魔物娘の日々の1ページ

・アルラウネとバードウォッチャー
「今日も鳥を見に来たの?」
「ああ。ほら、見てみろ。あの木にツグミが止まってるぞ」
「え、どこどこ?」
「ほら、ここだよ」
「あ〜、ほんとだ。そーがんきょうってすごいね〜」
「そうだろ。だからもう一つ持って来てるから、それでみとけって」
「でも、一つで十分だよ〜。ほら、レンズが二つあるから、こうすれば〜」
「……見づらい。あ〜〜〜、わかったから蔓を絡めるなって!」


・スライムと下宿生
「こんにちわ〜」
「どわぁ! 蛇口から出てくるんじゃねえって!」
「ごはんちょーだい」
「飯なら栄養飲料渡したから飲めっていっただろ」
「やだー。一緒に飲みたい〜」
「はいはい」
「好きだからー、ご飯も一緒〜」
「〜〜〜、はいはい」


・レッドスライムと同級生
「あれ、まだ絵を描いてるの?」
「そうなんだよ。コンクールの題材が全然決まらなくってさ」
「たしか、人物絵だったよね」
「そうなんだけど。風景画しか描いてないからさぁ」
「あれ。でも、私の絵はよく描いてるよね。なんでダメなの?」
「……他の人に見せたくないから」
「え、え〜〜〜、あ、うん。それじゃ、えっと、しかたないよね」
「うん、しかた、ないんだ」


・ゴーレムと教授
「機材お持ちしました」
「助かる。そこへ置いておいてくれ」
「かしこまりました。他に何を致しましょうか」
「隣に座っていてくれ」
「わかりました。何を致しましょうか」
「……座っていてくれ」
「わかりました。でも、何かをしたいのです」
「傍に居てくれるだけでいい」
「……はい。教授」
「……あまり照れることを言わせないでくれ」


・ジャイアントアントと従兄
「にーちゃんにーちゃん。あそぼ!」
「今勉強中だから後にしろ」
「やーだー。にーちゃん、あそぼ!」
「こら、持ち上げるな! 運ぶな!」
「あそぼ! あーそーぼー!」
「他の魔物娘と遊んで来い!」
「やだ! にーちゃんがいい!」
「なんでだ!」
「大好きだから!」
「俺もだ! だから養えるようにするためにも、今は勉強に集中させてくれ!」


・ラミアと園児
「子供ってかわいいのよねー」
「ねー」
「無邪気でさ。蛇の体を見ても怖がらないし」
「うねうねー」
「やわっこいし」
「ふにふにー」
「きいてる?」
「だーいすき」
「はいはい。大人になったらまた言ってよね」
「うん。ずっとだーいすき!」


・ハーピーと飼育員
「こんにちわー。今日も遊びに来たよー」
「おう。お前が来ると鳥たちもおとなしくなるから助かるよ」
「えへへ〜。ほら、貴方たちもしっかり働くんだよっ」
「魔物娘ってのもすごいもんだな。動物とも話せるんだからなぁ。俺らより向いているんじゃないか?」
「え〜。でもさ。番になってほしいって言われたり大変なんだよ」
「あー。そりゃ確かに、大変だな」
「私ね、愛妻弁当を持って旦那さんの仕事場に行くの、あこがれてるんだー」
「そっか。その夢、適うといいな」
「うんっ。じゃあ、協力してよね?」
「そりゃまたどういう……ん、この包みは?」
「えっへへー。愛妻弁当!」
「おう。うまそうだな。こりゃ、未来の旦那さんも喜ぶぞー」


・ブラックハーピーと新聞配達
「今日も配達? 朝から元気だねぇ」
「生活費のためだからな」
「ねぇ、デートしようよ」
「断る」
「えー。ちょっとくらいいいでしょ?」
「デートなら毎朝やってるだろ。こんな風に」
「……そ、そういうのじゃ、なくってさ!」
「俺と一緒に朝飛ぶの嫌なのか?」
「いやじゃ、ないけど。〜〜〜〜ばかっ!」


・デビルバグと家出少年
「今日も路地裏のゴミ箱相手に残飯漁り?」
「そうだよ。悪いか」
「別にー。あ、それ腐ってるから君じゃ無理」
「ちっ」
「そっちもダメ。これ食べなって」
「うっせぇな。なんだって俺に構うんだよ」
「私らの縄張りに顔突っ込むと、群れに襲われて大変なことになるよ?」
「知ったことかよ」
「そうなんだ。じゃあ、えーい」
「わっ! なにしやがる!」
「おねーさんが大変なことがどんなことか。体で教えてあげる!」
「服脱ぐなって! こら、脱がすなって! せめて、一目の付かないところにしてくれぇ!」


・メドゥーサとあやとり少年
「これをこうして、どう?」
「はい。こうやってこう」
「はやっ! なんで指が10本しかないのにそんなに器用なのよ」
「いや、髪の蛇を使おうとする方が難しいでしょ」
「む〜〜〜。なんであんたは怖がらないのよ。私、メドゥーサよ? 私の髪蛇とか目とか、怖くないの?」
「ぜんぜん。はい、とって」
「こう?」
「じゃ、こう」
「う〜〜。うまく取れない」
「はぁ。せっかく赤い糸を使っているんだからちゃんとやってよね」
「わかったわよ。でも、なんで色が関係するの
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