○種族:人間
○特徴:筋力は自然界の獣の中ではさほど強くないが、知能は高い。
筋力のなさを武器と技で補い、時には魔法を使う事で自然界最強とも言われている。
現在は神々の僕となり魔物を敵対する人間が多く、かなり危険な存在である。
「じいさん。質問がいっこあるんだけどな。」
「なんだ。」
「じいさんはさ、人を殺すのがいやなんじゃ無いのか?」
森の中。いつもの様に星空を見上げながら寝転がっている。
じいさんは木の上でしか眠れないという。
本当に根っからの変人だな。
「どうしてそう思うんだ。」
「なんとなく。じいさんはまだ、迷っている感じがする。」
「そりゃお前からすれば、他のアサシンも大抵は迷っているってことなるんだろうさな。」
しゃがれた枯れ木みたいな声。
カサカサしているのになぜか温かいこのじいさんの声が、少しだけ好きだった。
「ずっと昔の話だ。俺もお前さんみたいに疑問も無く人を殺していた頃があった。」
「今は違うのか。」
「ああ。色々と知っちまったんだ。だから冒険者になったんだよ。」
「ふーん。」
「まだ若いお前にはわからんだろうさ。」
「んなこというな。俺だってもう大人だ。」
「そう言っている内はまだまだ子供なんだよ。」
その頃の俺はもう10人は軽く殺していて、他の子供たちよりも自分の方が大人なんだって、一人前なんだって思っていた。
だから何時まで経っても子ども扱いするじいさんに腹を立てていた。
積極的に暗殺をしてきたのも、じいさんに一人前だって認めて欲しかったからかもしれない。
「人には誰だってな、大事なもんがあるんだ。いや、人間だけじゃねえ。獣も、魔物にだって大事なもんがあるんだよ。」
「魔物にも、か。教会にぶっ殺されるぞ。」
「かっかっか。そんなもん、怖かねぇよ。第一、今更なんだっていうんだ。」
「それもそうか。」
伝説の暗殺者「影無し」。
「影無し」はまるで不治の病だ。
教会の偉い人間も、千を越える兵士を持つ貴族も、ソレの前じゃ子供と同じ。
狙われたら死んでしまう。
誰もその姿を見たことが無いから、ついたあだ名が「影無し」。
影さえ知られる事無く殺してしまう、暗殺者の中の暗殺者。
じっさい今でもじいさんの事は凄いと思うし、深いと思う。
でも俺の前に居るじいさんは、あったかくて、そして疲れていた。
聞いてみたら、じいさんはわらった。
伝説の暗殺者でも勝てない相手が居る、ということだとか。
「なぁ。結局どうなんだよ、じいさん。」
「は、小僧に教えるほど大したもんじゃねえよ。」
「小僧じゃねえって。俺はレックスだ!」
「かっかっか。わかったわかった。」
結局じいさんから答えは引き出せなかった。
でも何となく、今ならわかる。
殺せないなんて言ってしまったら最後、もう誰も殺せなくなるから。
あるいは、伝説の暗殺者に憧れる子供に夢を持たせたかったのかもしれない。
伝説の暗殺者は、最後まで暗殺者だったんだと。
今となってはもうわからない。
バルトワン領の西の森。その森に面している町がある。
西の森には魔物が住み着き危険であるとして誰も近寄ろうとしない。
やってくるのは商人か冒険者ぐらいなもので、彼らだって長居はしない。
一晩泊まって翌朝出て行く。
観光名所なら遠くに見える山があるかもしれないが、あいにくここより山に近い場所にも町がある。
山を観に行きたい人はそこに滞在するのだ。
中継地点としても不便だ。馬車道は整備されていないのででこぼこ道が続き、道の幅も狭い。
だから馬車の中継地点としても選ばれない。
この町はそういう場所だ。
しかし今この町は、降って沸いたような騒ぎになっている。
商人や冒険者、傭兵達が街中に溢れている。
屋台は軒を連ね、そこかしこで物売りの声が響く。
さながらお祭りみたいにな光景だが、この町では祭りを開く習慣は無い。
この騒ぎの理由を知りたければ足元を見ればいい。町の人たちの回答はそれだけだ。
見れば地面に散らばっている劣化草紙、もっと良く見れば人物の顔が描かれている事に気づくだろう。
どこにでも居るような、特徴らしい特徴の無い少年。
彼がこの町に大騒ぎをもたらしたのだ。
「酷い騒ぎだな。」
不満を隠しきれていない少女がぼやく。
頭巾以外に特徴の無い服装の少女。
その目つきは鋭く、喜びまわる人々をかみ殺さんばかりに睨みつけている。
「いよぉお嬢ちゃん。おにーさんと遊ばないか?」
たまたま近くを歩いていた酔っ払いが少女に声をかける。
「遊ばない。どっか失せな。」
「おお、気の強いお嬢ちゃんだな。こんなめでたい日にしかめっ面はいけねぇな。」
酔っ払いは火に油を注いでい
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