「あ〜あ、めんどくさいわね〜」
銀髪の髪を魅惑的にたなびかせながら、しかし動作は気だるげなデルエラが呟いた。
「そんなことを仰らないでください。私だって夫と………ウウ、大切な時間が〜」
ウィルマリナが哀しげに目を伏せる。
「どうせあとで時間あるでしょ」
「それとこれとは別です!時間が減るのは無条件に嫌なんです!」
周りの姫君や魔者達もウンウンと頷く。
「まったく……公私混同は避けてちょうだい」
「「「「「デルエラ様に言われたくありません!!」」」」」
「……かぶせてくるわね…」
そう言うがデルエラはなおも気だるげに馬を進ませる。
周りの魔物やインキュバスもそれに合わせる。
レスカティエの精鋭達が行進していた。
その原因は二日後の教団との会談にある。
魔王と勇者は時折教団や各国、各地方に対し和平や講和の手紙を届ける。
もちろんそれに応じる所は滅多にない。
ただし、滅多に無いとはいえあるにはある。その相手が教団だった事に対しては驚いたが、魔王と当時最強の勇者が手を結んだ初期は頻繁に行われていたので別に変と言うわけではない。
しかし反目し合って幾数年を経ているのでいまさら会談と言うのはなにか不穏な動きを感じる。
よって多少大所帯となるが教団との会談場所に一番近かったレスカティエ国、デルエラとその精鋭が応対役に選ばれたのだ。
場所は魔物領と教団領との境目の町。
とはいえやはりそこは人間領の町なのでますます不信感が増す。
「ま、もしもの時はヤっちゃえば良いんだけどね〜」
「それは無理ですよ。ほとんどが既婚者、もしくはすでに恋人がいるのですから」
精鋭というからには一人一人が強い。つまりその『腕っ節』ですでに相手を見つけているのだろう。
「そこが唯一の誤算よね〜」
「大丈夫ですよ。もしものときは俺らもいますし」
そう声をかけたのはラクル。
同じように馬に乗っているが二人乗りをしているのが映える。
もちろん後ろにいるのはパルメ。
後ろから愛する恋人をギュッ!という音が聞こえるほど抱きしめている。
「ラブラブね」
「そ、そうですね…///」
「そう見えますか?
#9829;」
ラブラブだ。
「ちょっと〜、もう交代時間過ぎたわよ〜」
その後ろではダークエルフのサラムが馬上に声をかけていた。
馬に乗っているのはセト。そしてパルメのように後ろから抱きしめているのはカサナ。
「も、もうそんな時間か?」
「そうよ」
「うう……セ、セトもう少しだけ」
「俺に聞いてどうする。出発のときお前ら二人がいきなり決めてきたことだろう」
この二人、くっつくかと思いきや未だに事態は進展していないようだ。
「うう…」
「ほらほら早く!」
「時間だろう?」
どうやらセトは女心が本当に分からないらしい。好意は持っているはずだが…。
「…!ああいいとも!降りてやる!」
カサナはそう言い捨てサラムと交代した。
「やった!ああ、いいわこの背中…。一度ムチでさすってあげたい…」
世間一般で言われる通常の性的指向から外れた言動にもセトは戸惑わない。
「きっかり一時間だぞ」
「うん♪」
女に抵抗はなくなったようだが来る者拒まずのような状態になっている。
やっぱり女心が分かっていない。いや、ある意味分かっていない方が女を惹く場合もあるかもしれないが……。
「しかし分からないな。そんなに人の背中に抱きついて楽しいか?それより性的な行動をするほうが余程いいと思うが」
流石にこの言葉はないだろう。
「え!してほしいの!?ねえ!?」
サラムには気の利く言葉だったようだ。まあ性格が性格なのだが。
しかしその若干斜め後ろで気落ち気味にトボトボと歩いていた乙女にとってはまた違った意味で聞き捨てならなかったらしい。
「な、なんだと!なぜだ!なぜそうなる!」
「え?何が?」
「な、何がだと!サラム貴様っ!」
「や〜んセト〜、後で『良い事』してあげるからあの色狂いを追っ払って〜」
「だ、だれが色狂いかああああ!!」
この後いつものようにセトがいなすと思ったが、
「飴2個なら考えてみる」
………………えっ……………。
二人が硬直した。
「そ、そんな私は飴2個で捨てられる女なのか……」
「うそ、この私が……この私が飴2個より劣るというの……」
気落ちするしないよりさらにひどい状況の二人にセトはさらに続けた。
「冗談だ」
前を見ながら、ただ淡々と。
「…………」「…………」
「ん?どうした?」
冗談だと分かっても場の硬直は解けない。
しかしセトはいぶかしみはするもののただ淡々と馬上で視線を前に向けていた。
「……エグイことになってるわね」
一部始終を見ていたデルエラが呟く。
「……後でフォローしたほうが良いんでしょうか?」
「いや、いいわ。どうせ自己解決するでしょ。さっ、それよりも。みんな〜!ここで休憩取るわ
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