「……う…む…」
ぼんやりと覚醒する。
「……んぐ……んん?」
辺りが暗い、は真っ暗なわけではなくどこから光でも入っているのか少し目が慣れるとどういう場所か分かってきた。
「……なんだ?地獄ってのはこんな石造りなのか?」
石畳で出来た床がひんやりと体をなめる。
「そんわけないでしょう」
「!」
長年の習性で素早く声のした方に振り向きながら懐より短剣を取り出そうとする。が、
(ん?)
ない…。
「持ち物なら没収されてますよ」
「この声は……呪言師か」
「ええ」
見れば、先程まで(自分が覚醒するまでどれくらいの時間がかかったか分からないが)斜面の下で戦っていた青年の姿があった。
「地獄じゃねえってことはここは……」
「牢屋ですよ。ほら、鉄格子があるでしょう?明り取りのようなものはありませんが」
確かに暗いが格子らしきものが見える。
「……死んでねえのか……」
「そうですね」
どっかと腰をおろす。
「…峰打ちか……確かに、嫌な程硬い剣だった…」
「峰打ちでしたか」
「そっちは?」
「よくは分かりません。しかし目立った外傷が無いので何らかの、物理的のものでは無く他の衝撃にやられたと考えています。……そうですね…音波でしょうか。まだ頭がクラクラしています」
「そうかい。たいしたガキ共だ」
「でも僕と同じようでしたよ」
「ああ、だがお前程長く生きてねえのは確かだ」
「そうですか」
「……じいさんは?」
「そこでのびています」
「年寄りにはきついか」
「おそらく。身体にはやはり負担がかかりやすいのでしょう」
「そうだな」
「……どうなるんでしょうかねえ、僕達」
「ま、最悪で死刑、次に刑罰。ほんで最後に魔物との結婚じゃねえか?」
「やはりそうなりますか……」
「俺はそれでも構わねえがな。逆に女くれるんなら恩の字だ」
「あなたはそうでもね、僕はもう少しいろんな世界を見たいんですよ」
「だったら呪言師なんぞにならなかったら良かったじゃねえか」
クスクス、と青年が笑う。
「おもしろい冗談ですね」
クックッと男も笑う。
「ああ。我ながらな。爺さんの方はともかく俺達は『これしか』選択肢がねえ」
「フフ、ええ。ただ、これが合ってしまったのは不幸中の幸いと見るべきでしょうがね」
「俺もだ。一番やりてえことじゃねえが、合っていたよ。おかげで他の野郎どもはポイポイ死んでったのに俺はピンピンしている。ま、これからどうなるかは分からねえがな」
「…あの子達もそうなんでしょうか?」
「……いや…、もっとひどかったんだろう」
「ですよね」
「……」
「……」
静かだ。お互いの息の音しかしない。
「俺はもう一度寝とくわ。どうなるかも分かんねえからな」
「……そうですね。おやすみなさい」
「お前は?」
「僕は、この久しぶりの静寂を元に新しい曲でも作りますよ」
「そうかい、頑張れ」
そうして今度はより深い静寂に包まれた。
久しぶりに牢が使われたレスカティエ城の玉座の間では昨日と同じく主だった面々が揃っていた。
あれ程激しい戦闘だっというのに回復力が高いためかすでに魔物やインキュバス達には目立った外傷はない。体の内側はどうか分からないが。
朝日が燦燦と、だが魔界ゆえにどこか妖しげな光が降り注ぐ中、玉座の間は張り詰めていた。二人の男児を中心に魔者達の輪ができていた。もちろんその二人とはラクルとセト。輪の中にはパルメもいる。
「……それで、話してくれる?あなた達が何者なのか?」
デルエラが口を開く。
ようやくここまでたどり着いた。
デルエラは内心安堵する。
昨日も戦闘終了後この二人はすぐさま離れようとしていた。
それを強引にデルエラが口八丁手八丁で連れで来たのだ。
曰く、「あなた達に私達は関係してしまったのよ。次にもしあなた達目当ての輩が来たらどうするつもり?正論でしょ?だから教えなさい」
曰く、「いいわ、教えてくれなくていい。でも負傷者を運ぶのは手伝いなさい。それぐらいの時間はあるでしょ?捕まえる?しないわよそんなこと」
曰く、「ふ〜ん、そうなの。行っちゃうの、ふ〜ん。いいわよあたしは別に。まあ一匹のかよわい魔物が男に振られた悲しみに自殺するかもしれないけど。え?誰のこと?何?気になるのラクル君?ならない、じゃいいじゃない。え?パルメはそんなヤツじゃない?あらどうして?あなたに何が分かるの?あなたは男でしょ?……行くの?そう、残念ね。じゃあパルメに心の中からでもお別れを言っておきなさい。もう『一生』会えないだろうし。…何?行かないの?……どっちなの。え?一応手伝う?分かったわ!じゃあついてきて!」
そんな半ば純心を利用する形で連れてこられたのだ。
もちろん終わった後も、
「だめよまだ行っちゃ、まだパルメちゃんは起きてないんだから。え?顔だけ見るだけ?何よそれ?そんな男なのあな
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