歓迎会の次の朝、皆が起き出したので俺も家事を手伝う為に起きる
「皆おはようさん」
「おはよー!今日も元気に行くよー!」
「おはようございますたくまちゃん、しっかりと起きられて偉いですよー」
「…たくま、おはようなの」
「あらあら、朝からみんな元気ねぇ」
「うむ、朝から元気なのは良いことだな」
シルクねぇちゃんの作った朝ごはんを皆に運んだり、食器などを用意して朝の支度を手伝う
「朝からたくまちゃんの用意してくれたご飯だなんて、お姉ちゃん嬉しくて天に昇っちゃいそうですよ」
「いや、作ったのはシルクねぇちゃんやぞ」
「そろそろ時間ないや!いただきまーす!」
各自朝ごはんを食べて仕事や学校へ行くために急いでいるらしい
「行ってきまーす!」
「行ってきますね、たくまちゃん」
「…行ってくるの」
「わしも出るかの」
みんなさっさと家から出て行ってしまう
「皆大変そうやなぁ」
「そういうたっくんは暇かしらぁ?」
「あれ、ねーさん?俺は確かに暇やけど…」
「だったら私のお仕事手伝ってくれないかしら?ちょっと若い手が足りてないのよねぇ」
仕事の手伝い…俺で役に立つだろうか?
「俺でええんか?あまり力仕事には向いてないと思うんやけど」
「あらあら、たっくんは女の子のお願いを断るのかしらぁ?」
「別に断らんが…まぁええか、俺でいいなら手伝うで」
「いい子ね、そうやって女の子のお願いを聞ける男の子はモテるわよぉ」
まぁ別にモテようとか思うわけでもないけど、それでねーさんが喜ぶなら…
「じゃあ行きましょうか、今日はよろしくねぇ」
…
家を出てから10分ほど歩くと、長い階段の続くねーさんの仕事をしている神社についた
「昔、みんなでここのお祭りに来たことがあったわよねぇ…たっくん覚えてる?」
「あー…確か親父とか母さんもいたっけなぁ、少しだけ覚えとるわ」
そういえば、それ以外でお祭りなんて行ったことがなかったなぁ…
「あれ、そういえば家族みんなで一緒に出かけたことあるのってあの祭りだけだった気がする」
「…そうねぇ、あの後はお父様やお母様は忙しくて会えない日が続いたし…たっくんもすぐにいなくなったから…」
「まぁそれはしゃあないやろ、親父の手伝いしてて分かったけどやっぱり忙しいしなぁ…」
「ねぇ、たっくんは…離れ離れになったこと、怒ってる?」
怒ってる…か、どちらかというと離れたことによる悲しみが大きくて怒るなんてできなかったわけだが
「…そりゃあ、親父を怨んでないと言えば嘘になるで」
「…そう」
「でも、親父の行動が間違っていたとは思わん…現にこうやってある程度自分で何かできるようになっとるからな」
「え?」
「俺はあのままねーさんたちと一緒だったら今頃何も出来ないままやったと思うで?だって、大概のことはねーさんたちが甘やかしてやってくれたし…」
ねーさんたちが姉として俺を甘やかすのは今でも変わらないけど、俺はそれに甘えるだけじゃなく応えていけるようになった
「昔の俺は甘やかされるだけやったけど、今こうやってねーさんが俺を頼って仕事の手伝いをお願いしてくれるのは少なからず俺が頼ることができる器になったからやし…そうしてくれたのは親父やからな、まぁ問答無用に連れて行かれたのは気に食わんが…」
「…たっくん、立派になったのねぇ」
急に抱きしめられた、もとい身体に巻きつかれた
ユウねーさんの抱擁は、シロ姉と同じような身体に巻きついてくる抱擁だ
しかしシロ姉のように勢い余って締め付けるようなことは無く、割れ物を扱うような優しい丁寧な抱擁でシロ姉とは違った柔らかさを感じる
「ね、ねーさん…恥ずかしいで」
「いやぁ、お熱いですなぁ」
ねーさんに抱きつかれていると、着物を着た初老の男性が声をかけてきた
見た所、この神社の神主さんのようだ
「あらあら、おはようございますわ神主さん」
「お、おはようございます…ね、ねーさん恥ずかしいから離れて…!」
「いえいえ、そのままで大丈夫ですよ。仲が大変よろしいようで羨ましい限りですなぁ」
「前に言ってると思うけど、弟のタクマですわ。今日は私のお仕事を手伝いに来てくれたのぉ」
「よ、よろしくお願いします…」
「ユウ様からは毎日何度もお話しを伺っていますよ、タクマ様…今日はようこそいらっしゃいました」
そういって握手を交わす神主さん、いい人そうだ
「お仕事を手伝いに来た、と言いましてもまずは何をするか聞いていいですか?」
「もう少ししたらこの神社で祭りがありましてな、それの準備の手伝いをお願いし
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