目の前に大きな箱がある・・・

「・・・また空箱か・・・」

難易度も低く、お宝がたくさん眠っていると噂される遺跡を探索し始め早くも1時間が経とうとしている
しかし、未だ収穫無し・・・ランプのオイル代すら稼げていない状況だ

「やはり楽してお宝ゲットなんて出来ないのだろうか・・・」

宝箱を見つけてもどれも空箱ばかりでお宝の見つかる気配などどこにも無い
その上、道に迷ったらしく帰ろうにも帰れない状況になっている

「・・・帰りたい・・・腹が減った・・・」

今になって自分の準備不足を呪う事になるとは・・・せめて非常食くらい持って来れば良かったか・・・
・・・もっとも、非常食を買う余裕が無かっただけなのだが

「・・・ん?」

さらに探索すること約20分
通路を進んでいると一箇所だけ色の違う壁を見つけたのだ
剣で叩いてみると他の壁と違う音がするようだ

「俺にもツキが回ってきたか・・・ふふふ♪」

自分の観察力に感謝すると同時にテンションが上がってきた
・・・そんな時でも予期せぬ出来事はあるわけで・・・

「さて・・・どうやって壊そうか」

持ち込んだ装備に壁を壊せるような代物がほとんど無く、あるのは爆薬のみ・・・なのだが

「・・・隠れれそうなところが無いな」

狭い通路内で使えば自分も吹き飛ばされてしまう・・・
せっかく見つけた隠し通路(らしき物)を見逃すしかないのだろうか・・・

「他に使えそうなものは無いだろうか・・・」

ポーチの中身は包帯とランプ用のオイル、後は地図やその他関係無い物でごちゃごちゃになっている
オイルと包帯で導火線代わりに使えそうだ

「・・・よし」

一筋の希望を胸に俺は爆破する準備に取り掛かった

「点火ぁ!」

無駄に気合を入れて即席の導火線に点火する、特に気合を入れる意味は無いがその辺は気分の問題だ
少ししてもの凄い爆音とともにすさまじい振動が伝わってくる

「やったか!」

俺は急いで戻ってみるが・・・

「なっ・・・」

あろうことか壁には傷一つついておらず爆薬が無駄になったという事実だけが残った

「・・・畜生!」

やけになって壁を殴りつける、無論自分の手が痛くなるだけだが

[カチッ]

「・・・え?」

スイッチが押されるような音と共に壁が音を立てて横へとスライドしていく

「・・・何なんだこのやりきれない気持ちは・・・」

・・・この遺跡を作った人物を張り倒したくなってきたのは気のせいだろう
とりあえず隠し通路の奥へと進むことにした









無駄に長い通路を進むと少し広めの部屋についた
部屋の奥に階段があり、部屋の真ん中に宝箱がある以外は特に何も無い殺風景な部屋だ
俺は宝箱の前まで歩いていく・・・

「ついに・・・ついにお宝を見つけたぞ!」

苦労して見つけたものほど喜びが大きくなるとはこのことだろう

「隠し部屋に置かれてるくらいだ、相当な値打ち物に違いないだろう・・・トラップの可能性も捨てきれないが・・・まあいいか」

そして俺は宝箱を開けた!

[パカッ]『ジャジャーン♪なんと宝箱はミm』[パタン]
「・・・」

ついノリで閉めてしまったがトラップだったようだ
ここで辛抱強く待ち続けた彼女には悪いがここで終わるわけには行かないので閉めたままにしていくか・・・

『ちょっと!いくらなんでもそれはひどすぎるでしょ!』

・・・開けてしまった以上逃げられないか・・・ざんねん、俺の冒険はここで終わってしまった






『それでね、そこのケーキがすごくおいしかったんだよ♪』
「・・・そうですか」

つかまって箱の中に引きずり込まれて捕食されるのかと思ったがそんなことは無かった、箱の中には引きずり込まれたが
箱の中で俺は2時間に渡る説教を受けた挙句、今こうして世間話を聞かされている状況だ
・・・どうやら彼女は甘いものが大好きらしい

「すみません、十二分に反省したのでもうかえらさせてください、俺には帰る家があるんです」
『ダーメ、やっと捕まえた獲物をみすみす逃がすなんてことはしたくないもん』
「そこを何とか・・・」
『じゃあ聞くけどここからどうやって出るつもりなの?』
「うぐ・・・」
『清く諦めなさい♪』
「・・・はい・・・」

訂正、別の意味で捕食されそうだ

『・・・私とじゃ・・・嫌?』
「そういうことでは・・・」
『やっぱり魅力ないのかな・・・』
「うぅ・・・そんなことはないと思うが・・・」
『・・・本当?』
「あぁ、十分魅力的だ」
『よかったぁ・・・♪』
「だがそれとこれとは話が別だ」
『えー、そんなこと言わないでよう』
「そんなこともこんなことも無い、第一出会ったばかりで何も知らない相手と・・・その・・・すると言うのはまったくもってけしからん」
『じゃああなたのことを知ればいいんだね?』
「・
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