エルルート1「ねぇねぇと遊ぼう」

歓迎会、起きるとエルねぇねぇが隣で寝ていた


「そういや昨日ねぇねぇを運んだまま寝たんだったな」


たしか反対側はシルクねぇちゃんだったが、もうすでに起きているのかいなかった


「…すー…むにゃ…」


幸せそうな寝顔だ、起こさないでおいてあげたほうがいいだろう


「みんないないのかな」


台所に顔を出すとねぇちゃんが家事をしていた


「…たくま、おはよう」


「ねぇちゃんおはよう、みんなは?」


「…エル姉さん以外は学校とか仕事とか」


「そうか、みんな忙しいもんなぁ」


「…ん、はい朝ごはん」


ねぇちゃんに朝ごはんを渡された、朝にぴったりの焼き魚とかの和食だ


「ねぇねぇ起こしてきたほうがいいかな、気持ちよさそうに寝てたから起こさなかったんやけど」


「…ご飯の匂いで起きてくるの」


「うーお腹すいたなー!朝ごはんちょーだい!」


本当に起きてきた、お互いを理解してるところは流石姉妹だ


「あれ、タクも今からご飯?いやーお互いにお寝坊さんだねー」


「まぁな、昨日はちょっとはしゃぎ過ぎたかな」


「そうだよねー、タクったらはしゃぎ過ぎて何人かに分身してたもんね」


いやそれはねぇねぇが酔っ払って視界が安定していなかっただけ、はしゃぎ過ぎて分身とかどこの忍者だ


「…姉さん、たくま、そろそろ学校だから行くね」


「はーい、いってらっしゃい!」


「大変やなぁ、いってらっしゃい」


ねぇちゃんも出て行った、ねぇねぇと二人きりになったがねぇねぇは特にないのだろうか


「ねぇねぇは学校とかないん?」


「私のとこは今日は休講、なんか創立記念日なんだってさ」


「お休みかー、俺も仕事から離れたから暇なんやけど」


「じゃあ久しぶりにさ、二人で遊びに行こうよ!」


ねぇねぇと遊びに…か、外の天気も快晴だし遊びに行くのもいいだろう


「ええよ、何するんや?」


「海の方で釣りでもしようよ、昔よくやったよね!」


そういえば昔ねぇねぇに海の方へ釣りに連れて行ってもらったな


で、魚を引っ張り上げる時にまだ小さかった俺はバランスを崩して海に落っこちて…


「昔さー、タクったら海に落っこちたことあったよね!その時私が引き上げて助けてあげてさぁ…」


「あぁ、あったあったそないなこと!いやー、俺ってばそれが原因で未だ泳げないんやけどな」


「ありゃ、そうなの?じゃあ釣りはやめとこうか?」


「いや、もう流石に不注意で落ちるようなアホせえへんよ!釣りは久しぶりやし、せっかくやから行こうや」


「そう?じゃあ釣竿とか準備してくるから外で待っててね!」


そういってねぇねぇは準備のためにリビングを離れた、俺も外に出ていよう


「ねぇねぇと出掛けるんは久しぶりやなぁ」


ねぇねぇとの小さい頃の記憶はよく覚えている、それは他の姉達に比べて遊ぶ頻度が高かったからだ


シャクヤ姉さまとユウねーさんは俺が小さいから大きくて忙しかったし、シルクねぇちゃんとシロ姉は積極的に外へ遊びに行くタイプじゃなかった


だから俺はねぇねぇと外で遊ぶことが多かったし、俺の小さい頃の記憶はねぇねぇと遊ぶことが大多数を占めていた


俺の小さい頃の経験はほとんどがねぇねぇに教えてもらったものだ


ねぇねぇは結構自分の好きなように行動するんだけど…姉御肌というか、なんだかんだ面倒見が良かったから俺も楽しく子供時代を過ごしていたなぁ


「おまたせタク!…あれ、なんかぼーっとしてるけど大丈夫?」


「いや、ねぇねぇと出掛けるんは久しぶりやから少し思い出に浸ってた」


「もう、タクったらお姉ちゃんっ子なんだから♪」


ふわりとした羽根で抱きしめられた、この抱擁は気持ちよすぎて自分から離れられない


「うん…俺はお姉ちゃんっ子やから」


「えへへ…もぅ、可愛いぞっ♪」


しまった、自ら深みにハマってしまうとは…やはりこの底なし沼のような気持ちよさの抱擁は危険だな


「んー、タクは大きいから抱きしめ甲斐があるねぇ」


「ね、ねぇねぇ…釣りは?」


「あ、そっか。早く行かないと時間なくなっちゃうもんね」


ねぇねぇが離れる、少し残念だがあのままだとずっとひっついているだけで1日が終わりそうだったから良しとしよう


「よーし、それじゃあ海まで行くよー!」


「おー、って…ねぇねぇ?」


ねぇねぇが俺の腰あたりをを鳥のような脚で掴む


「飛ぶよー!」


「お、おわぁぁぁぁぁぁ!?」


ふわりと浮遊感が俺を襲う、ねぇねぇが俺を掴んで飛んでいる


そうだ、確か昔もこうやってねぇねぇに飛んで近所の海辺まで連れて行ってもらっていたんだったな


「久しぶりだねー、タクを運んで飛ぶのは」
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