…凄く気まずいである…
と言うのも、同行者の一人が我輩を起こしに来たのだが、その時に我輩の寝袋の中に主催者の女性が入り込んで寝ているのを見たらしい…
かなり密着していたらしく、大体の人が夕べはお楽しみでしたねと言って勘違いをしてしまう様な状態だった。
故に我輩は少し気が落ちているのである…こんな事でこの先生 きのこれるだろうか…
こうなった原因を作った主催者の女性は何故か上機嫌であるし…むーん…
「…大丈夫か?」
「…あんまり良い気分ではないである…」
「何でっすか?綺麗な女性とあれこれしたんっすよね?あ、後俺旅が始まってから初めて喋ったっす。」
「会話には積極的に参加した方がいいと思うぞ…それと、貴殿等がにやにや出来るような事は何もしてない。」
「してないと言うのはそれはそれでどうかと思うでありますが…あ、私も初めて喋ったであります。」
………うむ、同行者の中には無口な者が多いのだな。
「一つ聞きたいのだが、砂漠にはどんな魔物が出るんだ?」
「我輩が知っている範囲内では、ギルタブリルやグール…スフィンクス等が生息しているようである。」
「その魔物に注意すれば良いんすね?」
「まぁ、魔物の中にも目的があったりなんとなくで旅をしている者もいたりするからその限りではないがな。」
まぁ、好き好んで砂漠を旅しようなんて酔狂な魔物はいないであろうが…
…そんな事はどうでもいいのだが…
「…貴殿は何故我輩にくっついているのだ…」
「酷いわ…昨日はあんなに沢山愛し合ったのに…」
「誤解を招くようなことは言わないでくれ…」
「やっぱりお前ら…畜生!爆発してしまえ!」
「…弥生からもらった胃痛に効く薬は何処にしまっただろうか…」
それから三時間後…
「「「………」」」
真上に上った太陽の光がジリジリと肌を焼き、肌からは止め処なく汗が流れ出してくる。
同行者の男共は、我輩を弄るだけの気力も残ってないらしく、一言も発せずに黙々と歩き続けている。
我輩と主催者の女性は特に変わらず、くっつくと暑いだのひんやりして気持ちいいなどと喚きあっているであるな…
「…何でそんなに元気なんだ…」
「我輩はこういうのには慣れているからな…流石に長時間活動したいと思えるような場所ではないが…」
「私は…暑い所に住んでいるので。」
「……そうかよ…」
…これはいかんな…そろそろ倒れる者が出てくるかも知れん…
と言うか、約二名ほどの目が不味い事になってるである…死んだ魚の目の様になってしまっているな…
そんな状況の中、突然一人の男が大きな声で叫んだ。
「に…人間!人間がこっちに歩いてきてるであります!」
彼の指差した先を見ると、確かに誰かが歩いてきているように見えた。
…正常な我輩が視認出来ているであるから幻ではないと思うであるが…
「お?兄さん等冒険者の人か?」
「うむ、この先にある遺跡に行く途中でな。」
「あそこか…まぁ、ええもんはあると思うで。」
「貴方は行商人…かしら?」
「せやでー、水とか欲しいなら分けるけど?」
「くださいであります!喉が干からびそうであります!」
「はいよー…ささっぐいっといっちゃってなー。」
「助かったであります…んぐっ…んぐっ…ぷはぁ…」
…本当に飲んでしまったのか?(ニヤリ
「それでお代やけど…」
「っと、そうでありました…いくらでありますか?」
「金貨100枚。」
「………」
あ、固まったである。
「…すみません、耳に砂が詰まって聞き取れなかったであります…おいくらで?」
「金貨100枚。」
「どう考えても高すぎであります!何で水一杯で金貨100枚も取られなきゃいけないでありますか!?」
「なら聞くけど、どうして値段も聞かずに飲んだん?」
「それは貴方が促したからで…」
「うちは、水をくださいって言われたから出しただけやで?」
…ここまでを見れば諸君等でも彼女の正体が分かるであろう。
先ほど言った目的があって旅をしている魔物の一種…刑部狸であるな。
「それに考えてみ?たったの金貨100枚で命を買えるんやで?」
「そ…それは…」
「まぁ、払えん分は体で返してもらうからええよ…これでよしっと、ほないこか〜♪」
首輪をはめられ、刑部狸に連れられていく同行者の一人…
何かを訴えかけるような目でこちらを見つめてきたが、同行者の男達は皆目をそらした。
「…商人って怖いな…」
「生きているだけマシだろう、扱っている物の品質は確かであるし。」
「金貨100枚の水でもか?」
「まぁ、だまされたくなかったら正体を明かしている彼女達から買うしかないであるな。」
「……えっ?今の人間じゃないのか?」
「ジパング地方から来た妖怪であるな、我輩もよく知っている妖怪である」
「ジパング…どんな恐ろしい所なのだろう
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