63ページ:稲荷(琴音)

「ま、待つである!話せばわかる!」
「フフッ…フフフ…昨日は随分とお楽しみだったようですね?」

前回の翌日、我輩は今までに無いほどの危機に直面していた。
と言うのも、我輩が自室に戻ってからダークエルフとローパーが宿に来たらしい。
その時に店であった事を話したらしいのだが……いつもとは比べ物にならないほど機嫌が悪いである…

…もしや…ダークエルフが何かやらかしたのか?

「あの状況で楽しむ余裕なんて無かったである…丸一晩苦しんだであるし…」
「結果なんてどうでもいいんです…ヤったのでしょう?」
「……はい。」
「それだけで十分です…お仕置きするのに難しい理由なんて要らないんですよ。」

いつもと同じ琴音の笑顔のはずなのだが…何故、こんなにも恐ろしく感じるのだろうか?
いや、いつもと同じだから怖いのか……普通なら罵倒されるか殴られるかされてもおかしくない状況での笑顔…得体の知れない威圧感を感じるから怖く感じるのか…

「今までやり過ぎないように加減をしてきましたが…私の考えが甘かったみたいですね。」

琴音に突き飛ばされベッドの上に倒れこむ…そんな我輩の姿を見下ろしながら、やや乱暴に着物を脱ぎ捨てた…
いつも以上にフッサリした八本の尾…その毛の一本一本が窓から差し込む朝日を受け、金色の輝きを放っている…

「今後は一切手加減はしません…私の全てをもって、輝様を堕としてみせます。」

我輩に覆い被さり、耳元でそう囁く。
琴音の言葉が頭の中で木霊し、胸が締め付けられるように苦しくなってくる。
そんな我輩を見て琴音は微笑み、そっと胸に手をおく…

「輝様の鼓動を感じます…これから私に何をされるのか…不安と期待で胸が一杯といったところでしょうか?」

ゆっくりと我輩の着物を脱がしていき、露になった素肌に舌を這わせてくる。
気持ちいいような…くすぐったいような…よく分からない気持ちがこみ上げてくる。

「大丈夫ですよ輝様…今は気持ちよくなくても、私に触られただけで欲しくなってしまうようにして差し上げますから。」

…我輩…無事に明日の朝日を拝めるだろうか…





「おはよぉ……ご主人さまどこー?」
「琴音にお仕置きされておる。」
「え?またなにかしたんですか師匠。」
「なにかって…ナニじゃないの?」
「輝はんのことやでそうやろうな…それと提案なんやけど…」
「なんですか?」
「琴音はんが今日中に九尾になるかどうか…賭けへん?」
「なる方に私のお気に入りの香水を賭けるわ。」
「同じく…賭ける物は…わっちの鱗で。」
「これって賭けとして成立するんでしょうか…あ、私もなる方に帽子を賭けますね」
「私もなると思うなぁ…一日に絞れる分のミルクを賭けるねー。」
「甘い…甘過ぎやで皆はん…輝はんなら隙を見て逃げるに決まってるやろ!」
「うーん…二人の馴れ初めとかよく知らないから何とも言えないのよね…」
「うちはならない方に全財産の半分…の半分を賭けるで!」
「…少し自身がなくなったみたいじゃな。」
「輝はんなら何とかしてくれるやろ、まあみててや!」
「……何故でしょうか…駄目な気しかしません…」





「あきらさまっ!あきらさまぁっ!」
「くっ…こと…ねっ……もう…!」
「出してください!一番奥に!私も…もうっ!」
「くぅ……ことねっ!」
「んんんっ!」

無意識の内に琴音の唇を奪い、それと同時に琴音の中で果てた。
琴音の中がきつく締まり、吸い出そうとしているかのように蠢く。

「んっ…ちゅ……あひらはまぁ…んむ…」
「琴音……んっ…」

我輩に抱きつき甘えてくる琴音…もはや、お仕置きなんてどうでもよくなってしまったようだ。
そんな琴音が堪らなく愛おしく感じる…普段の淑やかな琴音もいいが、こんな風に甘えてくるのもいいである…

「…もっと…もっと輝様が欲しいです…」
「そうしたいが…もう何回やったか忘れてしまったぞ。」
「大丈夫です…今の私なら何度でも出来る気がしますから…」
「いや、我輩の体がもちそうに……んっ?」

手に触れた琴音の尻尾に違和感を感じる…
なんと言うか…モフモフ具合が上がったような…?

「……!?こ、琴音!」
「きゃ!?い、いきなりどうしたんですか?」
「…し…尻尾が…」
「尻尾?…あっ。」

琴音自身も気付いていなかったみたいだが、八本だった彼女の尾が九本に増えていた。
とうとう琴音が九尾に……やっと…やっとこの日が訪れたか!

「おめでとう…おめでとう琴音!」
「輝様…んっ…」

琴音を抱きしめて深く口付ける。
琴音も我輩の首に腕を回して抱きつき、積極的に舌を絡めてくる。

「ふぁ…ありがとうございます輝様。」
「さっそく仲魔に報告しよう、これほどめでたいことなんてそうないからな。」

そう言って立ち上がろうとした我
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