私達、メイドラゴンの朝は早い。
「……ん…朝か…」
上体を起こし、大きな欠伸をする。
ミーヤはまだ寝ているか…
「……フフッ。」
妹の可愛らしい寝顔に、思わず笑みを浮かべてしまう。
この一時が堪らなく好きだ。ずっと、こうして眺めていたくなる。
なんて言っている場合ではないな…あまり遅くなってしまったら、主達が困ってしまう。
「ミーヤ、朝だぞ。」
「んっ…」
目を瞑ったまま、何かを期待しているかのように僅かに口を尖らせている。
そんな妹に優しく口付けをする、私達姉妹の朝はこうして始まるのだ。
「…おはようございます、お姉様。」
「おはようミーヤ、今日もいい天気だぞ。」
そう言ってミーヤの頭を撫でてやると、ウットリと目を細めて。
頭を撫でられている時のミーヤの気持ち良さそうな表情は、胸を高鳴らせるのに十分なものを秘めている。
「さぁ、今日も一日頑張るか。」
「はい、頑張りましょうお姉様。」
「あ、おはようございます。」
身だしなみを整えて玄関へと向かったら、丁度帰って来た所だと思われる琥珀に遭遇した。
「随分と早く起きていたのだな。」
「新聞配達をしてたんですよ。」
「お疲れ様です。今、お茶を淹れて来ますね。」
「ありがとうございます、あ…暖かい…」
そう言って私に抱きついてくる。
私達でも起きるのが辛い程度の寒さだったからな…そんな中で空を飛んだからか、琥珀の体は冷え切っていた。
「向こうを向いて、私の膝の上に座ってくれ。」
「はい…こうですか?」
私の言ったとおりに、背を向けて膝の上に座ってくる。
こういう、素直で無防備なところを見せられたら……ふふふ…
「えっと…この後はどうす…ひゃっ!?」
膝を勢いよく上げ、バランスを崩して倒れこんできた琥珀を後ろから抱きしめた。
こうして抱きしめてみると、アルトよりは大きいがミーヤと比べたら十分小柄だと感じるな。
「見た目よりも小柄なのだな…胸の方も。」
「…それは嫌味で言っているんですか?」
私の一言に反応し、じっと此方を睨んで来る。
種族上仕方の無いことだが、結構気にしているのだな…少し軽率だったか…
「そんなわけ無いだろう。むしろ、私は琥珀が羨ましいくらいだ。」
「え?どういうことですか?」
「胸が小さい方が、大好きなアルトとより密着できるからな。」
「……う、羨ましいだなんて…そんな…恥ずかしいです…」
羨ましいの一言で、少しは機嫌が直ったようだ。
ちなみに、羨ましいと言ったのは機嫌取りの為ではなく、私がそう思っているから言っただけで他に他意はない。
「淹れてきましたよ。」
私達がいちゃついてる間に、お茶の乗ったトレイをもってミーヤが戻ってきた。
「アルト様が仕入れた東洋のお茶を淹れてみました、お姉様は飲むのは初めてですよね?」
「あぁ、リョクチャとか言う飲み物だったな…ミーヤは飲んだことがあるのか?」
「一度だけ…私は、この味好きですよ?」
ミーヤから、リョクチャの入った容器を受け取る。
ふむ…紅茶とは違った香りがするのだな…味はどうだろう…
「……っ!!?」
「だ、大丈夫ですかお姉様!?」
「だ…大丈夫だ…予想以上に熱くてびっくりしただけだ…」
…一気に飲もうとしなければよかったな…舌がひりひりして味が分からん。
味が分からないのは残念だが、飲んでいて特に不快になるようなことは無いな。
次に飲む時は、少し冷ましてからにしよう…
「あぁ…こっちで緑茶が飲めるなんて…」
「そんなにこのリョクチャとやらが好きなのか?」
「はい、日の当たる所で緑茶とお煎餅を楽しみながらのんびりするのが大好きだったんですよ。」
今はそんなこと出来る時間が無いですけどねと、人懐っこい笑みを浮かべながら言う琥珀。
…今度、アイリスに屋敷のリフォームを提案してみようか…東洋の建物がどんなものかは知らないが…
ついに…待ち望んでいた時が来た!
いつまで待っても来ない出番!空気のように薄くなってしまった存在感!
今日こそは、私の存在感を完全な物とし、登場回数を増やさせて見せるわ!
ところで、みんな私の名前を知っているかしら?
え?知らない?後ろの穴を拡張するわよ?
まあいいわ、今日は許してあげる。
知ってる人も知らない人も、耳の穴綺麗に掘り返してよく聞きなさい!
私の名前はレ
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「行って来ます!」
「行ってらっしゃいませ。」
今日も、仕事場へと向かうアルト様を見送る。
帰って来るまで寂しいですが、アルト様が安心して屋敷を留守に出来る様にしっかりと留守番をしないと…
「〜〜〜〜♪」
アルト様の喜ぶ姿を想像しながら、埃を落としていく。
綺麗に掃除したら…アルト
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