「へぇー、あんたが新しい家族?本当に男の子なんだ〜」
「う、うん…」
今日、私の元に新しい家族がやってきた
大きい男の人と、私より小さな男の子だ
大きい男の人はママと結婚して、この小さな男の子は私たちの弟になる
「あんた、今日から私の弟になるのよ!私のことは…そうね、「ねぇねぇ」って呼びなさい!」
「…ねぇ、ねぇ?」
「よーし、それじゃあ今から遊びに行くよ!タク!」
「え、えぇっ?い、今から…?」
「何よ、いやなの?」
「い、嫌じゃなくて…まだ荷物とか片付けてないし、家事とか…」
「そんなもん大人に任せればいいの、子供は遊ぶのが仕事なのよ!さっ、行くわよー!」
私は嬉しくて、タクの手を引っ張って外へ遊びに行った
「何、あんた虫も捕まえられないの?…しょうがないなぁ、私が教えてあげる!」
楽しかった、ただ楽しかった
「いい?釣り餌の虫はこうやってつけると長持ちするのよ!」
誰かと一緒に遊ぶことが、すごい楽しくて仕方がなかった
たぶん、今までタクも外で思いっきりはしゃぐことがなかったのだと思う
タクは私のどんな話も真剣に聞いて、笑ってくれて…
「いいタク、私はお姉ちゃんです!お姉ちゃんの命令には弟は絶対に従わなくちゃいけません!」
「う、うん…分かった」
「じゃあ命令その1!お姉ちゃんにはちゃんと甘えること!変に遠慮しないで素直ないい子になることね!」
「ど、どうすればいいの?」
「うーん、とりあえずお姉ちゃんにしてほしいことがあったら言うの」
「…じゃあ、僕…ずっとねぇねぇと一緒にいたいな」
うん、そうだね…ずっと一緒にいようね
「命令その2!好き嫌いはしないこと!…ちゃんと色んなもの食べないと身体悪くしちゃうから、好き嫌いしないでよく食べるいい子になるのよ?」
「わかった、好き嫌いしないしちゃんと食べる!」
「タクは小食なんだもん、ちゃんといっぱい食べないと大きくなれないわ!」
「うん!」
「じゃあ最後は…大切な人ができたら、ちゃんと幸せにしてあげること」
「大切な人?母さんやねぇねぇとか?」
「うーん、ちょっと違うかな?」
タクには、まだ早いかも知れないけど…
「タクが、本当に好きで…愛する人ができたら、幸せにしなきゃダメなのよ?泣かせるなんて絶対にダメなんだから!」
「う、うん…」
「これは、命令じゃなくて…約束よ?」
「約束…分かった、僕約束ちゃんと守るよ!」
「よーし、じゃあ破ったら承知しないぞー?」
この時から、私はもうタクが大好きだった
だってこんな身近にいる男の子だよ?
好きにならないわけが無いよね
もし、もしだよ?
そんなタクが、私を選んでくれたら…こんなに嬉しいことはないの
いつしか私はそんなことを考えて…
「…ありゃ?夢か…」
夢だったのかぁ…懐かしい夢見ちゃったな
約束…か、私は忘れてないけど…タクは流石にもう覚えてないよね
「…zzz」
「ふふ、呑気にいびきなんかかいちゃってさ…」
「…ねぇ、ねぇ…zzz」
「あらやだ、夢にまで私が出てるの?ちょっと恥ずかしいな…」
…まったく、タクはお姉ちゃんっ子なんだから
「…ん、朝か…」
「おはよ、いい夢見れた?」
「え?うん、まぁいい夢やったけど…」
「えへへ〜、そうかそうか〜」
お姉ちゃんが出てる夢がいい夢だなんて、嬉しいから撫でてあげよう
「な、なんや朝から…?」
「んー、嬉しかったから」
「まぁええわ…朝ごはんの準備するわ」
「みんなそろそろ起きてくるしね」
本当はもうちょっとタクと一緒に寝たいんだけど、タクも家事をやらなくちゃいけないからなぁ…
「あ!そうやねぇねぇ」
「何、どうしたの?」
「今日さ、ちょっと二人で出掛けへんかなって…ほら、確か最近新しい遊園地が出来たから」
え、これってまさか…デートのお誘い!?
「ね、ねぇ…それってあれ?姉弟で楽しむんじゃなくて、恋人としての…で、でで、デートってこと!?」
「まぁ…そうなる、かなぁ」
ちょっとだけ恥ずかしそうに言うタク…まさかタクからこういうこと言ってくるなんて!
「それって、つまり私をデートに誘ってくれたの!?」
「あ、あぁ…デートに行こう、ねぇねぇ」
「う、うん!うん!行こう!」
…
そんなわけで俺はエルねぇねぇをデートに誘い、件の遊園地までやってきた
いつもねぇねぇに連れまわされてるからたまには自分から誘ってみたが喜んでもらえたみたいで良かった
あぁやって目に見えて喜んでもらえるとこっちも嬉しく思
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