いてね」
ねーさんが真剣な表情で、ゆっくりと話し始めた
「たっくんがこの家から連れ出されたのは、お父様とお母様がたっくんの身を案じて…と聞いてるのよね?」
「え?そうやな、確かまだ年端もいかない俺を姉さん達が襲わないように…ってなんや問答無用に連れ出されたけど」
あれは忘れもしない出来事だろう、あれ以上に衝撃な出来事は他にない
「…その話をお母様達にしたのは、私なのよぉ」
「え、どういうことや?」
「たっくんは知らないかもしれないけどね…たっくんがうちに来た時から私達姉妹はたっくんのことを狙っていたのよ、夫としてね」
「それは親父から何となく聞かされたけど…」
「魔物は本能に忠実な生き物なの、本来ならあらゆる手を使ってでも気に入った男性を手に入れるんだけど…」
そのことはよく知ってる、おれは今まで魔物に関する研究所にいたんだ
研究所で学んだ時には衝撃を受けたものだが
「その時のたっくんはまだ6歳でしょう?そんな小さい子を無理やり…だなんて、心に大きな傷を与えてしまうかも知れない…でも、すぐ近くに、手の届く距離に好きな男性がいて何年も我慢ができる程、魔物は本能を抑えることなんて出来ないのよぉ」
「確かに…本能を抑えきれずに魔物が男を襲うなんてニュースは日常茶飯事やしな」
「だから私はお父様とお母様に言って、たっくんを遠いところに置いてもらうように頼んだのよ。いや…違うわね、私自身が抑えが効かなくなって襲って…たっくんに嫌われることが怖かったのよ」
「ねーさん…」
「たっくんには嫌われたくなかった、でも他の姉妹達に先に襲われるのも見てられなかった…そんな自分勝手な理由でたっくんを家から離れさせたのよ、私は…」
ねーさんは泣いていた、あのいつも温和なねーさんが泣くところなんて初めて見た…俺との別れの時には見せたかった涙だ
「…でもそれって、俺のことも考えてくれたからなんじゃないんか?」
「違うわ…私は自分のことしか考えないで、たっくんだけじゃなく姉妹たちにも辛い想いをさせてるわ…」
「せやろか?だって本当に自分のことしか考えてなかったらわざわざこんなこと俺に言わなくて良かったやん、そのまま襲ってくれてたらころっと堕ちるで?性欲有り余った年頃の男子やもん、俺」
ねーさんは涙を流すほど…かつての俺との別れ以上に辛い想いでこの話をしてくれた、ということはねーさんはそのことに罪の意識を感じてくれている
「姉さん達に奪われたくないって気持ちはあったかも知れんで?俺に嫌われたくないって思いがあったのは、まぁ…俺自身も好きな人からは嫌われたくないから分かるわ。…でも、それの何が悪いんや?」
「…え?」
「だって、そんなん普通の感情やで?そんなんに悪いなんて言ってたら俺かて悪者になるやん…まぁそれで犯罪を犯すってんなら話は別やけど、ねーさんは別に
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