「あ!師匠!村が見えてきましたよ!」
「そうか…前が見えんから分からんである…」
何があったのかは…想像がついているであろうが一応説明しておくか。
前回の後、我に返った二人に思いっきり殴られたのだ…
レオンハルトも罵詈雑言を浴びせられたりしていたがその辺りは知らん。
我輩のせいとはいえ、討伐対象の魔物とヤってしまったというのは奴にとっては相当不味かったらしく、酷く悩んでいたようであるな。
我輩に恨み事を吐きながらも出口まで送ってくれる辺り、冷静さは失っていなかったようだが…
…流石に悪いことをしたか?…今度からは怪しいものはアレクシアに食べさせてから使うことにするか…
「ご主人様…大丈夫?」
「何、村に着くまでにはギャグ補正で治ってるはずだ。」
「ギャグ補正というのはなんなのかは知りませんが…無理はなさらないでくださいね?」
「まぁ、ええ勉強にはなったやろ…今度からはよう分からんもん拾ったらうちの所に持ってきぃな、鑑定くらいはロハでええよ。」
「すまんな…」
「所で…その勇者はどうしたの?」
「一旦支部に戻ると言ってたな、今回の件を報告してから暫く休暇をとると言っていたである。」
「今はそんな事はどうでもよい、運び疲れたから早く休みたいのじゃ…」
桜花には何時も苦労をかけてしまっているな…どこかで礼をしたいが、何がいいだろうか?
まぁ、その辺りの事は後でゆっくりと考えよう、今はとにかくゆっくり休みたいである…
「所で輝ちゃん、さっき変な事考えなかったかしら?」
「考えてないであるぞ?」
「そう、後でお仕置きね。」
「…解せぬ…」
歩く事十数分、我輩達一行は先ほど見えていた村へと到着したである。
…しかし…なんだか様子がおかしいな?
なんと言うか…活気がないような…
「んっ?何じゃあんた等は?」
「旅をしてるものである…どうしたのであるかこの村は?随分と静かだが…」
「よそもんのお前さん達には関係のない事じゃ…悪い事は言わん、面倒が起きる前に立ち去りなされ。」
取り付く島もなさそうであるな…どうしたものか…
「まぁまぁそんなに冷たい事言わんといてぇな、うちらに出来ることあったらどーんとゆうてみ?」
「気軽に解決できることではないのじゃ……お前さん達は大量の水か雨を降らせろと言われたら出来るのかの?」
「出来るであるな。」
「わっちなら出来るの。」
「そうじゃろう?出来るわけが………今…なんと?」
「わっちは雨を降らせることが出来る…ちょっとした条件があるがの。」
生気の薄かった瞳がみるみるうちに輝きを取り戻し、満面の笑みを浮かべて桜花に迫った。
「わし等に出来ることなら何でもする!どうか雨を!一日でもいいから雨を降らせておくれ!」
「落ち着くのじゃ、雨を降らすのに必要なものがあって、それを獲る為に用意して欲しいものがあるのじゃ。」
「どんなものじゃ!?直ぐに用意させよう!」
「雨を降らせるには膨大な魔力が必要…それを補給する為に愛する者の精が必要なのじゃ。」
そう言って我輩を抱き寄せる桜花…
…知らぬ者の前で愛する者宣言されると流石に恥ずかしいである…
「何か精のつく物を捧げて欲しいのじゃ、降らせている間は常に交わらねばならんからの。」
「わ、わかった!村の者に伝えてかき集めてこよう!」
そう言い残し、大声で叫びながら老人は走り去ってしまった…
…年寄りがあんなに走って大丈夫だろうか…転んで怪我でもしなければいいが…
「輝…すまぬ、ついあんな事を…」
「気にすることはないである…むしろ、ありがたいくらいであるな。」
「こういう村ってのはよそものに厳しいでなぁ…良い印象与えておけば動き易くなるし、その点ではいい判断やったと思うで?」
「桜花ちゃんの場合は、困ってる人を放っておけなかっただけだと思うわよ?」
「ですが、そこが桜花さんのいい所でしょう。」
「…褒めても何も出んぞ?」
「照れてる桜花様も可愛らしいと思いますよ?」
「あうぅ……」
「桜花さん顔真っ赤だねー。」
ミィナの一言でさらに赤くなり、今にも湯気が出て来そうなほどになっているな…
そして、我輩を抱きしめる力がどんどん強くなっていってあがががが。
「むっ…あっ!す、すまぬ!」
「痛たた…大丈夫である…」
力は弱まったが、我輩を放そうとはしてくれないようである…
それどころか…体を押し付け、より深く密着してきているような…
「その…暫くは輝を独り占めさせてもらうぞ?」
「必要な事ですし、桜花様は何時も遠慮していますからね。」
「私達の事は気にせずたっぷり愛し合いなさいな。」
「魔界から取り寄せた精力剤もサービスしとくで、輝はんのつけで。」
「ご主人様にいっぱいミルク飲ませてあげるね!」
「私に出来ることはありませんね…残念です
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