愛して愛されて

「はい、これお弁当だよ。今日も頑張ってね」


「おっ、いつもありがとうねレオナさん」


当たり前のように、俺…大村カイは自分の家のキッチンにいる天使からお弁当を受け取る


「あはっ、お礼なんていらないよ。私にはこれくらいしかできないから」


「いやいや、一人暮らしの学生にとっては大助かりだよ。購買は混んでて大変だからなぁ」


何故家にこの天使…キューピッドのレオナさんがいるのか?それは数ヶ月前の出来事。


天界から人間界に降りてきたばかりのレオナさんが、慣れてない場所に来たせいか転んで足にすり傷を負ってしまったのを俺が偶然通りすがって応急処置をしてあげたのが始まりだった


その時の俺はまさか相手が天使だとは夢にも思わなかった、確かに羽根があったし人並み外れた美貌の持ち主だったが…あと桃色の髪と褐色なのは個人的にポイント高いっす


レオナさんは最初、恩返しにキューピッドの能力で好きな子や気になる子とくっつけるようにしてくれるって言ってくれてたんだけど俺は今のところ学校とかで気になっている女子などはいないからやめにした


まぁそんなことがあり、レオナさんは恩返しの為に俺に好きな人ができるまで身の回りの世話とかをしてくれているのだ


「ふーむ、このまま好きな人ができないとレオナさんは俺の身の回りの世話をし続けるわけだけど…」


それは助かるがレオナさんには大変だろう、レオナさんの気が変わればその心配はないわけだけど…


レオナさんって大人しいけど決めたことはきっちり守る固い意志を持ってるからなぁ


「どうしたのカイ?悩み事かな、私でよかったらなんでも聞くよ」


「あぁ、いや…このままだとレオナさんに負担かけちゃうなぁって思ってさ」


「カイは優しいね、でも大丈夫だよ?カイは人間界に来たばかりで、右も左も分からない怪我をした私を助けてくれたんだもん…こんなんじゃ全然恩返しにならないよ?」


もう十分恩返ししてるんだよなぁ…


事あるごとにこういうことを言うが、レオナさんの意思は変わることがない…


俺はいいけどさ、こんな美人な天使が俺の身の回りの世話とかをしてくれるなんて夢のようなわけだし…


「…まぁ、いいや。それじゃあそろそろ学校だから行くわ」


「あはっ、いってらっしゃい♪」





私はキューピッドのレオナ、愛の女神エロス様に仕える天使


弓で心を射抜いて恋人達の愛の姿を見るのが大好きで、人間界で恋人達を沢山作ってあげようかと思って降りてきたんだけど…


「いたた…転んじゃった」


いざ人間界へ降りたら、慣れてない土地なのでついうっかり転んでしまった


これくらいのすり傷だったらすぐに治るから放っておくんだけど、それをたまたま通りすがった一人の男の子が応急処置をしてくれたの


「大丈夫ですか?俺、いつも絆創膏持ち歩いてるんで…はい、これで大丈夫だと思いますよ」


「ありがとう…私はレオナ、君は?」


「俺ですか?大村カイっていいますけど…」


これが、私とカイの運命の出会いなんだ


私は助けてもらったお礼に、好きな人とくっつけてあげようとしたんだけど…


「天使?キューピッド?あははは、面白いなぁレオナさん!そんなものいるわけないっしょ!」


「ほ、本当なんだってばぁ…私はキューピッドで、人と人をくっつける力があるの」


こんな感じで、最初はまるで信じてくれなかったんだ…まぁ確かに信じられないかもしれなかったけど


でも、ちゃんと説明したら私を信じてくれた


「ほーん、で?天使でキューピッドなのは分かった、けど俺今好きな人とかいないしなぁ…」


「そ、そうなの?君ぐらいの年頃なら好きな人の一人や二人…あっ、別に相手は女の子じゃなくて男の子でも大丈夫だよ?」


「やめろ、その攻撃は俺に効く。やめろ」


「あぅ…」


助けてもらったのに、恩返しが何もできなくて…それで私はカイの好きな人が見つかるまでカイの身の回りの世話をすることにしたの


カイみたいないい人に恋人がいないなんて、そんなのおかしいし…何よりカイには幸せになってほしいんだ





学校が終わり俺は家に直帰する、学校に残っててもやることないし


「レオナさんも家にいるし、早く帰ろっと」


あんな美人な天使がお出迎えしてくれるのはきっと俺の家くらいだろう、俺は自然と家への足取りが早くなっていた


「ただいまー」


「カイ、おかえり。今日もお疲れ様、誰か好きな人できた?」


「いや…」


「そっか、できたら教えてね。」


レオナさんは帰ってきて早々に恋人について聞くがそもそも身近にレオナさんみたいな天使がいたら他の女なんてまず目に入らないし…


って、これじゃ俺がレオナさん
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