「あら?これって輝ちゃんの…」
「……暇潰しには丁度良いかしら。」
と言う訳で、今日は輝ちゃんの代わりに私が書いていくわ。
…さっきから輝ちゃんが何かを探しているみたいだけど、知らない振りをしておきましょうか…面白そうだし。
「むぅ…確かにここに置いてあったはずなのだが…アレクシアは見なかったであるか?」
「何を探してるの?」
「我輩の観察日誌である…まぁいいか、今日くらい書けなくても死にはしまい。」
そう言って、テントの外へと行ってしまった。
…よし…こっそりと輝ちゃんの後を追って行動を観察し、それをネタにあんな事やこんな事を…ふふ、うふふふふ。
そうと決まったらさっそく行動開始よ!
森の中を歩く事三時間…内、迷った時間二時間…やっと輝ちゃんを見つけたわ…
木の陰に隠れて様子を伺っていると、奥の方から一人の女の子が現れて輝ちゃんと話し始めた。
うーん……ちょっと聞き取り辛いわね…もう少し近づいて…
「今度、一緒に……に行きませんか?」
「我輩はかまわんぞ、……には我輩も興味がある。」
……えっ?
「それが終わったら…その………しませんか?」
「それはいいな、我輩も……は大好きであるし、何の問題も無い…と言えればいいのだがなぁ…」
「気にしなくて良いですよ…こういう事はやった者勝ちですから。」
「…そうだな、ではまた明日だ。」
「ふふふ、楽しみにお待ちしていますね。」
………これはあれよね、輝ちゃんが何処の馬の骨ともわからないような子に寝取られそうになってるということよね…
…大変だわ!早く輝ちゃんの目を覚まさせてあげないと!
「輝ちゃん!」
「ん?どうしたd…んむっ!?」
テントの中にいた輝ちゃんに歩み寄り、強引に唇を奪う。
迷わずに戻って来れてたっていう事に驚いたけど、今はそんなことを考えている場合じゃないわ!
そのまま服を脱がせようとしたとき、一瞬の隙を衝かれて引き剥がされてしまった。
「い、いきなり何をするであるか!?」
「輝ちゃんが寝取られないようにするのよ!」
「寝取られる?何のことを言ってるので…」
「誤魔化そうとしても無駄よ、貴方が森の中で女の子と話しているのを見たんだから!」
「森の中……あぁ、そのことか。」
「何を話してるかも聞いたから言い逃れは出来ないわよ?」
「そうか……またしばらく弥生に頭が上がらなくなりそうであるな…」
「……え?」
何で弥生ちゃんの名前が…え?
「しかし、宴会をするのだから先立つ物は必要であるし…仕方が無いであるな。」
「え…宴会…?」
「うむ…遺跡の探索に誘われてな、無事に終わったら宴会でもしようと。」
「………」
つまり……全部私の勘違い?
………
「アレクシア…まさか我輩が他の女性に靡くかもと思っていたのであるか?」
「……う…」
「う?」
「うわぁぁぁぁぁん!輝ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁぁ!」
「ちょっ!?我輩が悪かったから落ち着いて…こら!服を剥ぐな…アッー!?」
恥ずかしさと安心感が混ざってわけのわからない気持ちがこみ上げてくる。
その気持ちに突き動かされ、私は輝ちゃんに襲い掛かった…
この光景を見られているとも知らずに…
「と言う事があったのですよ。」
「あっはっはっはっ!」
「…笑わないでちょうだい…結構気にしてるんだから…」
まさかリシェルちゃんが見てるなんて…普段なら気づくのだけれど、状況が状況だったし…
「普段は自由気侭なアレクシアも、輝が係わると乙女らしくなるのじゃな…くっふふ。」
「うぐっ…り、リシェルちゃんも何で話しちゃうのよ!」
「昨日、私のおやつ勝手に食べちゃったじゃないですか。」
「何にせよ自業自得ということじゃ、観念して笑われておれ。」
「うぅ…後で覚えてなさいよ…」
たぶん、今の私は耳まで真っ赤になっているでしょうね…
こんなに恥をかいたのはいつ以来だったかしら…記憶にないわ…
何て事を考えていると、琴音ちゃんがテントから出てきて私の隣に座った。
「輝の様子はどうじゃ?」
「少し腰を痛めた程度らしいので大丈夫だと思います…今は弥生様が看病していますよ。」
「後で謝っておかないといけないかしら…ちょっとやりすぎた気がするし…」
「それが良いじゃろうな、酒の一本でも送れば直ぐに機嫌は直るじゃろう。」
お酒ねぇ…どんなのがいいのかしら?
次の町に着いたら探してみようかしら。
「そう言えば、琴音は何故こんなことになってるか知っているかの?」
「さぁ…私にはさっぱり…」
「それじゃあ私が寸劇も交えて説明を…」
「やめてぇぇぇぇ!」
…普段は素直で良い娘なのに…もしかして隠れSなのかしら…
あぁ…夜風が染みるわぁ…
今日一日だけで一生分の恥をかいた気がするわ…
…あんな行動をとるな
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