自由……長く続けば厭き、逆に短いと物足りなく感じる物…
だが、暫くの間時間に追われる日々を過ごしていれば、たとえ少しだけの自由でも嬉しく感じてしまうだろう。
何が言いたいかと言うと、我輩は今凄く嬉しい。
あの三人と旅をするようになって楽しくはなったのだが、我輩が今までやってきた様な観察が出来なくなってしまったのだ。
琴音の小さな胸も、アレクシアの程好い胸も、桜花の豊満な胸も、どれも素晴らしいである。
だが、我輩は知りたいのだ!世の魔物の胸の感触を!胸を弄ばれて喘ぐ魔物の姿を!五感の全てを使ってでも知りたいのである!
「…お兄ちゃん何してるの?」
…見られていた…凄く恥ずかしいである…
「貴殿こそ何をしているのだ?」
「んー…今はまだ何もして無いよ。」
「いや…そうじゃなくて、親はどうしたのであるか?」
「お家にいるよ?外で遊んできなさいって言われたの。」
よかった、迷子とかの類ではないようであるな。
…しかし…何故我輩に話しかけてきたのであろうか?
「お兄ちゃんお友達がいないなら私といっしょに遊ぼ?」
…友達のいない孤独な少年Aとして見られていたようであるな…
「友達がいないからここにいるわけではなくて、我輩は少しの自由を満喫して…」
「あっ!ウサギさんだ!お兄ちゃん早く早く!」
「…自由って何だろうか…?」
結局、彼女に誘われるままホイホイとついて来てしまった…
現在我輩達は、出来る限り音を立てないようにワーラビットと思われる魔物の後を追っている。
ワーラビットに見つからずに追跡をするのは無理に等しいといわれているが…我輩は何とかしてやり遂げて見せるである!
「うー…疲れたよぉ…」
「我慢するである。」
「おんぶして?」
「これくらい歩けないようでは大きくなった時に苦労するであるぞ?」
「おんぶしてくれないと泣いちゃうよ?」
「うぐっ……はぁ…ほら。」
「お兄ちゃんありがとう♪」
ただでさえ喋るだけでも気づかれそうなのに、泣かれてしまっては確実に見つかってしまうである…
「お兄ちゃん…すごく良い匂いがする…」
「…恥ずかしいからそういう事は言わないでほしいである…」
…調子が狂うであるな…
む、また移動し始めたであるな。
「しっかりつかまってるであるぞ。」
「うん。」
まぁ、10分もせずにばてたのであるが…
「お兄ちゃん、ウサギさんが洞窟に入って行ったよ。」
「わ…わかったであるが……そろそろ自分で歩いて…」
「やだ!もっとお兄ちゃんの匂いを嗅ぎたい!」
随分と懐かれてしまったであるな。
動機が変わってる事には突っ込まないでおくか…
…しかし…洞窟か…
「?…行かないの?」
「行くであるが…むぅ…」
正直に言うと、我輩は洞窟と言う物を好かん。
洞窟に入る度に何かしら良からぬ事に巻き込まれたりしていたであるからな…
まぁ、半分近くは我輩がやらかしたことが原因なのだが。
「よし…」
なるべく足音をたてないようにゆっくりと進んでいく…が。
「さっきから私の後をつけて来ていたのは貴方達ですか?」
岩陰から見覚えのある影が現れ、我輩達の前に立ち塞がる。
むぅ…完璧な追跡だと思っていたのだが…
「この私をお喋りしながら尾行するなんて、いい度胸ですね?」
…だいぶ離れていた気がするのだが…それほどまでに耳が良いのか…
「あ、貴方に訊きたいことがあるのですが、薬になるものを持っていませんか?」
「薬?何に使うのであるか?」
「…悪い人じゃなさそうだしいいかな…ついて来て。」
そう言うと、足早に洞窟の奥へと行ってしまった。
洞窟内部は薄暗く、暗闇に慣れていないこともあって何があるのかがまったく見えない。
だが、誰かが住んでいるためかは知らないが、ある程度整備されていて思っていたよりは歩きやすい。
真っ暗で狭い道を進むこと数分、薄らと明かりらしきものが見えてきた。
「…入るであるぞー…」
半開きになったドアを押し開け、部屋の内部へと入り込む。
部屋自体はなかなかの広さがあるようだ…沢山置かれた2段ベッドが部屋の半分近くを埋めているが…
奥の方には『しょくりょうこ』と書かれたドアがあるようだが…そのドアの前にもベッドがあって開きそうにない。
部屋の中央には非常に大きなテーブルがあり、その上に誰かが寝かせられているのが見えるであるな。
何よりも、数えるのが面倒なくらいに沢山の魔物がテーブルを囲んでいて怖い。
「こっちです。」
ワーラビット殿に促がされ、テーブルの近くまで歩み寄る。
寝かされていたのは幼い子供の様だ…服とは言えないようなボロボロの布を纏っており、体の至る所にアザや切り傷が出来ているであるな…
奴隷…そんな言葉がピッタリと当てはまってしまう容姿である。
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