巻き巻きレディー2

 とある砂漠のとある町。
 古きよき盗掘屋が集まる場所だったが、今ではすっかりその光景を変えている。
 砂漠の古き王が復活し、その家臣たちが町を飲み込んだ。
 町には包帯や獣の魔物が跋扈している。
 その魔物の一種、アヌビスは頭を抱えていた。

「むぅ。それはやはり困る。」
 娘の相談に尻尾をへたりと垂らしている母アヌビス。
 彼女自身もどうすれば良いかと悩んでいたが、答えの出ていない悩み事なのだった。
「やはり母様もお悩みでしたか。」
「悩まないで居られるか。我々アヌビスにとって管理秩序こそが存在意義なのだぞ。」
「ですが、管理秩序がどうしても出来ない場合は?」
「……別の管理機構を作るしかない。」
 ふぅ、と二人してため息をつく。
 幼いながらも管理者としての英才教育を受け続けてきた娘と共にガラスの無い窓から外の光景を眺める。
「渇いた。せーえき、ちょーだい。」
「うわっ、よろこんでぇ!」
 悩み事というのはいたって簡単。
 マミー問題だ。


 マミーと言う魔物は、アンデッドに分類される「元人間」の種族である。
 体に特殊な包帯を巻きつけている事から、「包帯娘」と呼ばれることもある。
 アンデッド系は人間の精を定期的に採らなければ衝動的に人に襲い掛かってしまう。
 マミーはゾンビやスケルトンと違い、砂の王「ファラオ」の民という分類に当てはまる。
 そして「ファラオ」の家臣は他にもアヌビスやスフィンクスらがいて、アヌビスの仕事は国内の管理と国民であるマミーの統括なのだ。
 アヌビスの悩み事はいたって簡単。
 元々「ファラオ」と共に眠っていたマミーと、新たに増えたマミーたち。
 彼女達が余りにも多すぎるのだ。
 マミーは人間の女性から精を吸い取る事でマミーに変えてしまう。
 目覚めたマミーが多すぎて男女構わず襲い掛かり、結果として潤うマミーより渇くマミーの方が多いという、なんとも借金地獄みたいな状況に陥ってしまった。
 幸いなのは噂を聞きつけた人間の男たちが逃げずにむしろ大挙して押し寄せてきた事だ。
 ある時など、冒険者の集団がそっくりそのまま「国民になりたい!}と言って来た事もあった。
 マミーの食糧問題は解決した、かと思いきや今度は人口過密による軽犯罪の続出した(殺人などの重刑犯罪は、誰かが犯す前にギルダブルがその人物を性的に犯しているのであまりない)。
 ケンカ、窃盗、誘拐など。
 人間同士のいざこざが多いが、中にはアヌビスの子が誘拐された事もあった。
 ちなみにその無謀な人間は「マミー牧場の刑」に処された。
 彼は嬉し涙とそれ以外の何かを零しながら、今日明日も頑張っているそうだ。
 刑期は不明。一説によれば無期懲役なのだとか。
 ちょうど刑罰の話が出てきたので横道に逸れると、他にも砂の王国ならではの刑罰が存在する。
 大きく分けて2種類に分かれていている。
 犯罪の重さに比例して金銭の代わりに精液の搾り取る「搾取刑」と、精液の代わりに労働する「労役刑」。
 女性からは精液は取れないので、「労役刑」が無条件に処される。
 また重犯罪者に対しては「奉仕刑」が処される。
 「マミー牧場の刑」はこの奉仕刑に分類されている。
 まぁ搾取刑でも、10回分とかなったらアルラウネの蜜とかの力でも借りない限り体力とかが持たないのだが、それを買う金が無い場合はどうなるかと言えば簡単。
 この王国ではお金の他に精液が金銭代わりになっている。
 だから2,3回分で蜜を買って、一気に10回分を1日で済ませるという方法が良く使われている。
 それでも犯罪のレベルによっては2千回分とかあったりするので、そういう時は諦めた方がいい。

 さて。精液で支払いを済ませれば良いのになぜ窃盗が発生するのかというとだ、やはり人間同士のいざこざが関係する。
「ウホッ、なんていい杖。」
 なんていう輩が居るせいで窃盗が発生するのだ。
 この王国では「この国特有のとある理由」により人々の注意が散漫になりやすく、簡単に盗みが成功する。
 お陰で警備隊のギルダブルが喜悦満悦で犯罪者を捕らえるという事件が多発している。
 敢えて盗みを働かせてから大義名分の下に襲い掛かっているとの噂もあるが、アヌビスはその事実を否認している。
 他にも「この人は俺が良いっていいって言ってるんだ!」「だまれはげ、お前は向こうのロリミーとやってろ!」とケンカをしたり、マミーハーレムを作って「ふふふ。ここが俺の王国だ。みんな従え! 世界の中心はここだ!」と勘違いした冒険者が他の冒険者に蛸殴りにされたりと騒動が尽きない。
 何を勘違いしたのか、どさくさに紛れて人間の女性に襲い掛かって「あれマミーじゃなかったんだ?」とか言い出す馬鹿も発生する。
 人間の男性が居なければ成り立たない王国なので男性に
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