青い空。白い雲。頬を撫でる風は臭いというか苦い。瘴気混ざりですらない空気。戸惑い。再度、空を確認。青い空。白い雲。
「現状把握。現在地、魔界以外。現在地の候補、該当なし」
周辺を確認。人間多数。魔物娘は視認不能。男女を問わず発情した視線を確認。研究成果である白磁エロ肌の効果であることを確認。自己評価10を獲得。他者評価を確認。
「おいおい、あの子めっちゃエロいぞ!」
「服を着てない!」
「めっちゃリアルな毛皮のフードパーカーみたいなの着てる! それ以外は着てないけど!」
「滅茶苦茶白くてエロイ! もう少し、もう少しで先端が見えるのにぃいい!」
「ダウナー系色白美少女裸虎パーカー。属性爆盛り過ぎだろ! いいぞもっとやれ!」
「所であの浮いてる熊のぬいぐるみ、なんだろ」
他者評価10を獲得。研究成果は満点。週刊魔界ファッション誌の効果も確認。やはり時代は獣っ子。異論は認めるが自論の否定は認めない。ところで、日差しが辛い。私は薄暗い場所が好みの室内派。視姦プレイは堪能したので、一時退避する。転移魔術、起動。
私はルルット。リッチなリッチ。アンデッド向けの媚 薬保水液や旦那の精液を混ぜる事で効果を高める乳液など、肌環境を整える商品を数多く制作してきた。売り上げも上々でリッチさんだ。種族もリッチだ。リッチなリッチだ。
だが、独身だ。友人たちはエッチなデッドライフを満喫しているのに、貢献してきた私だけソロデッドライフは
寂しい。旦那欲しい。旦那に甘えたい。綺麗だよ可愛いよって囁いて欲しい。君が一番だよって抱きしめて欲しい。だから私は未来の旦那のために最高の体を作るべく、様々な商品開発をしてきた。儲けたお金で薬の材料を買い
、研究する。余ったお金で魔界雑誌を買い漁り、服装や小物類も整える。私の計画は完璧だ。ソロデッドライフが
続いていること以外は完璧なんだ。旦那、欲しい。欲しい。
昔は魔術さえ研究出来ていれば良いと思っていた。いや、嘘だ。独身生活が長すぎて、異性に気後れして、旦那
探しを先延ばしにしていたらリッチになっていたのだ。もうカサカサお肌になっちゃったし結婚なんて無理だと諦
めたけど、いつの間にか魔王の代替わりでピチピチお肌になった。私は夢を取り戻す。捨てた夢を拾う。その一念
で様々なエロい薬や美肌薬を作ってきた。
そして現在。どの魔界雑誌にも載っていなかった光景が目の前の広がっている。ひときわ高い建物の屋上から見下ろしても、どれひとつとっても見覚えがない物ばかりだ。リサーチが必要だ。私は日差しから隠れるように日陰に移動して、観察することにした。
どうやらここは異世界の様だ。ここ数日、浮いている幽霊たちを中心に情報収集をした結果、今いる場所は変態大国日本だと判明した。変態大国なのに街で見かける人々はエロ三昧じゃない。その辺りを詳しく調べると、創作物が多様なのだと判明した。知り合った幽霊の勧めで様々な書籍を確認する。
「魔界雑誌でもここまで奇妙なエロ本は無かったぞ」
変態大国とは大仰な、と思っていたが。うん、これ、変態だ。どうして電車と電車が連結しただけでセックスになるのだろう。キュウリ×ちくわとか、チーズ×ちくわとか、ただの料理にしか見えないんだが。
まぁエロの多様性という点では驚いたが、魔界でも好評間違いなしのシチュエーションプレイも数多くあった。
無事、元の世界に戻ったらここで得た知識を魔界雑誌に投稿してみようか。それはさておいて。
「あの少年は、アンデッド好きなのか」
私も知識欲のためだけに本屋を回っていたわけではない。エロを求めるという事は、エロい事をしたいという事。エロ本を求めるという事はエロいことをしたいと思っているという事だ。つまりエロ本を求めるエロい旦那の中でピン!と来た相手を旦那にすればいいのだ。
どうして旦那探しが始まっているのかと言うと。見知らぬ異世界に来て私の寂しさが限界に来たから、早くぬくもりが欲しいのだ。旦那欲しい欲しいが過去最高潮になって最高記録を毎日更新しているのだ。正直、誰かれ構わず襲いたいところを、純愛らぶらぶ大好きなので血眼になって探している途中だ。
そうしていつ限界が来るか分からない中、目に留まったのが先ほどの少年。性欲精査、確認。興奮度上昇中。性癖確認。人外好き、特にアンデッド好き。エロは幅広いが、浮気などはNG。巨乳好き。
「巨乳だけが全てじゃない。ここは教育が要るなぁ」
私の胸は手に収まる範囲。いや収まるというか、この世界基準でBはある。だから貧乳ではない。もしかしたらCはある。だが怖いから細かい計測はしていない。
「ん?」
少年を隠蔽魔術・飛行魔術を駆使して尾行していると、少年はガラの悪い青年たちに絡まれて
[3]
次へ
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想