15ページ:カリュブディス・シー・ビショップ・龍

「…いくらなんでも無謀であったか…」

我輩は今、小船に乗って海の上を移動中である。
もちろん、今どこら辺にいるのかは分からない。

「やはり、勢い任せで海に出るもんじゃないであるな…」

故郷を出る当日…つまり今日の事であるな…港町で大陸行きの船がを探していたのだが出ておらず、半ば強引に廃棄寸前の小船を貰って海へと飛び出した。
しばらくして大陸がどっちにあるのか分からない事に気づいたが、その頃には故郷の大地もどこにあるか分からないと言う状況になってしまっていた…

「こんな時はどうすればいいのか……ん?」

何かがぶつかったかの様な小さな揺れを感じ、慌てて周囲を見渡す。
ちょっとぶつかっただけで大破しそうなボロ船であるからな…何であろうと気が抜けないである…
海上には怪しい物はない…と言う事は下か。
水面を覗き込むと、長い物…と言うか魔物であるかこれは?とにかく何かがあったである。
蛇の様な下半身だが、赤い毛の様な物が生えている…手も頑丈そうな鱗と鋭い爪が生えているである。
我輩が今までに見た事のない魔物であるな…なんと言う魔物なのだろうか…とりあえず引き上げよう。

見た目は幼く見えるのだが…なんと言うか……大きいであるな…

「……ハッ!いかんいかん、何を考えている我輩、いくらなんでも無許可で触るのはいけない。」

あと少しで触れるという所で我に返り、中途半端に伸ばしていた手を引っ込める。
触る前にやる事があるだろう我輩…何故真っ先に触ろうとした…

「大丈夫であるかー?おーい?」

声をかける…反応無し。軽く揺する…反応無し。

…え?もしかして既にお亡くなりになってる…?

「……海に返した方が良さそうであるな…流石に死んだ魔物は研究材料にしたくないである…」

海へ戻そうとした瞬間、魔物の目が開き、視線が合う。
生きていたであるか…よかったである…

……何も悪い事など考えてないであるぞ?ただちょっとだけ恩を着せて胸を触ったり出来ないかなとかそんな事は考えてないである。

「…む?お主は誰じゃ?そしてここは?」
「我輩は鉄輝、ここは海の上に浮かんでるボロ船の上である。」

目が覚めたら見知らぬ場所にいて見知らぬ男の顔が目の前にある…そんな状況でも平静でいれるとは…

大物だと警戒するべきか単純だと軽く見るべきか…

「海?わっちは川で昼寝をしていたはずなのじゃが…」
「流されに流されて川から海まで出てしまったのであろうが…気づかないものなのであるか?水質とかいろいろと。」
「心地良い夢を見ていたからな…わっちが寝ている間に変な事をしてないじゃろうな?」
「し、してないであるぞ!…何であるかその目は?我輩を疑っているのであるか?」
「…まあよい、陸はどっちにあるか知ってるか?」
「知ってたらこんな所にいないである。」

荷物が増えてしまったであるな…しかし、関わったからには最後まで面倒を見るのが男と言うものであろう。

…ジパングの場所を知っている人物に押し付けるまでであるがな。

「しかし…どうしたものか…」

我輩の目的地に行けば少しは何とかなりそうであるが…目印なんて無いであるからな…
最悪、渦潮を見かけたら飛び込むと言う手もある…が、できる限りそれは避けたいである…
道案内をしてくれそうな魔物を待つという手もあるが、そんな幸運なんて滅多に…

その時、水中から何かが出てきた。

「ぷはぁ!…あれ?貴方はこの前の…?」

…今日はついてるであるな。
水の中から飛び出してきたのは、以前我輩を連れ去ろうとしたシー・ビショップだった。
こんな幸運に恵まれるとは…やはり、日頃の行いが良いからであるな。

「こんな所で何をしているんですか?」
「遭難と言う名の海の散歩である。」
「行き先を教えて下されば案内しますよ?」

おぉ…何と献身的な子なのだろうか…我輩の荒んだ心が癒されていくのを感じるである。

まぁ、何時も通り用が済んだらさようならってなるのであるが…

「カリュブディス殿の巣を探していてな…」
「えっと…その子ってこんな感じです?」

そう言って一枚の絵を見せてくる。
その絵には、シー・ビショップ殿とカリュブディスが描かれていた。
……ふむ、このカリュブディスで間違い無いであるな。

…なんで水に浸かっても何とも無いのかは気にしない方向で行こう、魔物の技術力は世界一ィィィィィィ!なのだろうきっと。

「うむ、このカリュブディスで間違い無いである…それにしても、見事な絵であるな…」
「リャナンシーに描いて貰ったんですよ、私達の友情の証として。」

友情の証か、いい物であるな。
友達と言うものを我輩は持っていないであるからな…羨ましい限りである。

「それで、そのカリュブディス殿の巣はどこであるか?」
「ここの真
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