鉱山への道を並んで進む我輩とジャイアントアント。
あれから1週間ほど経ったが、我輩の刀の鑑定はまだ終わっていないらしく、採掘と鍛冶の技術を学ぶ作業をずっとやっているである。
ミラル殿の店で働く者達は皆面白く、毎日楽しく働かさせてもらっているである。
…実は言うと弥生が「授業料は輝はんの体(昼の肉体労働的な意味で)で払う。」なんて事を言ったおかげでこうして採掘までやっているわけであるが…
「うーん…今日も絶好の採掘日和だね!」
「それは良いのだが…何故今日は他の者を連れて来なかったのであるか?」
「体調を崩しちゃったみたいでね…風邪が1人、腰痛が1人、二日酔いが2人。」
体調が悪いのなら仕方がないが、二日酔いであるか…
お酒と言う物はほどほどに飲むのが一番であるからな、潰れるほど飲むのは体に負担がかかるだけである。
「でも…そのおかげで輝さんと二人っきり……えへへ。」
「今日の採掘量は悲惨な事になりそうであるな…」
だがまぁ…ジャイアントアント殿が嬉しそうだからよしとしようか。
さらに歩く事数分、前方から何かがやってきた。
人目で魔物と分かる馬のような下半身…彼女の下半身は、清らかさを現しているかのような白く美しい体毛に覆われているな。、
何よりも特徴的なのは彼女の額にある一本の角だろう、ケンタウロス種の魔物で角がある魔物は我輩は2種類くらいしか知らん。
我輩の感が正しければ彼女はユニコーン…我輩が絶対に関わってはいけない魔物である。
「あっ、ユニコーンさんこんにちわ!」
「こんにちわ、これからお仕事?」
「はいっ!これから二人っきりで…えへへ…」
「二人?…もう一人の方はどちらにいらっしゃるので?」
「えっ?……なんで隠れてるの?」
「いや…我輩が近づくと悪影響が出そうなので…」
「ふふっ、気遣ってくれたのですね…大丈夫ですから出てきてください。」
………いかん…彼女は本当に我輩が関わっていい相手じゃないである…
これほどまでに何かを汚したくないと思ったのははじめてかも知れん…それほどまでに彼女の放つ雰囲気が清いである…
「自分で言うのもなんだが、我輩はユニコーン殿が思っている以上に汚れてるからな…気持ちは嬉しいが…」
「でしたらこちらから…」
「んなっ!?いやいや!そんな事をしたら……あっ…」
逃げようとしたのだが、草木が邪魔で思うように身動きが取れず、振り払っているうちに我輩の傍にユニコーン殿がやってきていた。
空を映しているかのような美しい瞳が、我輩の目をしっかりと見つめてくる…
「たしかに様々な魔物の匂いがしますね…」
「むぅ……」
「貴方には魔物を惹きつける何かがあるのかもしれませんね。」
「我輩はどこにでもいる普通の人間なのだが…」
「普通の人間だったら複数の魔物と関係を持つなんて出来ませんよ?」
そう言うものなのだろうか…我輩にとっての普通と周りの普通にはそんなにも差があるのだろうか…
そもそも我輩は何なのだ?…我輩に出会う者は大体が我輩を変態だと言ってくる…魔物でも人間でも。
どこで道を踏み外したのだろう…むーん…?
「他の人間とは違うものを持っている…私達魔物からしてみれば、貴方の様な人間はとても魅力的に見えるのですよ。」
「そう言うものなのか?」
「一番重要なのは私達を心から愛してくださるかどうか…愛がなければ幸福な未来は訪れませんから。」
心から愛するか……我輩は琴音達を精一杯愛せているだろうか…
……今日は早めに帰るかな。
「では、私はそろそろ行きますね。」
「旦那様によろしくねー。」
「近い内にお店の方によらせてもらいますわ、明日が結婚記念日なので指輪を送ろうかと思ってるのですよ。」
「ミラル様の作る装飾品はいい物ばかりだからね、帰ったら伝えておくよ。」
「ありがとうございます…では。」
我輩達に軽く微笑むと、ユニコーン殿は町の方へと歩いて行った。
結婚か…今のところは我輩とは縁の無いもの…だと思いたい。
「ユニコーンさんいいなぁ…凄く幸せそう。」
「結婚とはそんなに良い物なのだろうか?」
「体験すれば分かると思うよ?」
「…何故我輩を見つめながら言う…こら抱きつくな!」
「えへへ…すりすりぃ…」
人目が無いとはいえ、こんなに甘えられると恥ずかしいである…
しかし、突き放してしまうのも可愛そうであるし…
「…採掘はどうでもいいのであるか?」
「行くよ?でも…もう少しこのままでいたい気も…」
「はぁ…よいしょっと。」
「きゃっ!?」
我輩は、甘えてくるジャイアントアント殿を抱き上げた。
見た目よりは軽く、抱き上げていてもそれほど苦にはならないな。
「行きだけであるからな?しっかりつかまっているであるぞ。」
「……うん!」
より強く抱きついてくる…あんまり力を入
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