無事に鍵を見つけ、すばらしいものを手に入れた我輩は、やや大きめの扉の前に立っていた。
えっ?入らないのかって?
我輩は直ぐにも入りたいのだが……
「早くせんか、おいて行くぞ?」
「ぜぇ…ぜぇ……もう少しゆっくり…」
「最近の若者は鍛え方が足りないであるな、ほら!座ってないで行くぞ!ハリィ!ハリィ!!」
「くっ…後で覚えていろよ…」
とにかくこの男の足が遅いこと遅いこと…
まだその辺の子供の方が早い位である…
自分で案内すると言った手前放って置く事も出来ず、大幅に進行速度が遅れる事になってしまった…
まあいい、さっさと中に入ろう。
「突撃であ……る…?」
勢い良く扉を開け、中へ入ろうとした瞬間、我輩はその場で固まった。
「どうした?……」
動かなくなった我輩を不審に思ったのか、男が中を覗き込み我輩と同じように固まった。
「どうした?最近だらしねぇな?」
「あれか?見せ掛けだけで超びびってるな?」
……何この濃厚な空間。
「ん?何だお前らは?」
「乱入してくるとはとんでもない奴らだ。」
「こ、こいつらがこの部屋を守っているのか!?」
「そうらしいであるな。」
「こんな所で足止めを食らうわけには行かない!」
そう言って鞭を取り出し、勇ましく突っ込んでいく男。
…貴殿の犠牲…無駄にはしないぞ。
「闇に帰r」
「お前が帰れ!」
「ヴァーーーー!!」
「大きな古時計だっ!」
「へぶっ!!?」
我輩が奥の扉に手をかけようとした時には、情けないほどあっさりとやられてしまっていた…
ちなみに、何が起こったのかを説明すると…
1.男が鞭を振り上げ、オーガに向かって突撃。
2.目にも留まらぬ速さでオーガがサマーソルトキックを男の顎に叩き込む、この時点でミノタウロスが時計を持ち上げて大きく飛び上がる。
3.吹き飛ばされ、宙を舞っている男をミノタウロスが上から時計で押しつぶしにかかる。
4.男、再起不能(リタイア)
この間、僅か10秒である。
「何だ、もう終わりか?」
「歯ごたえの無い奴だな…」
…急いで先に進んでしまおう………んっ?
「あ、開かない…」
「素通りなんてさせねぇぞ?」
「先に進みたいなら、私達を満足させてからにしな。」
むぅ…困ったことになったぞ…
我輩では、たとえ幸運の女神が溺愛してくれたとしても彼女達には勝てんだろうな…
体力的にも、我輩の方が先に音を上げることになるだろうし……
……通じるか分からんがやってみるか……
「いいだろう…どんな手を使ってでも満足させてやるである!」
「そうこなくちゃ面白くない!」
「久しぶりに大暴れさせてもらおうか!」
こちらへ向かってくる二人を満足させるべく…
懐から、調理器具を取り出した。
「ふーっ…食った食った。」
「こんなに食ったのも久しぶりだな。」
「味は大丈夫だったか?久々に料理をしたから腕が鈍ってたかも知れん…」
「美味かったぞ?」
「確かに美味かったな。」
よかった、腕前はまだまだ現役だったようだ。
一時はどうなるかと思ったである…思い付きばかりで行動するもんじゃないであるな…
「腹いっぱい食ったら眠くなってきた…」
「満足してもらえたかな?」
「んー…私は満足したな。」
「右に同じ…ほら、持ってきな。」
オーガが我輩に何かを投げてよこしてきた…これは鍵だろうか?
「先に進みたいんだろ?その鍵で開くよ。」
「すまんな。」
「あんたと戦えなかったのがちょっと残念だが…まあ仕方ないな。」
「ふむ…今度会ったときにでも手合わせ願えるであるか?」
「いつでも来な、こいつ共々相手してやるよ。」
「むにゃむにゃ……もう眠れねぇよ…うへへへ……」
オーガ殿に見送られながら、扉を開いて部屋を後にする。
今度は力比べか…しっかりと体を鍛えないといけないであるな。
あ、ついでにさっき返してしまった鞭も持っていこう。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい!お財布の軽い方でも大歓迎!本日限りの商品もぎょうさんありまっせー!」
何だかまた変なのが…
太くてふわふわした見た目の尻尾…やや丸味のある獣の耳…足にある体毛はとても触り心地が良さそうに見えるであるな…
琴音から聞いた事があるが…刑部狸と呼ばれる魔物だったか?
そんなことより、こんな所で商売してて客なんて来るのであろうか…
あ、客って我輩のことか。
「そこのにーさん!うちの自慢の品見ていかへんか?」
「ふむ…そうしていきたいのは山々なのだが…先を急いでいるのである。」
「つまり、買い物してってくれるんやな?まいどおおきに!」
「………まさか、鍵を売ってるとかでは…」
「ふっふっふっ…そのまさかやで!」
そう言って簡易テーブルを取り出し、その上に3つの箱を並べた。
1つは
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