私は邪竜の一角にして、メストカゲの一尾である! 名は、ダーズ!
番(つがい)を得てからは実に良いメストカゲ生活をしていたのだが、ふと気づいたのじゃ。
眷属たち、エロくなり過ぎてないか?と。
正確な表現をすると、エロに染まり過ぎて、皆が皆自室に引き籠ってしまったのだ。
そのため、私に献上するはずの貢物が減ってしまった。
由々しき事態なのだ!
「では、行くとしよう」
古来より続く伝統、貢物による悠々自適の生活を取り戻すため。
私は愛しき番(つがい)の寝顔にキスをして、窓から飛び立つ。
目指す先は人の町。
待っておれ、悠々自適の生活よ!
町にはまだまだ人間が残っていた。
眷属たちは加減をしたため男の影も多くみられる。
そして愛らしい程に弱々しい敵意を含んだ視線も向けられている。
「ふむ?」
視線の主が気になり、窓から邪魔する事にした。
どこにでも居るような若い娘は、私の訪問に怯えて座り込んでいる。
「ふむ?」
何か良い考えが浮かびそうな気がするが、何だろうか。
旧い時代の記憶だ。中々意識の底から出てこない。
「娘よ。何故、可愛らしくも愛らしい敵意を私に向けたのだ」
「だ、だって」
怯えながらも娘は私をにらみつける。
「私は、貴方たちが憎いし。そして、羨ましいの」
「ああ、なるほどなるほど」
そうして、私は試す事にした。
「では、お前も眷属だ」
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じわりじわりと、私に染み込んだ恐ろしい邪竜の血が私の中に広がる。
強いお酒を飲んだように熱がこみあげてくる。
「え、あれ」
お酒を飲んだように、と言うのは少し嘘だったかもしれない。
だってこれは、こう、なんというか。他人には言えない様な恥ずかしい事をシテいる時に似ていると思う。
人に怒鳴った事が無い私でも、気になる男性はいるし、付き合えたらいいなぁって思ったりもする。
だから、一人でシちゃう事もあるんだ。
仕方ない事なんだよ、うん、きっとみんなもしている事だから。毎晩。
いま私の体から湧き上がるこの熱は、毎晩感じている熱によく似ている。
違っているのは、自分で止められない事と。
毎晩味わう熱よりもっと、もっと。熱くて熱くて堪らないという事。
目の前に人(じゃりゅう)がいるのに、私の手は止まらない。
大きくならなくて悩んでいた胸を、私の右手がきつく虐める。服のボタンはいつの間にか外していた。
「ひゃあ♪ なに、これぇ♪」
いつもの何倍もくすぐったくて、いつもの何倍も気持ちいい。
頭の片隅で、こんなの続けていたら壊れちゃうんだろうなぁと感じてる。
でも私は、もっと触ったらもっと気持ちいいんだろうなぁと期待している。
にちゃりと音がする。くちゅ、くちゅと音がする。
もうこんなに濡れている。もうこんなに溺れてる。
口から火を吹き出しそうなほど体が熱いのに、手は止まってくれない。
気持ちよくて、怖くて、止めたいのに。止まってくれない。
だって気持ちいいから♪
頭が変になっちゃう。それが分かってても、止められない。
この気持ちよさを知ったら、もう戻れない。
息が、乱れて、凄く走ったみたいに荒いのに、体は疲れていなくて。
昔読んだ本の一節にあった文章を思い出す。
恋は身を焦がすほど燃え上がり、快楽は息を許さないほど溺れさせる。
今の私は恋心さえ水没して、もう快楽から顔どころが指先一つ抜け出すことが出来ない。
どれだけ手を動かしても、指から響くのは湿った水音だけ。
どれだけ足を動かしても、ピンと伸びた足先が空を掻くだけ。
空を見上げる魚になった気分。
届かない空を見上げて、私は。
そうして何度も、何度も、気持ちよくなって。
何時しか、私は溺れていなかった。
主(じゃりゅう)様が仰るには、どうやら私は主(あるじ)様の下僕になったようです。
黒曜色の鱗。鋭く尖った爪。大地を踏み砕く丈夫な脚。
私は竜の一種、半竜人とも言える種族になりました。
わー、ぱちぱちぱち。
不思議な気分です。私は元人間だった事を覚えていますし、どんな気持ちでどんな生活をしていたのかも覚えています。
でも今の私からすると、うじうじして弱々しい人間だったなぁとしか思えないんです。
芋虫を見下ろす蝶の気分に似ているかもしれません。
今の私は花の蜜を吸う蝶と違って獰猛です。あぁ、大好きな彼の精液を求めているって事は、蝶とそっくりですね♪
「気分はどうだ?」
「すっごく、えっちな気分です♪」
「そうなるだろうとは思っていたが。やはり、ドラゴニュートもそうなるのだな」
主(あるじ)様はそれからいくつか話をした後、ま
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