21ページ:ゾンビ・スケルトン・ワーバット

あ、ありのままに今起こったことを話すである。
目を覚まして見ると、そこには誰もいなかった…
な、何を言っているのか分からないと思うであるが、我輩も何が起きているのか分からなかった。
頭が変になりそうだった…
買出しだとか…ドッキリだとか…そんなものじゃ断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗をあじわったである…

…もっと分かりやすく言うと、買出しにいくにしてもいつもなら誰か一人は残るはずなのだが、今日は誰も残っていない。
見つけたのは、手紙のような物が入った封筒だけ…まあ開けるか。

「何々…『3人は預かった、返して欲しければ我が城まで来い。』…ほう。」

あの3人をさらえるほどの者からの挑戦状か…相当に骨が折れそうであるな…
普段ならこういう物は送り主のもとまで行って、目の前で破り捨てるのであるが…状況が状況であるからなぁ…

仕方がない…さっさと始末して3人を返してもらおう。

「ご丁重に地図まで…心の底から感謝しないといけないであるな…」

…手荒な事は控えて、穏便に解決しよう…





「お姉様、紅茶を入れてきました。」

薄暗い部屋の中に、やや小柄な人影が入ってくる。

「ありがとう…いつもすまないわね。」

やや長身な人影が手に持った本を置き、小柄な方の人影に向かって微笑みかける。
カップを手に取り、ゆっくりと中身を飲み干す。

「お姉様…少しお行儀が悪いですわ。」
「貴方の紅茶の前では行儀を気にする気にもならないわ…冷めてしまってはせっかくの美味しさが台無しになってしまうもの…ところで、例の子達は?」
「私達に協力してくれるそうです。」
「そう……フフッ、今夜は楽しめそうね…」

カップを置き、ゆっくりと立ち上がる。

「行きましょう…おもてなしの準備をしないとね…」



「今夜は久し振りに楽しめそうね……クククククッ…」







「…ついに辿り着いた。」

長い道のりを経て、諸悪の根源の住む城へと辿り着いた。

「人々の平和の為にも…負けるわけにはいかない…」

対魔の鞭を握り締めると、俺の意思を感じ取ったのか淡い光を放った。
私には神の御加護がある…負ける要素はどこにもない!

「待っていろ魔物共!貴様らの住むべき世界まで送り返して…」
「オーケー、レッツパリィィィィィィ!!!」
「げふぅっ!?」

突然、謎の奇声を発する子供に後ろから後頭部を殴られた。

「な、何をすr」
「そいつをよこせぇぇぇぇぇ!!!」
「や、やめrヴァーーーーーー!!」

振り向いたら、今度は顔面を蹴飛ばされた。
魔物の巣窟へ乗り込むことなく、私の戦いは幕を閉じてしまった………



「ここが我輩に喧嘩を売った奴のハウス…もとい、キャッスルであるな…」

我輩でも気を引き締めるくらいの、禍々しい雰囲気が辺りに漂っている…
手に持った強奪品の…ゲフンゲフン…借り物の鞭を握り締めると、力強く光り輝いた…気がした。
奥へ進むか………っと、何かがこちらに向かってきているな…

「…ようこそ…ヴァンパイア城へ…」
「かんげーしよー、せーだいになっ!」

やってきたのはゾンビとスケルトンか…どっちもちっこいであるな。

「ここから先には…行かせない…」
「かくごしろー♪」
「はぁ…少し痛いが我慢するであるぞ?」

こちらに向かってくるゾンビの足に鞭を振るい、足に巻きつけて転倒させる。
続いて、スケルトンが投げた骨を刀で切り払い、こちらも足を払って転倒させた。

「あう…」
「やられたー…」
「まったく…襲ってくるのはいいが弱すぎるであるぞ…小魚とミルクをやるから頭と骨を鍛えろ。」

彼女達の近くに小魚の入った袋と牛乳の入った容器を置き、さらに奥へと進んでいく……
扉を開き、城の中へと入る。

「…暗いであるな…」

城の中には明かりがまったく無く、部屋の奥どころか足元すら見えない。
こんな状況じゃ、逃げることも戦うことも難しいであるな…出来れば何事も無く通れればいいのだが…

………相手もそんなに優しくは無いか…

「おっと。」
「あら?今のを避けるなんてなかなかやるじゃない…でも、私がどこにいるか分からないから攻撃のしようがないでしょう?」

むぅ…悔しいが、彼女の言うとおりであるな…
調度良い道具があったはずだが…暗くて何がどこにあるのかが分からん…
手探りで探すか…おっ?

「よし…これで大丈夫だな。」

運良く蝋燭と火打石が手に触れ、明かりをつけることが出来た。
暗い事に変わりは無いが、手元が明るくなるだけで十分で…

「フーッ!」
「あっ!?ひ、酷いである!」

改めて道具を探そうとした所に何かがやってきて、蝋燭の火を吹き消してしまった。
再び真っ暗になってしまったが…今の一瞬で彼女の正体が分かった。

無論、対処法もな
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