019.ドラゴンの魔力の有効活用

特訓は上手く進まないけど、ちょっとずつ出来るようになってきた。
魔法の勉強もしているから進みにくいけど、魔界の食べ物があるからおなか一杯食べる事もできるようになった。
私はこの巣に篭ったまま、花を咲かせたり植物を育てたりしていた。
マカイモは簡単に育つので、全力で魔力を込めると何だかすごい事になった。

「これは、リュウオウイモと呼ぶべき代物じゃのぉ」
私の魔力を注いだマカイモは、ドラゴンみたいな形をしていた。
葉っぱは翼みたいで、芋から尻尾みたいな根っこが生えている。
そして、火を吹く。

「これ、共食いになったりしないわよね」
火を吹く新種を見たディリアが、イモの頭部分を撫でる。
ちなみに、サイズは魔界豚くらい、おっきな農耕馬くらいの大きさ。
これを丸ごと入れるお鍋は、魔界豚用鍋くらい。

「魔灯花の時もそうじゃッたが。ヌシは魔力による強化が得意のようじゃのぉ」
首をかしげる。
「魔灯花やマカイモの成長を凶悪なまでに促進させる。肉体の能力を凶悪なまでに補正する。両方とも、『強化』の一言で足りる」
首をかしげる。

バフォメットの話だと、魔物の魔力は元々、自分に都合のいいようにいろいろな物を調整するのに向いているみたい。
自分が有利になるように結界を張ったり、毒を生成したり。
硬くなったり力が強かったり火を吹いたりするのも、同じなんだって。
魔物が魔物らしくなるのは、魔物の魔力で強化しているから。

今の魔王がサキュバスだから、魔物の魔力にえっちな効果とか増えたけど、本質は変わらないみたい。
だから魔物の魔力は、『自分の伸ばしたい物を伸ばす』ことに向いている。
人間の魔力が『自分以外に対する影響』が強いのは、神様の力の影響だって話だけど、それはよくわからない。
わかるのは、人間は魔物よりもいろんな事が出来るってことだけ。

「イモ、焼けたわよ」
ドラゴンイモが焼けた。
外の皮が厚いけど、しっかり焼くとほくほくジューシーな焼き芋になった。
もきゅもきゅおいしかったけど、ドラゴンにはあんまり人気が無かった。


強化が向いているって事なので、あることを試してみようという話になった。
魔王の真似事。
他のドラゴンの皆を魔力で強化できるか実験。
「え、私で実験? それは構わないけれど」

最初はディリアに挑戦。
抱きついて、魔力を込めてみる。
「抱きつかないと駄目なの?」
何となく。

「で、どうじゃ」
「魔力の総量は上がっているのかはわかりませんわ。元々、ドラゴンは魔力の変化には鈍感ですから」
「じゃあ、そううじゃのぉ。速く飛べるようにしてみたらどうじゃ?」
そーらをじゆうに、とべるようになったらいいな〜。

「実感は沸かないけれど。飛んでみるわ」
ディリアが空を飛んだら、遠くに飛んでった。
「速くなっとるようじゃの」
あ、戻ってきた。

「強化ってこんなに簡単に出来る物なのかしら?」
「簡単ではないが、不可能ではないぞ。お前さんの速度強化や、カナシャの筋力強化もその一つじゃ」
「今回は、私が慣れている速度の強化だったから上手く行ったと言う事なのかしら」
じゃあ、色々強化してみる。

「……ええと」
「確かに色々と強化されたようじゃのぉ」
ブレスとか筋力とか色々強化した。
「あえて比較はしないけれど。強化の効果の種類とその効力の大きさはよーくわかったわ」


次の実験は、触らずに強化できるか。
と言う事でドラゴンのいる場所にやってきた。
「相変わらず子作りしているのよね、みんな」
ドラゴンは子供が生まれにくいから大忙し?

「それでどうするのよ。強化するって言っても」
ドラゴンの聖地だからバフォメットはいない。
でもやる事は大体わかってる。
「どういうこと?」

魔力を込めて、込めて、えいっ。
「ちょっと。いまの、なに?」
「ひゃあああんんんん♪」
子供が生まれやすくなるような……?

「あれ、明らかに感じやすくなっているじゃない。というか、他の魔界にあるような黒い魔力が溢れていたわよ!」
えっちになればなるほど子供が出来やすいって、誰かが言ってた。
「そんな無茶な事をして大丈夫なの?」
大丈夫だ、問題ない。

「念のために私は影響を受けないように飛んでいたんだけど。すごい有様ね。男女共に」
前に行った魔界の国をイメージした。
「ああ、アレを真似たのなら、確かにこうなるのでしょうね。プライドも何もあったものじゃないわ」
元からだと思う。

「人間の方は強化できないの?」
ドラゴンの魔力が混ざっているから、多分出来る。
「じゃあ全力で強化してみたらどう?」
やってみよう、えいっ。

「派手に強化したものねぇ」
攻守逆転。
「あんまり魔力がだだもれだと、こっちまで変な気になっちゃいそうだわ」
体が熱い。


「と言う事で、今度は夫がい
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