「や、やったぞ!生きてジパングにたどり着けたぞ!」
「思ってたより早く着いたであるな。」
太陽が沈んで浮かぶ…到着までに、3回くらい見たである。
要するに3日であるな、3日でたどり着けたのだからまだ早い方である。
こうして無事にたどり着けたのも、彼女のおかげである。
魚を取ってきてくれ、魔物を追い払い、話し相手になってくれたおかげでここまで来れたのである。
彼女との約束通り、ちゃんと礼をせねばな…
「ねぇ…ジパングに着けたんだからさ…その…」
「分かってるである、約束通りその男を好きにするである。」
「えっ!?ど、どう言う事だよそれ!」
彼女との約束…我輩が無事にジパングへたどり着けたら、一緒にいた男を好きなようにしていいと言うものだ。
彼には可愛そうだが、我輩の野望の為の礎となってくれ…
むしろ、ご褒美になるかも知れんであるな…夜もあんなに激しかったであるし…
「ではさらばである…末永く幸せにな。」
「おい待て!どう言う事か説明しろ!」
「そんな事はいいからさ…早く宿に行こ?もう我慢できないの…」
「お前も落ち着けって!顔が近い!やめっ…んむぅっ!?」
後ろから何かが聞こえるが気にしないである。
ここまで着たからには、実家に着いたも同然である。
後は、さくっと歩いて行けば………
……実家ってどっちの方角だったであるか…?
まぁ…適当に歩いていれば、その内にたどり着くであろう…
そう思っていた時期が、我輩にもありました。
「…出口はどこだぁぁぁ!!!」
我輩の叫び声が空しくこだまする…
たしか、我輩はちゃんとした道を歩いていたはずである…
絶対に迷わない様に、位置の確認も小まめにしながら歩いていたのである…
それなのに…何故、我輩は森の中で迷っているのであるか…
「人か妖怪が通れば何とかなりそうではあるが…」
周りには道らしきものは見えず、人の気配すらない。
何とも絶望的な状況であるな…このままでは日が暮れてしまうである…
……ん?今微かに、誰かの声が聞こえたである…
「おーい!誰かいるであるかー!?」
話し声が止まる…気づいてもらえたのであろうか…
しばらくして、前方の茂みから2人の女性…もとい、妖怪が出てきた。
2人とも頭部に立派な角が生えており、片方は赤い肌、もう片方は青い肌をしている。
みんな大好きアカオニとアオオニであるな、昔はよく一緒に酒を飲み交わしたものである…
その度に父上に怒られて、泣いてた所を慰められて酒を飲み交わす…いい思い出であるな。
「ん?迷子か………っ!?ま、まさか!?」
「鉄輝…行方不明になったと聞いてたけど、帰ってきてたのね。」
「久しぶりであるな、元気にしてたであるか?」
「もちろんさぁ!今から宴会するんだが、お前も来るか?」
「後で、町まで送ってもらえるなら…」
「貴方…まだ、方向音痴直ってないの?」
「ちまい姿にされてしまって、頭の方も小さくなってしまったであるからな…さらに磨きがかかったである。」
他愛も無い話の中に、草木の揺れる音が入り込む。
音のした方へ視線を向けると、そこに妖怪が1人いた。
頭部には、鬼の様な牛の様な立派な角が2本生えている。
下半身は蜘蛛の様な構造をしており、非常に逞しく、薄い毛に覆われている。
手には獣の様な鋭利な爪が生え、こちらも薄い毛に覆われている。
彼女は鬼の名を持つが、鬼とは異なる者…ウシオニである。
…ちょうどいいであるな。
「貴殿も宴会に参加するであるか?」
「えっ!?」
我輩の提案に、驚きを隠せない様子のウシオニ殿。
…我輩…変な事を言ったであろうか?
「遠慮する事はないよ、宴会は人数が多いほど楽しいもんだからね。」
「いや…あの…」
「無理強いはしないが…興味があったら参加してほしい…どうかな?」
「えっと…その…わ、わかった…私も行く…」
随分と戸惑ってるであるな…何故であろうか?
とりあえず、飲み仲間が増えた事だし、宴会に行くであるか!
「んぐっんぐっ…ぷはぁ!酒が美味いねぇ!」
「うむ、いくらでも飲めるであるな。」
「…焼酎5本空けておいて何で素面でいられるのさ…」
アカオニ殿とアオオニ殿の住処で、盛大な宴会を満喫中である。
何が盛大かって?もちろん、酒の量である。
「…美味い…もぐもぐ…」
「あんたもお酒飲みなよ、美味いぞ?」
「いや…お酒は苦手なの…」
「つべこべ言わずに飲めぇ!」
「んんっ!?」
強引に酒を飲まされているウシオニ殿…
我輩の知ってる限りでは、ウシオニは凶暴な性格だったはずであるが…例外もいるものであるな…
「アオオニ殿は飲まぬのか?」
「あ…私が飲むと…ね?」
「あぁ…我輩は特に気にしないであるぞ?」
「…いいの?酔っちゃってもいいの?」
「そんな
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