「人が一杯・・・魔物も一杯・・・」
「他方から腕に覚えのある者達が集まってきてるおるからの、ここを制覇すると言うのは冒険者としての名を広めるのに十分すぎる働きをしてくれるからの。」
「そうなんだ・・・なんだかすごく帰りたくなってきたよ。」
「何を言っておる、今こそ遺跡での修行の成果を見せるときじゃ!」
「修行じゃなくて、拷問に近かったけどね」
アイリスの無茶振りから約一週間、とうとう僕の意見が受け入れられないまま、闘技大会の日が来てしまった。
入り口には人だかりが出来、この蒸し暑さと圧迫感だけでノックアウトされそうになっている。
「さて、受付を済ませて来るのじゃ。」
「はぁ・・・やっぱり行かないといけないか・・・」
意気消沈しつつも、受付へと歩み寄り、登録をしてもらう。
「登録完了いたしました、ルールの方については開会式にて会長より説明がありますので、それまでお待ちください。」
「わかりました、ありがとうございます。」
「選手控え室は向こうの廊下の突き当りです、開会式が始まるまでそちらでお休みください」
受付を済ませて、控え室の方へ歩いていく。
すると突然、誰かに服を引っ張られた。
振り返ってみると、妹のクリスが僕の服を引っ張っていた。
「・・・お兄様・・・」
「クリスか、どうしたんだい?」
「・・・私も・・・出るの・・・」
「・・・なんだって?」
「・・・負けないから・・・」
そう言うと、クリスは反対側へと歩いて行ってしまった
予想外の所から強敵が・・・優勝は諦めた方がいいのだろうか・・・
不安に駆られながら、控え室の中へと入っていった。
「えー皆さん、本日はお日柄もよく、絶好の大会日和となりました。
皆さんお待ちかねの、[第29回 ヨルムンガルド大闘技大会]の開催を、ここに宣言いたします。」
会長の開催宣言に、観客からの歓声が上がる。
会長は、手を上げて観客達を制すると、さらに話し始めた。
「それでは、選手の皆さんにルールの説明をします。
1.最大3VS3のトーナメント制チームマッチ、一人の場合はアイテムの使用を許可します。
2.先に相手チームを全員気絶させるか、リング下の地面に触れさせれば勝利となります。
3.相手を死亡させた場合、反則負けとし、無期限の大会出場停止となります。
4.武器の使用については、自立起動型古代兵器のみ、使用禁止となります。
5.戦闘中に色事は行わないでください。
以上の5つが主なルールとなります、違反した場合反則負けになりますので、注意してください。」
チームマッチだって?そんなこと聞いてないぞ?
・・・あぁ、嵌められたのか・・・
「それでは、選手の皆さんは控え室でお待ちになってください。
トーナメント表が完成次第、各控え室の方に配られますので、各自確認をお願いします。
なお、控え室内には、試合の様子を確認できる魔道鏡を設置しているので、対戦相手の試合を見たりするのに使ってください。」
会長の長い話が終わり、選手が控え室へと戻っていく。
僕も、彼らの後を追うように、控え室へと向かった。
「さて・・・」
控え室に戻った僕は、持ち込んだ袋の中から複数の商品を取り出して、並べ始めた。
選手相手に商売をすれば、いくらか売れるだろう。
怪しまれそうな気もするけど・・・
「そこのお前、何をやっている。」
「見たとおり商品を並べているんだよ、欲しい物があったら言ってね。」
「・・・呆れて何も言えん。」
「品質は保証するよ、値段も・・・まあ気にしないでくれ。」
「一つ聞くが・・・飲み物や食べ物はあるのか・・・?」
「一応あるよ、必要なときは言ってね。」
怪しまれてはいるものの、問題ない程度のようだ。
他の選手相手に商売を始めようとしたとき、控え室のドアが開いた。
「トーナメント表が完成しました、ここに貼っておきますので各自でご確認ください。」
そう言って、係員の人は壁に一枚の紙を張り付け、控え室を出て行った。
その紙の前へ行き、内容を確認してみる。
「僕は2戦目か・・・」
「俺様たちとお前が当たるのか・・・お前も運がねえな。」
突然、後ろの方から威勢のいい声が聞こえてくる。
振り返ると、筋肉隆々のいかにも戦士ですと言わんばかりの男が3人立っていた。
「貴方達が僕と当たる人ですか、よろしくお願いします。」
「ちゃんと挨拶が出来るとは利口なガキだな。」
「褒美に、なるべく苦しまないように速攻でケリをつけてやるよ。」
「まあ、俺達に当たったのが運の尽きだと思って諦めるんだな。」
「「「ガハハハハハ!!!」」」
三人そろって大笑いしている、余程腕に自信があるのだろう。
こういうのをかませナントカっ
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