強さを求めてけんかをしたり、食べたり、色々勉強したり。
そんなある日。
何時もの様に人間がやって来たみたい。
問題は、その人間が魔物と一緒に来たこと。
人間は誰かと番(つがい)になっていなかったこと。
魔物と一緒に行動していたら普通は番(つがい)になってる。
違うってことは、なんだろ。
「気になるなら見に行ってみたらどう?」
ディリアは気になる?
「俺は気になるぜ!」
カナシャは気になる派。
ディリアは?
「私も興味があるわね」
そーなんだ。
「貴女がそんなに反応するって辺り、凄く興味深いわね」
むー?
「ほら、貴女の尻尾」
指さされた先を見る。
尻尾びたんびたんしてた。
あれ、いつの間に?
「思い当たる節があるのでしょう? ほら、行きましょう」
行こう行こう。
ごぉ。
不思議な人間と魔物の組み合わせは、食べ物を運ぶ荷馬車に乗ってきたみたい。
色んな魔物に囲まれてる。
「知り合いだったみたいね?」
ディリアが楽しそうに笑ってる。
首をかしげる。
「また、尻尾」
びたんびたん?
「おーよ。めっちゃ動いてるぞ」
びたんびたん。
知ってる匂いがいっぱいある。
「そう。なら声をかけてきなさい。ほら、急いで」
ごぉ。
や。
「や、じゃない。この連中を何とかしてくれないか」
眼鏡ラージマウスは相変わらず生真面目な顔してる。
「あははー。そっちも変わんないね〜」
ラージマウスも変わんない。
「苦労したよー。ここまで来るのって」
金槌リザードマンは苦労したように見えない。
「誰かさんが大暴れをするお蔭で、人間たちの警戒レベルが上がっていたんでな」
リザードマンはなんだか仏頂面。
「この男の子以外はやりたい放題だったから、いい旅だったよ〜」
ゴーストは本当に自由。
「もう弓矢に追いかけ回される日々は嫌だよぉ」
ハーピーはトラウマを負ったらしい。
「……ふん」
フェアリーはなんか不機嫌。
「……えっと」
少年はちょっとは成長したのかな。
何だかみんなの中心が似合ってる。
「あ、そうだ! いろいろ話を聞かせてよ! そっちも色々あったんでしょ? こっちもあったんだよ!」
ラージマウスが抱き着いて来た。
抱き留めてそのままくるくるー。
「あら、良いわね。私もこの子の話、聞いてみたいわ。色々迷惑かけたでしょう?」
「ハプニングが盛りだくさんで、飽きはしなかったがね」
ディリアと眼鏡ラージマウスは何だか気が合うみたい?
「とりあえず、飯だ飯!」
「いいねぇ。ここの特産品って興味あったんだ〜」
カナシャは明るい金槌リザードマンと肩を組んで歩き出した。
うん。
カナシャも大概ドラゴンのプライドないよね。
みんな相変わらずだった。
金槌リザードマンとラージマウスはずっと食べてる。
カナシャと一緒に。
リザードマンと眼鏡ラージマウスは、ディリアとお話してる。
何の話してるんだろ。
ハーピーとゴースト?
なんかお出かけしたみたい。
あの二人は何時だって自由。
「彼女たちは、この国に戻る前の仲間なのですか?」
隊長さんは私の隣。
それにしても。
「えっと。どうかした?」
少年は何だか戸惑ってる。
ドラゴンに囲まれて。
「ただの人間が魔物を連れてくるとは。勇者なのか?」
「だが弱そうだぞ」
ドラゴンは強い相手を叩きのめすのが趣味。
弱そうな少年を相手にすることはない。
「竜王の住まう国に自ら足を運ぶ。並大抵の胆力ではないな」
「効かぬ剣を振り回す愚か者よりは気骨がある」
相手にすることは、ない。
はずだけど?
「お前の巣はどこだ?」
「え、えっと。ここからは遠いけど」
「武力は鍛えているようだな。貧弱だが」
「うう、全然強くならなくて」
ドラゴンたち、興味津々。
「そのようですね」
隊長さんも?
「初めて見るタイプ、とは言い難いですが。ドラゴンに囲まれて萎縮はしているようですが、恐怖は抱いていないようです。稀な存在ですね」
そうなんだ。
ふーん。
「竜王様?」
「む、何者だ。邪魔立て」
どいて。
「竜王様でしたか。どうぞ」
「え、竜王? この子が?」
うなずく。
「え、でも。ちっちゃいし」
「貴様ぁ!? 竜王様に何と言う事を!?」
「ひっ、え、えっと、ごめんなさい!」
「そうだぞ!」
「竜王様は強くてかわいい我らの象徴なのだぞ!」
「強さこそ正義! 可愛いこそ正義なのだ!」
ドラゴンの正義が微妙に変質している気がする。
気のせい、きっと。
「えっと。は、初めまして」
……。
首をかしげる。
なにか違う。
「え、えっと?」
首をかしげる。
「どうやら彼は記憶喪失らしい」
眼鏡ラージマウス。
どゆこと?
「あの日。少年たちがドラゴンに敗れた翌日。彼は部分的に記憶を失っていた。ある人物の記憶だけが、無いのだ」」
とくてーの。
「そうだ。誰に関し
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録