エルルート2「あなたが大好き!」

帰ってきてからもねぇねぇは元気だった


「タク、何かして遊ぼー!」


「ねぇねぇは元気やの、俺は今日久々に遊んで疲れたから…あまり激しいのはダメやで?」


「そうなの?じゃあ…庭でゆっくりしよー」


庭か…さっき風呂に入って少し体も火照ってるし少し冷ますのに丁度いいかもしれない


「まぁそれならええかな」


「やったー!じゃあ先行ってるねー!」


瞬く間に庭の方へ行ってしまった、早いな


「…なんかお菓子とか持って行ってあげるかな」


「あらあら、大変そうねぇたっくん」


台所の棚でお菓子を探していたらユウねーさんに会った


「大変って、何がや?」


「エルちゃんよぉ、あの子ってば結構活発だから遊び相手になると大変なのぉ」


「あぁ、なるほど…まぁ楽しいし心配はいらんよ」


「あらあら頼もしいわぁ、それじゃあ私のお酒の相手もしてもらっちゃおうかしら?」


「ねーさん、生き物にはできることのキャパシティーってもんがあってな?」


「あら残念、じゃあまたの機会にしましょう」


そういってねーさんは棚から菓子の袋を一つ取ると台所を去った


「さて、俺も行こっと」


適当な菓子を持って庭まで行く


「ねぇねぇー?」


周りを見ると誰もいない、先に行ったはずなんだけどなぁ


「あれ、おかしいなぁ」


「タクー!こっちこっちー!」


おや、どこからかねぇねぇの声が…


「上だよー!」


「上…?」


声のする方を見ると、ねぇねぇは屋根の上にいた


「なんや、そんなところにいたんかいな」


俺が気付くと、ねぇねぇが下に降りてきてくれる


「えへへ、やっと来たね」


「あぁ、遅くなってすまんの…ほら、差し入れ持って来たんよ」


「わぁい!流石はタク、気が利くじゃないの!」


ねぇねぇが喜びながら俺を持ち上げて飛ぶ


「おぉっ!?」


「タクも一緒にココでくつろごうよ、綺麗だよー」


家の屋根に下された、確かにここら辺は遮るものが無いので夜景が綺麗に見渡せる


「いや、危ないってねぇねぇ…足とか滑らせたらどないすんの」


「大丈夫!私飛べるし、タクが落ちそうになったら助けてあげるよ」


持ってきた菓子を片手に、羽をひらひらさせるねぇねぇ


「い、いやそういうことやなくて…」


「ほらほら、私の横においで?」


危なくなったら助けてくれるらしいし、注意しながら慎重に屋根を歩き横に座る


「ぉ…」


ねぇねぇの横に来ると、ねぇねぇが月明かりに照らされて綺麗だった


蒼い髪や羽根が月明かりを反射して薄っすらと光る幻想的な美しさに、暫し見惚れてしまった


「おーいタク、ボーッとしてるぞー?」


「あ、あぁ…ごめん、確かに綺麗だったからさ」


「そうだよね、私もここから見る景色大好きなんだー!ここ私だけの場所なんだけど、タクは特別に来ていいことにしよう!」


「まぁねぇねぇがおらへんかったら上には上がれないんやけどな」


「それもそっか、じゃあまた一緒にね」


「せやなぁ…ふぁぁ…」


む、少し眠くなって来たな…


「タクったら大きな欠伸だね、眠いなら少し寝る?そうだ、お姉ちゃんの膝を貸してあげる」


ねぇねぇがポンポンと膝の上に手を乗せる


「いや、そんな…悪いよ、それに外だと風邪引きそうやし…」


「大丈夫だよー、少しして起きないようだったら部屋まで運んであげるし…せっかくだから弟に膝枕してあげたいなーって」


「そ、そこまで言うなら…じゃあ…お言葉に甘えて」


ねぇねぇの膝に頭を乗せる、ふわりといい匂いがして女性特有の柔らかさが伝わってくる


「えへへ、なでなで〜」


「ぅ…ぁ…」


膝枕をしたまま頭を撫でるねぇねぇ、羽毛のような感触の腕でされると眠気が更に襲ってくる


「可愛い寝顔だー、こういうのってシルクやシロナの役目だったから私もしてあげたかったんだよね」


「すー…」


「えへへ、タク…タクってば…起きないと風邪ひいちゃうぞ」


「…ん、ん〜…まだ、寝る…」


「こ、こらタク…もう、しょうがないんだからぁ…」


朧げな意識の中で浮遊感を覚えた、これは夢か…?


「仕方ないから部屋まで運んであげる、まったく世話の焼ける弟なんだから…♪」


「ねぇ…ねぇ…」


「やだ、タクったら私の夢見てるの?えへへ〜、可愛いやつめぇ♪」


頭がぼんやりしている…夢の中にねぇねぇが出て来てくれてる


「ほらタク、部屋についたよ?」


「…離れたくないぃ…」


「タク…そうだよね、離れたくないよね」


ぎゅっと、夢の中でねぇねぇが抱きしめてくれる…あったかい


「久しぶりに子守唄、歌ってあげるよ…だから、安心して
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