ノンカラーリスト

拝啓 麗しきデルエラ様
あなたがお調べになっている二人組みのことですが、少しの事が分かりました。いえ、少し、というよりこれで調べられる事の全てかもしれません。申し遅れましたが、私の名前はバナチェフ。人間であった頃は特務暗殺者として活動していました。すでにご存知かと思いますが、特務暗殺者とは教会お抱えの暗殺集団とは違い独立しているいわばギルドのようなものです。ただし、暗殺に特化し、裏世界にも幅を利かせていますが。その中でも私は上位5位に入る実力を持っていました。そのために教会に雇われ、魔王城に潜入し、妻と出会ったわけですが。
話が逸れてしまいましたね。また話が逸れるようですが重要なのでご確認下さい。賞金首、というものはご存知でしょう。これもすでにお分かりのように一般の賞金首から極悪な程、脅威な程ランクが上がっていき、賞金首専用の『店』などでは色別にリストが配置されています。まずはホワイトリスト、一番低い、といってもしっかり罪を犯していますが、白い紙に人相書と身長や体重などの基本情報、備考欄が載っています。そして次にブルーリスト、次にレッドリスト、最後にブラックリストがくるわけです。もちろん、それぞれの色に対応している紙付きで。しかし、ここからの事は誰も、侮辱しているわけではありませんが魔王様も、その夫君の勇者様でさえもご存じないでしょう。
このリスト、実はもう一段階上があるのです。それが、ノンカラーリスト。
これはかなり特殊でまず紙で伝えられません。口伝で伝えられます。さらに介入者もかなり限定されており、我々のギルドでは上位5位までしかその存在も内容も公開されません。おそらく他の闇社会に溶け込んでいる者達も、そうとう根を深く張っていない限り伝えられてないと思われます。話にあがったこともないでしょう。それほど極秘なのです。どこから私の長が情報を入手してくるのか分かりませんが、それはもう私では分かりません。知っているのは長だけでしょう。
このノンカラーリスト。特殊な点は3つ。まず、口伝えだということ。
次に、紙の人相書が一枚だけ長により直接見せられ所持は不可、ただし、普通の人相書とは違い、基本情報や備考がなく、全て顔だけで判断しなければなりません。慎重に、と言う意味なのか。それ程強いと言う意味なのか。顔が分かっている限り情報はあると思いますが、仲間が問いかけたところ、これに関しては一切疑問を持つなという言葉を返されました。長が言う事は絶対です。私達はすぐに頭からその選択肢を払いました。
最後は、その者を見かけた場合の対処です。驚く事に近くに魔族やブラックリストがいたとしてもその者を追跡し、殺せ。という者なのです。つまりこの世の何よりも優先される命令です。当時私は、いえ、今でもこの者達はそれ程危険な存在だと思っています。
そんな折なので、デルエラ様から顔と名前が送られてきたときには少し時間がかかりましたが、分かりました。以下が私の知っている全ての情報です。おそらくこれ以上の情報は、私の長か、それに横付けする地位の者でないと持ってないかと思われます。ただ、これは私の推測ですが、長もそれ以上の情報は人相書以外持っていないかと思われます。何やら深く黒い者を感じるのです。
以下にその情報を載せます。非常に少なく、役に立たないと思われますがこれで全てです。

ラクル・カーラマント
発見次第殺せ

カミヤ・セト
発見次第殺せ


                                     魔王城勤務 バナチェフ・セントス



カサ
今しがた再度読んだ手紙を机に置く。
すでに内容は朝礼の緊急会議で城内に行き渡っている。おそらく昼頃には市外にも広まるのではないだろうか。
「……」
情報を流した事を軽率だとは思っていない。誰かが知りたいと思えば教えるのが一番だろう。まああの二人には迷惑がられるだろうが。
たとえそれにより敵が来たとしても、それはそれで
「おもしろい」
より夫が増える事を楽しみにするデルエラだった。



緊張する。
私はラクルとセトが泊まらされている借家の扉の前に立っていた。
「がんばって!大丈夫よ!愛があればどんな困難も乗り越えられる!」
そうノーラは言ってくれたが本当に大丈夫だろうか。
何より、私自身が不安だ。
昨日ラクルのあの姿を見て、私は驚いた。それだけならいい。だが、私は彼らが立ち去ろうとしたときに引き止められなかった。怖かったわけではない。
ただ、近づいていいのかどうか分からなかったのだ。母とウィルマリナさん、そして父が動いていなければもう二度と会えなかったかもしれない。
それを思うと少しは安堵する。
それに、私は見られている。国が彼らに注目しているのだ。デルエラ様の命により私と接触するときの様子を見れるよう
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