2羽:淫魔で悪魔な少女

「………♪」
「随分と嬉しそうじゃな。」
「…うん…♪」

…今日は…お兄様とお出掛け…
…もちろん2人っきりで…♪

「ふあぁぁ…おはよう…」
「ようやく起きたか、クリスがずっと待っておったぞ?」
「出掛けるにはまだ早いよ…それに、昨日寝かせてくれなかったじゃないか…」
「それは…ともかく!お土産はしっかり買ってくるのじゃぞ!」

…アイリスをジト目で見つめるお兄様…
…私も…お兄様に見つめられたい…

「まぁ、早く行きたい気持ちは分からなくはないけどね。」
「…行く…?」
「そうだね…行こうか。」

…差し出されたお兄様の手をしっかり握る…とても暖かい…
…お兄様に連れられ…玄関まで来た…

「それじゃあ行って来るね。」
「…行って来ます…」
「道中、気をつけるのじゃぞ。」

…アイリスが手を振ってくれてる…私も小さく振り返す…
…お兄様とデート…♪
…楽しい事…いっぱいあるかな…?







「アルトは休みか…」
「妹さんと買い物らしいですね。」
「デートか…やってらんねぇぜ…」
「今度、一緒に行きますか?」
「んあっ!?でででデートにか!?」
「買い物にですよ。」
「あ…あぁ、うん…そうだな…行くか。」
「あ、デートの方がよかったですか?」
「ばっ!?そんなわけ無いだろ!」
「どうしたんですか?顔が真っ赤ですよ?」
「っ!調子に乗るなぁ!!」
「ぐふっ!?す、すみません…」
「………ちゃんとした予定決めておけよ…」
「へっ?」
「……デートのだよ…言わせんな恥ずかしい…」
「…しっかりと計画しておきます。」







「結構遠いね…」
「…うん…」

森に挟まれた長く静まり返った道を、クリスと並んで歩いている。
朝の少し冷えた空気がとても心地良く、僅かに残っていた眠気を少しずつ晴らしていく。

「こうやって、二人っきりでお出掛けするのは初めてだね。」
「…うん…♪」

僕の腕に抱き付き、擦り寄ってくる。
少し歩き辛いのだけど…可愛いからいいかな。

「でも、人前で抱きつくのはやめてね?」
「………?」
「そこで「何で?」って顔をされても困るのだけど…人前だと流石に恥ずかしいから…ね。」
「…えー…」
「うぅ…そんな目で見つめてもダメだからね。」

僕の目をじっと見据え、顔を近づけてくる。
………

「ま、まあ。手を繋ぐ位なら大丈夫だけどね。」
「…お兄様…大好き…♪」

嬉しそうに微笑み、僕の腕に頬を摺り寄せてくる。
クリスには敵わないな…僕の意思が弱いとかそう言うのじゃないよ?
可愛い妹に見つめられて折れない人はいないと思う。もちろん僕個人の意見であって、他の人が当てはまるかは分からないけど。

「…お兄様…アレ…」
「ん?……誰かいるね。」

道の真ん中に、人が寝そべっている。
争った様な後も無いし、魔物に襲われたならこんな所に放置されずにお持ち帰りされるはずだ。
という事は…行き倒れ?はじめて見たな…
…とりあえず、無事かどうか確認しておかないと…

「あの…大丈夫ですか?」
「…………」
「…返事が無い…ただの屍のようだ…」
「勝手に殺しちゃダメだよ…了承を得ないと。」
「……み……」
「…生きてた…」
「…水……を…」
「水ですか?どうぞ。」

倒れている人に、水筒を渡す。
震える手で水筒を受け取ると、少しずつ飲み始めた。
しかし…なんで行き倒れてたのだろうか?

「忝い。お主のおかげで命拾いをした。」

さっきよりはマシになった様だけど。まだ動ける状態じゃなさそうだ。
この人が回復するまで待とうかな。

「どうして、こんなところで行き倒れに?」
「うむ…甲冑を身に纏った武士の様な者達に追われ、逃げている内に喉の渇きと疲労で動けなくなっていたのだ。」

甲冑を纏った武士の様な者達…?
二種類あるけどどっちだろう?

「その…武士みたいな人達の特徴は?」
「よく喋る奴だったな、魔物は敵などととにかくうるさかった。」

よかった、僕らの方じゃないようだ。
…っと、安心は出来ないね。近くに奴らがいるかもしれないし。

「歩けそうですか?」
「すまぬ…もう少し休まさせてくれ。」
「分かりました。でも、なるべく急いでくださいね。」
「…お兄様…」

クリスが、突然武器を構えた。
周りに何かがいる…!

「見つけたぞ!悪魔の手先め!」
「ちょこまかと逃げやがって…手間をかけさせるな!」

茂みから、二人の甲冑を纏った武士…もとい、騎士が出てきた。
……もしかして…今まで迷ってた?

なんだか、この騎士達を憎めない。何故かは分からないけど。

「ん?き、貴様は!?」
「ロリコン商人のアルトか!?何故ここに!」

前言撤回。思いっきり殴りたくなってきた。
第一に、僕はロリコンじゃない。年齢的には皆大人だから大丈夫なは
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