隊長蜂に案内してもらい、森の中でも砂漠側に近い所へ進む事が出来た。
砂漠に近いからか、森の中だと言うのに汗が滲む程度に暑いである…
まぁ、夜になれば今の暑さが嘘の様に冷え込むだろうし、寝苦しいなんてことにはならんだろう。
「案内感謝するである、先ほどの侘びもかねてスライムゼリーをやるである。」
「礼には及ばないさ……気持ちよかったし…」
「ん?何か言ったであるか?」
「な、何でもない!…っと、言い忘れたが。」
顔を真っ赤にして怒り出したかと思うと、急に真剣な表情になって話し出す…見ていて飽きないであるな。
「この辺りに地を這いずった様な後があった、凶暴な魔物がいるかもしれないから注意した方がいい。」
「ふむ…」
「後、何本か木が倒されてたな。」
「ふむ……なんだって?」
地を這ううえに、木を薙ぎ倒すほどの力を持った魔物…該当するものが一つしかないな…
我輩の予想した魔物なら別に警戒しなくても良いか…盾はまだあるであるし。
「そ、それと…」
「ん?何であるか?」
「次近くを通ることがあったら…その…」
「うむ、必ず遊びに行くである。」
「そうか!待ってるからな!来なかったら一晩中搾り取ってやるからな!」
……普通なら危機感を感じるべきなのだろうが…琴音で慣れてしまったであるからな…
「戻ってきたか、ちょっと手伝ってくれ。」
「うむ、ここを支えていればいいか?」
「あぁ…よっし、これでいいな。」
戻って来た時には殆ど作業が終わっており、少ししか手伝えなかったである。
…もう少しゆっくりした方が良かったであるな…
「なぁ…お前さんは何を考えてるんだ?」
「ん?どういうことであるか?」
「魔物の事に随分と詳しいみたいだし、魔物を庇う様な事も言ってたし…あんたはいったい…」
「………」
何を考えているか…か。
そう問われたら言うことは一つだけであるな。
「我輩は我輩のやりたいように行動しているだけである、こうしている今も面白いであるからな。」
「人間が襲われているのにか?」
「…思い出してみてくれ、あの二人はどうして襲われた?」
「どうしてって………あっ…」
「一人は誤った知識で自らの首を絞め、一人は周りの静止を振り切り勝手に行動してそこを狙われた…言ってしまえば自業自得である。」
「だからといって…」
「それに、襲われたからといって死ぬことはないのだぞ?」
我輩の言葉を聴いた瞬間、男は驚愕したかのような表情を浮かべた。
まぁ普通の反応であるな…もう少し大袈裟に驚いてくれてもいいと思うのだが…
「今頃は、彼女達の住居の中でイチャイチャしているのだろう…」
「…何でそこまで詳しいんだ?」
「我輩は魔物の生態や行動を観察してきたからな…時には接触を試みたり、それが原因で襲われそうになったり…」
「……そうか…」
「まぁ、流石に危険な場合は手助けしよう…我輩でもどうにも出来ないことはあるがな…」
「たとえばどんなことだ?」
「ふむ…説明出来る範囲だと…」
「うわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
我輩が話している途中に、森中に響き渡るかのような悲鳴が聞こえてきた。
声色からして…子供か?
「この声は…薪木を集めに行った子か!?」
「行った方が良さそうであるな。」
声がした方へ走っていく男に続いて我輩も歩き出す。
さて…今度はどんな魔物に会えるのか…楽しみである。
「た、助けてっ!」
「くっ…どうすればいい…どうすれば助けられる!?」
男より少し送れて現場に着くと、同行者の中で最年少の少年が一匹の魔物に捕らえられているのが見えた。
長い蛇の様な胴を持ち、体と胴が頑丈そうな鱗に覆われている…が、腹部と上半身の前面には鱗が付いていないようだ…
先ほど隊長蜂から聞いたことも含めて推測すると…うわぁ…高確率でワームであるな…
外見的には人間の少女位か…とはいえ、力の強さや胸囲の戦闘力は外見からは図り知れん…慎重に行く必要がありそうだ。
「っ!手を貸してくれ!こいつを追い払うぞ!」
「…残念だが…我輩の言ったどうにも出来ない事が起こっているである…」
「ど、どういうことだ?」
「流石の我輩でもワームには勝てんである…ちょっと状況を変えるくらいなら出来るが。」
「何だっていい!あいつを助けてやってくれ!」
「助けるという点では手遅れであるがな…」
まぁいい、ちょっとだけ吹き込んでくるであるか…
「すまん、ちょっと話を聞いてもらっていいであるか?」
「この子は渡さないよ?私のものにしちゃったもんね!」
少年を抱きしめ、敵意剥き出しで警戒しているな。
胸に埋もれている少年が怯えているというのも教えた方がいいだろうか。
「別に取り返そうというわけではないである、人の恋路を邪魔するとケンタウロスに蹴られる
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