農娘トロールの一日

「今日も精が出ますね」
「ええ。おかげさまで」
ある農村の日常の一幕。
晴れた空の下、若い夫婦が農作業に汗水流している。
「この様子じゃ、夜までかかりますかね」
「妻がこの様子ですので」
「あっはっは。確かに」
邪魔をしては悪いとばかりに通りがかった、『入れ墨を体に彫り込んだ大柄の女性』は話を切り上げて去っていく。
後に残るのは農作業に取り掛かる若い夫婦だけ。
彼らは、この広い農村の中でも一際広いな畑を管理している。
「く、はぁ。ロトリー、少しだけ休憩しないか?」
「え〜。やだですよ〜」
間延びしたまま、呼ばれた妻はゆっくりとした動きで頭を振る。
「もっとしましょう〜」
「そろそろ昼ご飯に、むぐっ」
彼はなおも言葉をつづけようとしたが、突然口の中にモノを詰め込まれて物理的に黙らされてしまった。
彼は一瞬だけ当惑したが、口の中に広がる甘い蜜の味と歯ごたえのある食感から何を詰め込まれたかを悟り、観念したように咀嚼する。
口の中に入り込んでいたそれは、花。
花弁は取れ立ての葉野菜の様に歯ごたえがあり、かみしめると甘い蜜があふれ出る。
花の中央からは、花弁とは違った濃厚な蜜があふれ出てくる。
アルラウネの蜜の様に、人を発情させる味わい。
その効果を知りながら彼は喉を鳴らして飲み下す。
「続き〜」
「はいはい。今日も昼ご飯は花三昧になりそうだね」
観念した彼は少しだけ笑い、彼女の頭に手を伸ばした。


彼女は妻のロトルィ。
トロールの若い娘で、髪は明るい茶色の長い髪を皮ひもで一括りにしている、どこにでもいそうな村娘だ。
ただし、トロールという種族の特徴として、身の丈は成人男性を軽く見下ろすほどであり、その手足はさらに大きい。
彼女の長い栗色の髪は太陽の光に当たるとトパーズの様に透き通った色になる。
ちなみに、ロトルィとは呼びにくいという理由で、彼はもっぱらロトリーと呼んでいる。
彼とロトリーのなれそめについてはよくある話。
ロトリーとはたまたま森で出会い、その後に犯されて以来、ずっと一緒に暮らしているという事だ。
たまたま風のうわさで聞いた農村にたどり着いたのは二人にとってはとても都合がよかった。
この農村はのどかな風景が広がる田舎の様に見えて、普通の田舎ではない。
明緑魔界と呼ばれる、れっきとした魔界なのだ。
過剰な性欲(あくまでも人間にとっては、だが)が沸き起こらないため、魔物と夫婦になった男性は緑魔界になら喜んで引っ越しを決めるケースがある。
性欲が強い、すでに快楽漬けで快楽中心の生活をしたい場合は、逆に緑魔界には来ないらしいが。
トロールのロトリーの場合は、緑魔界が一番性に合っていたため、緑魔界の一つであるこの村にやってきた。

トロールは、土の精霊との親和性が高く、その体に様々な植物をその身に備えている。
その多くの植物は今の魔物の生活にふさわしいものが揃っている。
栄養満点で甘く、精力剤と媚薬もより取り見取り。
その上薄いピンクや紫色など見た目も綺麗。
さらにたまたま見かけた良い花があればそれを植え替えることで、より良い夫婦生活へと最適化される。
当然、夜のくらがりに便利な花、仄かな明かりを生み出す魔灯花は頭や手首、足首と各部位に一つは生やしている。
トロールの性格上、昼は花の効果でぼんやりと発情しているが、夜や暗がりではのんびりと穏やかである。
しかし、時折良いことがあった日の夜などは、星明りと魔灯花にライトアップされたトロールが楽しげに踊っている光景などを見ることができる。
普段はおとなしい彼女たちだからこそ、そうした一面を見ることはまれであり、夫ぐらいしか見る機会はない。
それもまた、夫の特権であるという。

閑話休題。

彼ら二人は村の大農園を経営している。
魔界の野菜やすべて魔物の魔力によりよく育つ。
以前は村の顔役である魔物が世話をしていたが、村(もとい魔界)が広がるにつれて手が回らなくなってきていた。
顔役の魔物にとって彼ら二人は渡りに船であり、二人もまた二つ返事で大農園の管理を引き受けた。
「そうは言っても。これでいいのかな」
「いいんですよー。たぶん」
「まぁ、いいんだろうけど」
昼のロトリーはえっちの事ばかり頭に浮かぶため、まともな返事が来ない。
二人の生活は主に屋内や夜の間に話し合っている。
彼はよく彼女に対して抱く思いがある。
彼女を森の賢者と呼ぶのはいささか身内びいきが過ぎるかもしれないと。
ロトリーはこと土や植物についての知識は賢者というにふさわしいほど豊富で緻密だ。
その大きな手で地面を掬い、驚くほど繊細な手つきで花を扱う。
村の子供たちに魔灯花の花冠を作って見せた時、まるで本当の王冠の様に見えるほど綺麗に仕上げてみせた。
もっとも、日中は日が沈むまでは彼を豊満な胸に抱き寄せて畑での青姦を迫るご
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