「輝はーん、暇なんやけどー。」
「さっきも聞いたであるぞ…後、我輩は今忙しいである。」
「最近そればっかりやんかー…」
不満そうにベッドに飛び込む弥生を尻目に、作業を続けていく。
これが成功すれば、いろいろと出来る事が増えるからな…なんとしても成功させねば…
…………あっ…やってしまったである…
「あー…どうしても上手くいかんである…」
そう言いながら背中からベッドに飛び込む。
そのまま体の向きを変え、弥生の尻尾を弄り始める。
「んっ…輝はん、うちの尻尾は高くつくで?」
「かまわん、この感触も大好きであるからな…琴音のフカフカした感触も良いが、やや硬めで揉み応えのある弥生の尻尾もいいであるぞ。」
「………き、今日は特別にロハで触ってもええよ…」
そう言って頬を赤く染めて抱きついてくる弥生…実は、弥生の赤面顔はとても珍しかったりするぞ。
いつもこんな感じならいいのだが…まぁ、どっちでも可愛いから問題はないであるが…
「…あかん…我慢出来んくなってきた…」
我輩の頭をそっと押さえ、唇を重ねてくる。
ただそっと重ねているだけ…それだけでも胸の鼓動が早まり、不意識の内に弥生を強く抱きしめていた。
「…ふぅ…なんや、輝はんもその気になったん?」
「…我輩だって男だ、ここまでされて我慢なんて出来ん。」
「んふふー♪輝はーん♪」
……いつもと違うからか、弥生がとても可愛く見えるである…いや、元から可愛いであるが…性格がな…
「あー…なんや今日はこのまま輝はんとイチャついていたい気分やわー…」
「我輩はそれでもかまわんぞ、今日はいいアイデアが浮かばんからゆっくりするである。」
「今日の輝はんえらい優しいな…もしかしてなんか隠し事してへん?」
「失礼な、そんな事はないであるぞ。」
「そうなん?やったら安心やな♪」
我輩ってそんなに信用ないだろうか…疑われるようなことは何もしてないというのに…
…あぁもう可愛いであるな、そんな事どうでもいいから今は弥生をモフモフしよう。
「では早速…」
「こんにちわー!弥生ちゃんいるー?………」
我輩の手が弥生の尻尾に触れる寸での所でドアが勢いよく開け放たれ、一人の魔物が入ってきた。
見た感じでは弥生と同じ刑部狸のようだが…
「………おじゃましましたー!」
「逃がさへんで?」
「やめてぇ!邪魔しちゃったのは謝るからぁ!」
「謝るだけで許されると本気で思ってるんか?随分と都合のいい考えかたしとるな?」
…弥生の機嫌が一気に悪くなってしまったな…尻尾を堪能するのはまた今度にするか…
あれから少しして……
「本当にごめんって…」
「もう知らん!」
「取って置きの情報教えるから…ね?」
「…知らんったら知らん!」
すっかりへそを曲げてしまっているな…こうなったら我輩ではどうにも出来んな…
早く機嫌を直して欲しい所だが…
「………本当に良い情報なん?」
「フッフッフッ…この湊ちゃんが仕入れた取れたてピチピチのすんばらしい情報だよ!」
「…ロハで教えてくれるんやったら許す…」
「元々弥生ちゃんには教えてあげるつもりだったよー…さっきはごめんね?」
「うん…うちもごめんな?輝はんと思いっきりいちゃつける日なんて中々なかったから…」
案外早く仲直りしたであるな……まぁ、仲が良い事は良い事であるな。
「その人が噂の人?」
「うちの旦那様やで!羨ましいやろ?」
「人前で宣言するのはやめてくれ…というか、噂ってなんであるか。」
「強力な魔物従えて教団領に進軍してる魔界の精鋭。」
………はい?
「まてまてまて!何所でそんな噂が流れているであるか!?」
「偶々教団兵が言ってるのを聞いたよ。」
「従えてるわけでもないけどなぁ…うちらは輝はんと一緒におりたいからついてってるだけやしな。」
やはり勇者と接触したりしたのは不味かったか…大事になるようなことは何もしてないはずなのだがなぁ…
「あっ、魔物達の中ではいい噂流れてるよ?」
「…聞きたくないが…まぁ聞いてみようか…」
「輝さんと出会えると旦那が見つかるとか、胸が大きくなったとかいろいろあるよ?」
「それだけ聞いたら後のがろくでもない事だというのが分かるからそれ以上はいいである…」
「自業自得やな、ホイホイ手ぇ出す輝はんが悪い。」
返す言葉も無い…どうしても好奇心には勝てないのだ…
貴殿等も可愛い魔物娘がいたら撫でたり揉んだりしたいであろう?
…しない?そうか…
「それはおいといて…弥生ちゃんクラーケンのスミって知ってる?」
「聞いた事はあるけど…どんなものなん?」
「名前通りの物だよ、クラーケンの出す黒い色の魔力を凝縮させて粘液状にしたもので珍味なんだって。」
クラーケン…スキュラ属の魔物で海底に生息するイカの様な魔物だったか
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