弱い力しか出せなくなったので特訓を開始する。
型を勉強したり、重いものを動かしたり。
でもやっぱり動くと物凄くお腹が空く。
凄く困った。
「どうやら、空腹と魔力不足は関係があるみたいですね」
デュラハン隊長は何時も通り。
「恐らく、魔力が大量に消費される栄養の代わりを担っていたのでしょう」
「なるほどのぉ。魔力が足りないから、栄養を欲するわけじゃな」
山羊先生も困っている。
お腹空いた。
「もしかすると、魔力を供給すれば空腹も解消されると言う事かも知れんのぉ」
「本当ですか? では、少し試しましょうか」
ディラハン隊長と山羊隊長がうなずいた。
「ちょっと出かけましょうか」
ディリアは?
「彼女も一緒に行きましょう」
私たち三人がたどり着いた場所は不思議なところ。
沢山の人がいるけど、魔力がすっごく濃い。
町中に魔物が歩いている。
何だか凄い。
「あれ。リィーバって魔界に来た事って無かった?」
こんなとこじゃなくて、もっと明るかった。
「緑魔界か、魔界になる寸前の場所と言った所でしょう。この国は数ある魔界の中でも、魔力の濃い方です。私も初めて来ましたが。噂以上ですね」
ディラハン隊長は他の魔界を知っている?
「ええ。サキュバスたちが小国を攻め落とし、その勢いで魔界に染め上げた事がありました。私はその護衛として、ディラハンの騎士団を率いていました」
その場所も魔力は濃かった?
「私の知っている魔界は3つ。一つは貴女が住んでいた竜王の城。一つは前まで私が護衛をしていた魔界。そして3つ目は、私が生まれた魔界です」
凄い所?
「はい。王魔界と呼ばれています」
おーまかい。
「魔王様がいらっしゃる魔界ですよ」
なるほど、すごそう。
「この魔界は4番目と言う事ですけれど。順位をつければ、何位なのでしょうか」
「文句なしに2位ですね」
私たちの巣が4位。
「ええ。ドラゴンの方々は周囲に魔力を放たず、内に溜め込まれますので、魔力の強さの割りに大気中の魔力が極端に少ないのですよ」
でも、巣には聖地がある。
「そうね。あの場所にドラゴンの王が住む理由でもあるわよ」
ドラゴンがあの場所で子作りをすれば、簡単に子供が生まれる。
ドラゴンの魔力が溜まっているあの場所は、ドラゴンとドラゴンの夫だけの場所。
「そうなのですか。ドラゴン以外が立ち寄ってはならない場所があると聞いていましたが」
立ち寄ったら死んじゃう。
「……え」
「そうねぇ。ドラゴンに食い殺されてしまうかもしれないですわね」
色んな話をしながら歩いていると、おいしそうな匂いがしてきた。
「何の匂いでしょうか」
「ああ。トリコロミールでしょう」
とりころーる?
「虜の果実を使ったデザートで有名なお店ですよ。ここにあるのは支店のようですね」
詳しいんだ。
「以前住んでいた魔界のお姫様が、大層お好きでしたので」
食べてみよう。
虜の果実が一杯。
「虜のケーキをホールで4つ。あと虜のパフェと虜のアイスをそれぞれ5つずつお願いしますわ」
「え? さらに追加ですか?」
「ええ。御覧なさい」
ごちそうさま。
「ええっ!? もう全部食べられたのですか!」
「とり急ぎお願いしますわ。ほら、この調子なので」
おなかすいたー、もっとちょうだーい。
「満足した?」
うん、いっぱい食べた。
「……魔力と栄養価の高い虜の果実なら、この程度の量で済むのですね。……あくまでも、普段の食事比べれば、ですけれど」
「あわわわわわ。ざ、ざいこの補充をお願い〜!」
このお酒も美味しい。
「虜のワインですわね。陶酔の果実酒はないのかしら」
ここは虜の果実専門店。
「それもそうね」
「あのー。この人、勇者か何かですか?」
サキュバスの店員さんが、何でかちょっと怯えてる。
「そんなわけ無いでしょう。人に化けているだけですわよ」
今は人間、でも実はドラゴン、えっへん。
「あー、どーりでー、あー、なっとくしましたー」
ふらふら店員さんが去っていく。
「当然の反応ですね。常人なら魔界でなくても、これだけの量を食べれば確実にサキュバスになっていますから」
そうなんだ。
「ふぅ。味も魔力も良いものね」
おいしいからお代わりー、樽で。
「止めなさい」
「そ、そろそろ会計にしましょうか。この国にはおいしい物がもっと沢山ありますから」
周りを見るとインキュバスのお兄さんと色んな種族の魔物が沢山。
でも人間の女の子はいない。
「だからずっと注目を浴びていたのね」
有名人じゃないから、びっくり。
「いえ。貴女も十分有名人ですよ。正真正銘、ドラゴンの王なのですから」
でも誰も知らないみたい。
「そりゃそうよ。だって貴女、今は人の姿をしているじゃない」
わかる人は人の姿でもわかる。
「それこそ魔女やバフォメットの
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