夏休みがやっとはじまった

 曇りと雨の境を彷徨う梅雨が明けた。青い空、白い雲。照り付ける強い日差しと蝉の声。これこそ夏だ!と活気が出たのは1日だけ。2日目からは夏の暑さにやられて、汗だくの弱り顔。それも帰れば少しはましになるだろう。

「はい、課題提出! 補修終了!」
「これに懲りたら、次からはせめて赤点は取らないように勉学に励むことだ」
「貴重な高校生の夏休みがつぶれるのは、もうこりごりですよ」

 熱気の籠ったため息をつくと、カーン、と打球の音が聞こえた。

「私も、早く帰って妻に甘える仕事が残っている。補修の仕事が無ければ、私も夏休みをもっと早くに満喫できたのだがな」
「俺だって恋人との暑い夏を過ごしたかったですよ」
「では」
「そういう事で」

 目つきの鋭い先生と視線で会話をすると、二人して鞄を手に教室を出た。熱い熱い夏を満喫するために。



「たっだいまー!」

 自宅に帰ると、見慣れた靴が玄関にあるのを確認しつつ、脱いだ靴も放り捨てて廊下を走る。予想通りなら、もう水風呂が張ってあるはずだ。
 汗で湿った服を強引に脱ぎ捨て、洗濯機に放り込む。風呂場で、ぱしゃり、と水音が聞こえた。

「たっだいまー!」
「おかえり」

 風呂場の戸を開けると、浴槽から顔と手だけ出した恋人が、かすかな笑みを浮かべていた。


「ふいー。生き返る〜」
「よみがえれ」

 風呂の水温は室内という事もあって冷たく、走って帰ってきた体の熱を全部吸い取ってくれる。俺の胸に背中を押し付けるようにして身を任せてくる恋人は、いつも通り独特な相槌を打ってきた。小柄な彼女の体はすっぽりと俺の腕の中に納まっている。機嫌よく耳元のヒレに似た耳を動かしている彼女は、サハギンと言う種族だ。機嫌がいいときは激しくヒレ耳が動き、元気がないときはヒレ耳もしょげ返る。実にわかりやすい。

「ほしゅうおわった?」
「終わった終わった」
「ならばよし」

 ヒレ耳を動かして喜びを表す彼女が愛しくて、少し強く抱きしめる。スクール水着に似た、というかスクール水着そのものにしか見えない鱗は、やっぱりスクール水着と同じ目の粗い布地で出来ていて、プールで遊んでいる年下の女の子にいたずらをしているような気分になる。
 すると、まぁ、元気になる。

「げんきいっぱい」

 当然、密着している彼女は気づく。ヒレ耳が妖しく垂れ下がり、上目遣いに視線だけこちらに向けてくる。

「げんきいっぱいぱんぱんぱん」
「いや、言わんとすることは分かるけど、結構ギリギリだよな」

 表情の変化に乏しいサハギンではあるけど、彼女はかなりひょうきんでお茶目だし、魔物だからすごくエロイ。獲物を狩る目つきになると、ゆったりとした動きで腰を動かし始めた。荒い布地越しに柔らかな肉を感じて、ビクリと震える。
 ちゃぷ、ちゃぷり。激しい動きじゃないけど、玩具で遊ぶように、はたまた弱い者いじめをするように、変化をつけて柔肉が押し当てられる。興奮はするけど、射精するには程遠い快楽。もどかしさだけが増していき、きつく彼女を抱きしめる。

「がまんできる?」
「したくない」
「したくない……!?」
「いや、どう受け取ったか知らないけど、えっちはしたいぞ。すごく」

 この世の終わりが来たような絶望の表情になったので、すぐに訂正する。

「うん。わたしもしたい。えっちでいやらしいこと」

 とろん、と眼をヒレ耳が垂れる。完全にスイッチが入ったな。抱きしめる力を緩めて、隙間が空く程度に腕の輪を広げる。彼女は俺の手を持ち、尻尾を俺の太ももに巻き付けると、彼女の体に不釣り合いなモノへ腰を下ろした。

「〜〜〜〜〜〜」

 最初は入らないかと思うほどきつく、にゅるんと一気にくわえ込み、こつんと子宮口に先端が当たった。そのまま体重がかけられて、深い口づけをするように押し付けられる。竿を絞り上げられ、先端をプリプリの子宮口で押し当てられると、いきなり暴発してしまいそうになる。というか、暴発した。体を震わせて、射精の快感を味わう。

「ん。うごくよ」

 射精が終わったのを見計らって、彼女が動き出す。俺の腕を手すり代わりに持ち、上下の運動が開始される。動き自体は単純なのに、ナカの感触は複雑に絡み合って単調にならない。というか最初の一発目も含めて、いつもの流れだ。このまま数回出すまで上下運動が続いて、あ、出る、出てる、それで彼女が満足したら次の段階に移る。それまでは、激しさを増していく上下運動に翻弄される。あ、やばい、また出る。

 何回か射精すると、今度は挿入したまま彼女が体を反転してきた。対面で抱き着き、俺の胸に頬ずりをしてくる。

「こんどは、いっぱい、して」

 風呂場に、甘える細い声が反響する。まるでセイレーンの甘い歌声みたいに俺の脳は溶けて、彼女の唇を強く奪
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