お土産

高い高い山の中。
その場所はとても高くてとても広い。
大きいドラゴンも小さいドラゴンも沢山いる。
私は母様と一緒に降りる。

翼を畳み、尻尾を揺らす。
母様と一緒にドラゴンが集まる場所に行く。
「さぁ、行くぞ」
うなずく。
「公園デビューだ!」

天空公園。
ドラゴンたちが昔から集まっていた場所で。
ワイバーンや他の空の魔物と取り合いになっている場所のひとつ。

今でも子供のドラゴンたちをお披露目する場所として使っているみたい。
「ふん。新人か」
「覇気の無い奴だ」
私とあまり年の離れていないドラゴンたちが、何だか偉そうにしている。

「私に挨拶も無いのか」
「やれやれ。礼儀がなっていない」
二人の子供ドラゴンがやってきた。
他の子供ドラゴンも遠巻きにこっちを見ている。

母様を見ると何だか変な顔をしている。
「ふん。母様が恋しいか」
首をかしげる。
「年上を敬うという気が無いのか」
首をかしげる。

あまり年が変わらないのに、敬う?
「我々はドラゴンだ。力強き者。故に相応の誇り高さが求められる」
強い事が必要で。
誇り高い事も必要?
「そうだ」

詰まらない。
「何だと!?」
好きに生きればいいのに。
ドラゴンって枠に縛られている。
「私にが、枠に嵌った小さな存在だというのか!」

子供なのに大きいって頑張っても。
大人より小さいから意味が無い。
「ならば自身の正しさを証明して見せろ!」
子供ドラゴンが吼えた。

「あ、起きた?」
首をかしげる。
辺りを見回す。
部屋の中。
首をかしげる。

「あはは。ここは魔界の宿の中だよ」
思い出した。
お祭りの後、私はすぐに寝てしまった。
……なんで寝ていたんだった?
「お酒の飲みすぎだよ。ほら、朝ごはんだから起きて」
何か忘れているような気がする。

「おはよー」
「よく寝ていたみたいだな」
二人のラージマウスが朝ごはんに焼いた豚を食べてる。
ピクシーも針に刺したお肉を食べてる。

「よく食べるねぇ」
「眼鏡の方は、ずっと食べ続けている気がする、ぞ」
二人のリザードマンは焼いたパンを齧ってる。
「昨日はちょっと食べすぎてねー」
「お前たちの胃袋はパンデモニウムか」

「あー、聞いてよ。私の武勇伝! 私、この針で止めを刺したんだから!」
倒れた豚を刺した?
「違うって! 動いている魔界豚だって!」
「間違って僕を刺したりしたけどね」
「だって私の前に出るから、っていたいいたいいたい〜!」
危ないピクシーはビンに仕舞う。

「でもさ。そのピクシー。小さいのに頑張ってたよ。アマゾネスでも二の足を踏むようなおっきいのに突撃してたし」
今日は拉致らないハーピー。
食べている目玉焼きは自前の?
「いや。リザードマンの」

「いや! ちがう、違うぞ!」
首をかしげる。
「あんたが焼いたんでしょ」
「む。いや、ああ。確かに私が焼いた」

「あららー」
「ふむ」
「墓穴掘っちゃったねー」
ラージマウスが口に手を当てて、眼鏡ラージマウスが頷いて、金槌リザードマンが笑ってる。
「やれやれ。ほんっと、見てられないねー」
ピクシーも呆れてる。

「あの、どういう」
「違う、違うぞ少年! 決してそう言う事ではないのだ!」
少年は目玉焼きを食べてる。
最近はあまり焦げていない。

「意外な伏兵だな」
「みたいだねー。って、あんたはあの子が狙いでしょ」
ラージマウスが眼鏡ラージマウスの頬を突付く。
「私が何時、少女を襲ったと言うのだ」
あの時とあの時とあの時と。
「一部を除いて濡れ衣だ」

「それにしても。ワイバーンって強かったね」
少年は昨日の事を思い出しているみたい。
「だが。ドラゴン種のワイバーンよりも大暴れしていた者がいたな」
リザードマンが私を見る。

「私はドラゴンを見たことないけどさ。ドラゴンも顔負けの暴れっぷりじゃなかった?」
ドラゴンはきっと、あれくらい皆出来る。
「ま、マジで?」
ピクシーに頷く。

だって、人の振りをしている私であれくらい出来るのだから。
みんなはもっと凄いはず。
……?

「どうかしたの?」
少年が不思議そうに見ている。
そういえば、家を出る前は他のドラゴンたちを遊んだ事があった。
あの頃から比べるとずっと強くなっているけど。
あの子供ドラゴンたちは、いまはどれくらい強くなっているんだろう。

確か、最初に天空公園に行った時は。
どうだったかな。

……、……。

その日はワイバーン宅急便で町まで戻って。
戻ってからリナリアと勇者の男の子に魔界豚をお土産に会いに行った。
二人は驚いていたけど、美味しさを伝えたら喜んで持って帰った。
魔界豚は美味しいけど魔物らしさは無いから、人間が食べても大丈夫。

宿では魔界豚を作った料理をおばさんと一緒にラージマウスとリザードマンが作ってい
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