「アイリスさーん、手紙でーす」
間延びした配達員の声が外から聞こえてくる
外へ出てみると、既に飛び立ち小さくなりゆくハーピーの姿が見えた
しばらく眺めていたが、手紙が届いていることを思い出しポストの方へと向かう
「3通か・・・誰からだろう」
家へ入りながら宛名を確認する
1通目、ルイス=グリットロック・・・この前の九尾の人だろう
2通目、オリファー=ガーランド・・・誰だろう?
3通目、ライト=ヴァンダルハーツ・・・お父さんからだ
あれ?ここに居ること教えてないのになんでわかったんだろうか・・・?
・・・お父さんだから仕方がないか・・・
「アイリス手紙が来ているよ」
「うむ?誰からじゃ?」
「この前の九尾の人とオリファーって人からだよ」
「ふむ、あやつからか」
「知り合いなの?」
「む?・・・まあの」
アイリスに手紙を渡し、僕は自分宛に届いた手紙を読み始めた
アルトへ
突然手紙が届いたことに驚いているだろう
何故手紙を届けることが出来たかについてだが・・・
一つ目にアルトが賞金首として町中に張り紙がしてあったこと
二つ目にその張り紙にアイリス=フランベルジュという者の名前が書いてあったこと
これらのものからアルトがアイリスという人物のところに居るだろうと予測したのだ
何故手紙が届いたかについて理解してもらえたと思うので本題に入らせてもらう
母さんが魔物になったことが教団の奴らにばれてしまい、引っ越すことになったのだ
その手伝いをして欲しいので手紙を送らせてもらった
突然ですまないが手が空いていたら手伝いに来て欲しい
いい返事を待っているぞ
ライトより
・・・呆れて言葉が出ない
手紙の内容にではなく、今の今まで気づかなかった教団にである
「誰からの手紙じゃ?」
「僕のお父さんからだよ」
「ふむ、アルトの父上か・・・一度挨拶に行かねばの」
「うーん・・・挨拶はまた今度にしようよ、ちょっと急がないと不味そうだし」
「残念じゃのう、まあ仕方がない」
「それじゃあ身支度を済ませて行って来るよ」
そういうと、僕は自室へと入り、身支度を始めた
縛っていた髪を解いて女性物の服に着替える、スカート以外特に変わらないけど
女装する理由は・・・この方が少しでも判り辛くなるだろうと思ったからで性癖の問題ではない・・・本当ですよ?
必要最低限の物をポーチに入れ、武器を持ち、部屋を出る
「もう行くのか?」
「うん、早めにいったほうが良さそうだからね」
「それにしても・・・まるで別人の様じゃな」
「それは褒めているのかい?」
「もちろん褒めているのじゃよ、なかなか可愛らしいのう」
「それはどうも」
「おっと、忘れるところじゃった、これを持っていくのじゃ」
そう言うと、アイリスはブレスレットのようなものを渡してきた
「これは?」
「御守のようなものじゃよ」
「ありがとう、ありがたくつかわさせてもらうよ」
そう言いつつ、ブレスレットを腕にはめる
カチッと小気味良い音が聞こえる・・・え?
「あれ?外れなくなったんだけど」
「ふふふ、こうもあっさりと引っかかってくれるとはのう♪」
「え?どういうこと?」
「そのブレスレットはワシしか外せんのじゃよ」
「なにその都合のいいブレスレット」
「さらにそのブレスレットには探知魔法を掛けておっての、ワシから逃げようとしても何処にいるかいつでもわかる優れものなのじゃよ」
「どう見ても呪われているよねこれ!?」
「大丈夫じゃよ、突然混乱し始めたりするようなことは無い」
「それならいいけど・・・」
「とにかく無事に帰ってくるのじゃ、ワシとの特訓はまだ終わっておらんからな」
「まあ死なない程度に気をつけるよ」
話しながら外にでる
ああ・・・今日もいい天気だ
「お土産もよろしくのー」
「はいはいわかりましたよ」
お土産を要求されたけど買う暇があるかどうか・・・
まあいい、とにかく急いでいこう
反魔物勢力の首都リーデルへと続く道を三人の若者が歩いている
「もう直ぐでリーデルに着くね」
「長い道のりだったな」
「でも、これで念願の勇者になれますね」
彼らは勇者になろうとリーデルへ行こうとしている者たちのようだ
一人は小柄な少年、大剣を背負い皮製の鎧と布のマントを羽織っている
一人は背の高い女性、片手剣と盾を持ち鉄製の鎧を着ている
一人は小柄な少女、杖と魔道書を持ちローブを羽織っている
「それにしても・・・結構遠いね、リーデルって」
「何を言っている、出発してまだ2時間しか経ってないぞ」
「勇者になったらこれよりもいっぱい歩くことになるのかな?」
「当たり前だ、それくらいの体力が勇者にはあって当然だろう」
「もうつかれた
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