城の中心は物凄く魔力が濃い。
沢山吸い込んだら『飲み干』せそうなほど、どろどろしてる。
「王魔界でもこれほどの密度の場所は少ないですね。さすがは王のおわす場所」
ディラハン隊長は顔が赤い。
「そういう貴方も顔が赤いわよ」
むずむずする。
「むしろこれで感じないのは、よほど馬鹿げた魔力を持っている魔物くらいでしょうね」
うずうずする。
たどり着いた先に王様の場所があった。
「こういう物だとは聞いていたのですけれど」
「これが魔物流の歓待の仕方なのですよ」
王様はえっちをしていた。
「すみません。魔物としての生活にすっかり慣れてしまって」
「御気になさらず。私たちは魔物の中でも性に対して消極的な種族ですので」
デュラハン隊長、顔が真っ赤。
「これは、魔力に当てられているだけです」
「うそおっしゃい。会話の間も、あんな小さな子を、あんなにも攻め立て続けているのですから。興奮して当然ですわ」
動きが凄い。
「貴方は少し遠慮しなさい。近付きすぎよ」
すっごいどろどろしてる。
「それで、そちらの小さい子が竜王様なのかい?」
「ええ。そうですわ」
「すごいや。人間にしか見えない」
「今は人に化けているだけ。本来の姿は私の様に、翼と尾をもつドラゴンの姿ですわ」
「ほんまかいな」
ぼちぼちでんな。
「なぬっ!? この子、意外と出来る!?」
なんでやねん。
「貴方、一体どこの地方の方言を口にしているの」
ジパングの真ん中あたり。
「棒読みなのが台無しやけど。こないなところでウチのよぉ知っとる言葉に出会えたなんて、感動もんやで」
なんでやねん。
「はいはい、ストップ。話が進まないですわ」
私と黒いキツネのやり取りを、ディリアが止める。
「それで、この会見の理由をお聞かせ願いますか?」
デュラハン隊長がちょっと緊張している。
「え? いや、竜王様が来ているって聞いたから、挨拶しないといけないなって。それで」
こんばんは。
「あ、うん。こんばんは」
「何とも王様らしくない挨拶ですわね」
「いやぁ。俺は成り行きでこんな場所に来ちゃっているけど。本当はただの庶民だからね」
気づいたら王様にさせられていた。
「うん、まさにそれなんだ」
仲間仲間。
「貴方。女性と交わっている男性に握手を求めるなんて」
「相変わらず無茶苦茶ですね」
「御覧なさい。他の女性の方々も言葉を失っているじゃない」
じゃあ皆とも握手。
「ぷ、くすくすくす」
白くて黒い人がおかしそうに笑っている。
凄い魔力の匂い。
王様より魔力が濃い?
「ああ。この人は、何だろう」
「私たちの恩人ですよ」
にょろにょろしている人が答えた。
「この国の王妃の一人ですわ。ごきげんよう、竜王様」
「あっ。こいつ、こんな所にまで来ていたの!」
「こいつ呼ばわりするのは問題があるぞ。こう見えて、この小さな子供が、『あの』竜王なんだからな」
「え、ほんと? でも、それにしては」
「この場所で人の姿を保っている時点で、人間やあらへんしなぁ。でも、何でまた人間の姿をしとるん?」
エルフっぽい人っぽいワーウルフが驚いて、片目のラミアが説明して、黒いキツネが不思議そうにしている。
「え? あ、そういえば変だよね。普通、魔物の人って魔物姿そのままで現れるものだし」
「それは、本人から聞くのが良いと思うのですわ」
「私も聞いた事が無かったのですけれど。教えていただけるのですか?」
何だか沢山揃っている。
王様の隣に強い力のサキュバスとにょろにょろさん、変なワーウルフに片目ラミア。
ちょっと離れたところに黒いシスターさんと黒いキツネ。
ちっちゃな女の子はずっとえっちの真っ最中で、白くて黒いサキュバスはもっと離れたところ。
「えぇと。話したくないことだったらいいんだよ。でも、もし誰かに聞いて欲しいんだったら。幾らでも聞くよ」
あんまり大したことじゃない。
「どういう事なんだい?」
人間を知りたかったから。
私がもっと小さい頃、巣に沢山の人間がやってきた。
母様が追い払っても、父様が追い払っても、人間は沢山やってきた。
弱いのに、死なないと分かったらずっとずっとやってきた。
あんなに弱いのに。
父様が言ってた。
人間を知りたいなら人間を良く見る事だって。
母様が言ってた。
人間は魔物を見ると襲い掛かってくるって。
だから人間になった。
角も翼も尻尾も鱗もなくして、人間になった。
それから色んな人間の住んでいるところを歩いて回った。
それだけ。
「人間を見てきて、どう感じた?」
強かったり弱かったり、優しかったり怖かったり。
「怖かったのかい? どうして」
人間はなんでもするから。
魔物でも人間でも関係なくて、強い相手は攻撃して、弱い相手も攻撃して、敵も味方も関係ない人もい
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