「急いで仕度してちょうだい」
「はいデルエラ様」
メイドのローパーにそう伝えて自分の武器をとる。
サイクロプスに打たせた一品だ。
そのまま広間へと向かう。
城下の酒場の主人から奇妙な話を聞いてすぐに準備したとはいえ少し時間がかかってしまっている。おそらく戦闘はもう始まっている事だろう。
今宵のおかげで場所は特定できた。レスカティエより離れた山脈で呪術の気配がするらしい。
(間違いないわね)
デルエラはそう確信している。
何より酒場の主人が言っていた単語
『無色』
当たりだ。
他の者にも考えを聞いたところ同じ考えだった。
ノンカラーを狙う者達。
手紙を送ってきた暗殺者がどれ程の使い手かは知らないが魔界に入り、なおかつ魔王城まで進んだ輩だ。今回の3人も相当の手練れとみていいだろう。
ゴオン
広間への扉を開く。
すでに主要な者は集まっている。
デルエラは周囲を見回し。いつものその良く通り、美しい声で鼓舞する。
「今回は私達が直接何かをされたわけではないわ。でも昨日私達の仲間を、家族を救ってくれたまだ青年にも達してない子達が狙われてるの。分かるでしょ?これは恩返しよ。もしかするとこの事でもっと巨大な敵と争う事になるかもしれない。私としては飛び出して助けたいけど、あなた達はどうかしら?」
そこで一旦言葉を切る。
「手を出せば私達も対象になるかもしれない。家族に、大切な人に危害が加えられるかもしれない、それでもいいの?私は個人の話をしているのではないわ。これは国の問題よ!」
実際そうであった。闇社会でも秘匿されているものに手を出そうというのだ。
今後何が起きるか一切わからない。
「それでも!……助けに行くというものはここに残りなさい!無理なものはこのまま出て行く!その数がどちらが大きいかで決めるわ!」
そうして各将が動くのを待つ。
…だれも動かない。
「クス。それでこそ魔族よ!さあ、急いで私達の恩人の援護に行きましょう!!」
「「「「「「オオオオオオオ!!」」」」」
レスカティエは闇よりも黒いものに手を差し伸べる事に決めた。
タッタッタッタッタッタッタッ
「気付かれたな」
「ああ」
二つの人影が高速で山の斜面を登っていく。
ラクルとセトだ。
後ろから彼らを追う者の影が伸びる。
「おいおい、はええなあいつ」
早かった。二人との距離をグングン縮ませてくる。
「走りから見て、忍、いや、東洋のアサシンか…」
「ああ、それだけじゃねえ。遠くから嫌な匂いが漂いやがる。毒使いも来やがった」
「あと一人だれかいるが……分からん」
「俺もだ、どうする?」
「分かれるのはやめよう。敵の戦力も分からないのに危険だ。何よりお前が一人でいなくなれば親父やタマンが悲しむ。…俺もだが」
「ハッハー!そう言ってくれると思ったぜブラザー!!」
「頼むぞ兄弟」
そうして戦闘態勢に移り始めた。
セトが剣を抜く。魔界から反射される妖しい光さえも吸収していそうな漆黒の刀。光沢も無く、されど鈍くも感じられない。闇そのもののようなただ黒いという刀。
ラクルが腕を変化させる。前時代の魔物をベースとした体に変化する。筋骨隆々のオーガの腕、足はミノタウロスの者に変わりさらにローパーの触手。胴体はゴーレムのように色が変色し固くなった。
二人が体勢を整えたと同時に二人の遥か頭上を飛び超えて影が短剣を投げてきた。
ドッドッ
投げたと同時に刺さった。おそろしい肩の力の持ち主のようだ。
だがそんな速さを二人は難なく避けている。
ザッ
影と相対した。
どこにでもいるような服装。強いて特徴を挙げれば木こりのようだ。顔には無精ひげが生え、腕や胴体、足が分厚く、服も正に木こりという感じだ。
「おっ、避けたか。感心感心」
そういって余裕を持つかのように体勢を崩す。
「いや俺思うんだよな。よく本で敵の投げた物を掴んだりするがよ、あれってホントにやばい時以外やっちゃ駄目だと思うんだよなあうん。だって考えて見ろよ、敵が毒を塗ったかもしれねえんだぜ、危なっかしくて取ったり打ったり壊したりできっか。それに影響されたか若いやろうが真似してんだよな。ま、大概こうしてやると泣きをみせるんだ、がっ!」
男が両手の人差し指を動かす。すると、先程の短剣から小さい針が飛び出し、男の方に引っ張られた。よく見ると針の先端から液体が出ている。
「毒付きか…」
「その通り!な?泣くだろ?」
「ああ、泣けるな」
「だろだろ?」
「つか、おっさんしゃべりすぎじゃね?」
「はっはあ、コミュニケーションは大事だぜ坊主。例えそれが暗殺対象でもな」
「確かにそうだな、敵の注意を引き付ける有効な手段だ」
「……気付かれてたか」
男が先程とは違った空気を身に纏う。
(久々にやりづれえ相手だ)
セトが指摘したとおりすでにあとの二人も合流していた
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