最近はあんまり動いていない気がする。
魔界に行って力仕事をして、皆にお土産を持って帰るだけ。
みんなは竜の聖地にいるから、ドラゴンがご飯を持っていかないといけない。
私、確か竜のおーさまのはずなんだけど。
ドラゴンの巣は、一杯改造してある。
転移方陣があるからあちこちに飛べるし。
お客さんが増えたから、巣の周辺にちっちゃな巣を追加した。
近くから山を幾つか持ってきて、がっちゃんこ。
巣が大きいからあちこちに案内板が付けられて、巣の中を跳ぶ転移方陣も追加された。
上に行ったり下に行ったり、お隣に行ったり戻ってきたり。
便利になったから走らなくて良くなった。
隊長さんが喜んでいたけど、走らなくて良くなったからかな、それとも私が走り回らなくなったからかな。
増えたって言えば、食べ物が増えた。
もっと言うと、料理が増えた。
魔力のある食べ物がいいってわかったから、色んな食べ物を集めてもらっていた。
するとコックさんもいつの間にか増えていた。
魔界の料理は人間が作る料理とちょっと違う。
食材は魔界の食材をたっぷり使う。
食べると元気になる食材が沢山。
主にえっちな意味で。
色んな料理を作るコックさんがいる。
マカイモをすり潰してクッキーを作るんだけど、マカイモって沢山種類があるから色んなクッキーが作れる。
コックさんは複数のマカイモを組み合わせて美味しいクッキーを目指しているけど。
確か100種類は越えていたよね、今この巣にあるマカイモって。
「あ、おーさま。今日も試食に来たの?」
ちっこいのがパタパタ近付いてきたので、うなずく。
料理好きなコックさんは女の子。
でもサキュバス。
「ちょっと待っててねー。そろそろ焼きあがるって言ってたからー」
料理好きなコックさんが好きな妖精が、厨房に入っていく。
一緒に戻ってきたのは栗色の髪のおねーさん。
同じ色の翼と尻尾が揺れてる。
「今日も良い出来だよ。マルチィのお墨付き」
「すっごいんだよ! すっごいんだよ!」
コックのサキュバスが持ってきたお皿に赤や緑や黄色や、色んな色のクッキーが並んでる。
料理好きでコックのサキュバスの助手の妖精は、えっと、なんていう種族だったかな。
もっと沢山食べたい。
「はいはい。王様向けのデザートも用意してるから」
コックのサキュバスが持ってきたデザートは、たっぷりと蜜が掛かったバニラアイス。
サイズはバケツ。
「ホルスタウルスのミルクとハニービーの蜜。取れ立て搾り立てだから美味しいよ」
お隣さんのミルク?
「違うよ。ほら、ディリアって子が持ってきてくれたんだ」
ディリアの速さはワイバーン以上、荷運びの量はドラゴン級。
「有名どころの虜の果実以外にも、美味しいものは沢山魔界にあるんだよ」
クッキーみたいに平べったい物がお皿の上に沢山並んでいて、おいしそうな果実がその上に乗っている。
紫や青や白の果物は、甘酸っぱかったりミルクの味がしたり不思議。
「いや、それはホルスホイップクリームだよ」
おかしを一杯食べたら魔界に手伝いに行く。
この間、町を襲って即席勇者をかき集めたから、しばらくは人間は襲ってこないみたい。
だから気楽にあちこち歩いていけるし、飛んでいける。
今日はどこに行こうかな。
「こんにちわ。相変わらず小さいんだね」
「マスター。相手は竜王ですよ。そんな調子では、また村長が嘆かれます」
「はいはい。わかったよ」
「本当に分かっていますか? マスター」
空で出会ったのはちっちゃなノームとちっちゃなベルゼブブ。
現在、二人とも旦那さん募集中。
「今日も食べにきたの? どうぞどうぞー」
「けっして山を枯らさないようにお願いします。貴方は前科がありますので」
この辺り一帯は魔界。
でも空は青いし草木は緑色をしている。
今は暖かいから雪解け水の周りに沢山の草が生えているし、牧草地帯には背の高くておいしそうな草が生えている。
「いや。食べちゃ駄目だよ? あれは竜王様のおやつじゃないんだからさ」
このベルゼブブは魔物だけど精霊と仲がいい。
今はここにやってくる旅の人からせーえきを貰って暮らしているみたい。
ここは自然が逞しくて、のんびりのどかな食べ物村。
「ご飯を食べに来たんだったら、ちょーっと相談があるんだけどね」
首を傾げて、うなずく。
前にも頼まれた事があるから、多分それ。
「ちょっと近くの町を襲って欲しいんだ」
首をかしげる。
「いやさ。冒険者が多いってのは別にいいんだけど。竜の城攻略に失敗したからって、今度は他の魔界を攻略しようとしてるらしくってね」
「他の力が強い方々は、旦那様との交わりが良いと仰いますし」
「私はケンカがやだからねぇ」
でもこの二人なら、冒険者100人くらいでも大丈夫だって知ってる。
「最近、勇者って増
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