朝の眩しい日差しで目が醒めた
「おはようございますわ、ご主人様」
ブランシェさんは昨日と変わらぬ位置にいた、ずっといたのだろうか
「あぁ、おはよう…もしかしてずっといたのか?」
「はい♪」
「…ちゃんと寝たのか?」
「はい、そもそも魔物は人間と違いそこまで睡眠を重視するわけではありませんが…」
「いや…なら、いいんだ」
「あらあら、ご主人様ったら私の心配をして下さっているのですか!?もう、嬉しいのでブランシェの抱擁を差し上げますわっ♪」
そういってぎゅっと抱きしめてくるブランシェさん、朝から大胆なメイドさんだ
「ちょっ、ブランシェさん!」
「…あら、この腰に当たっているのはなんでしょうか♪」
俺は健康な男子なわけで、まぁ朝の生理現象とブランシェさんの抱擁と来たら…
「っ!は、離れてくれ…マズイよ…!」
「まぁまぁ、そんなに照れなくてもよろしいのですよ?ふふ…男の子ですものね♪」
「か、顔洗ってくる!」
顔を洗うことを方便にブランシェさんから逃れようとする
「はいっ、ご一緒いたしますわ」
「え…」
「メイドですもの、ご主人様の朝の身支度をお手伝いさせていただきますわ♪」
「…顔洗うのはいいや、着替えるから…」
「はいご主人様、こちらに用意してありますわ」
そういって綺麗にされた制服を渡してくるブランシェさん、いやそういうことじゃなくて…
「あの、着替えるから…」
「はい、ではズボンを履いていただくのでおみ足を…」
「いや、違うだろ?ブランシェさんがいたら着替えられないから、な?」
「…ご主人様」
少し強く言いすぎたか…ブランシェさんの頭が下がり、尻尾と耳がシュンとする
「あ…その、だから…邪魔とかじゃなくて、恥ずかしいから外にいてほしいというか…」
「ご主人様はブランシェがいらないというのですね…シクシク」
背を向けたブランシェさんから涙の音が聞こえてくる
「うるうる…」
「き、着替えるから手伝って欲しいなぁブランシェさん!」
「はいっ、かしこまりましたわっ♪」
一転して尻尾を振り円満の笑顔…分かってた、嘘泣きってのは分かってたよ!
でもさぁ!分かっててもダメなものはダメなんだよぉ!
「ベルトはこれくらいでよろしいですか?」
「…あぁ」
「ではネクタイを締めますので、首をあげてくださいねー」
少し屈んでネクタイを締めてくれるブランシェさんは自然と俺を見上げる形になって…
ってこのネクタイを締めてもらうの、なんか新婚さんみたいだな…
「ふふ…なんだか新婚さんみたいですね♪」
「ほぁっ!?」
心を読まれたか、ブランシェさんが俺の考えていたことを口に出す
「ご主人様、いかがなされましたか?」
「な、何でもないよ…」
「そうですか、では朝食が出来上がっているので下のリビングまで行きましょう♪」
ブランシェさんに背を押されながらリビングまで降りてくる
「朝ごはんがちゃんと用意されてるとは…」
「朝なので食べやすさを重視致しました、ブランシェ特製のホットサンドとホルスタウロスのミルクですわ。」
ブランシェさんが用意してくれたホットサンドは具材がバランスよく入っており、見た目も綺麗だ
「はい、お口を開けてくださいまし。あ〜ん、ですわ♪」
「…あーん」
もう食べさせてもらうことに突っ込むのはやめよう、うん美味しいなぁ
「美味しいなぁ、市販のとは大違いだ」
「それは勿論ですわ、材料の厳選から料理法までメイドとして完璧な仕事をしていますから」
さも当然のように言ってのけるブランシェさんだが、嬉しそうに尻尾を振っている
「でも…美味しさの一番の秘密は、ご主人様への「愛」ですよ♪」
「っ…あ、朝から何言ってんだよ…」
一々発言がドキッとする事ばかり言って…
「はい、ミルクもどうぞ〜」
「…ありがと」
「ホルスタウロスのミルクですから栄養満点ですよ♪」
ホルスタウロス…前にテレビで見たことがある、乳牛の魔物で大変栄養価の高い乳が搾乳出来るから人間の間でも有名だ
「…初めて飲んだけど、美味しいなぁ」
「えぇ、知り合いに頼んで搾りたてを貰っていますから♪」
なんと贅沢な…ホルスタウロスのミルクは高いって聞いているが
「…ご馳走様、美味しかったよ」
「はい、お粗末様ですわ」
久しぶりに朝から充実した飯を食べれたなぁ…なんかいつもより元気な気がする
「よーし、じゃあそろそろ学校行ってくる」
「あ、ご主人様!こちらをお持ち下さいませ」
ブランシェさんが俺に四角い包みを渡してくれた
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